書評
『贖罪 ナチス副総統ルドルフ・ヘスの戦争』(文藝春秋)
1941年、47歳のルドルフ・ヘスはナチスの副総統でありながら、なぜ敵対するイギリスに単独飛行をし、落下傘で着陸したのか。その後、終身刑になり93歳で死去するまで、この囚人は何を考えて過ごしたのか。それについて、ヘスによると見なされる手記を手がかりに、混乱した時代を回想する。
ヘスはエジプトのアレクサンドリアでドイツ人の貿易商の子として生まれた。やがて学生として本国での生活が始まったが、目標を見出せないまま時が過ぎる。大学で地政学者のハウスホーファー教授と出会い、学問への興味が芽生えた。しかし、ヘスは教授が勧める学問の道ではなく、政治運動に心酔していく。やがて、ヒトラーとの出会い、『わが闘争』の口述筆記、そして党の中枢への抜擢(ばってき)など上昇する道筋が開けた。一方で、恩師の妻がユダヤ人であることに危機感をもち、彼らの安全にも心を配る……。
由来の不明な手記は「同時代史」のごとく興味深いが、映画監督として名高い著者が幼年期にヘスを知った経緯と重ねているので、物語としての奥行きを感じさせる。
ヘスはエジプトのアレクサンドリアでドイツ人の貿易商の子として生まれた。やがて学生として本国での生活が始まったが、目標を見出せないまま時が過ぎる。大学で地政学者のハウスホーファー教授と出会い、学問への興味が芽生えた。しかし、ヘスは教授が勧める学問の道ではなく、政治運動に心酔していく。やがて、ヒトラーとの出会い、『わが闘争』の口述筆記、そして党の中枢への抜擢(ばってき)など上昇する道筋が開けた。一方で、恩師の妻がユダヤ人であることに危機感をもち、彼らの安全にも心を配る……。
由来の不明な手記は「同時代史」のごとく興味深いが、映画監督として名高い著者が幼年期にヘスを知った経緯と重ねているので、物語としての奥行きを感じさせる。
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