書評

『食はイスタンブルにあり 君府名物考』(講談社)

  • 2025/03/25
食はイスタンブルにあり 君府名物考 / 鈴木 董
食はイスタンブルにあり 君府名物考
  • 著者:鈴木 董
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(256ページ)
  • 発売日:2020-09-11
  • ISBN-10:406520836X
  • ISBN-13:978-4065208366
内容紹介:
六五〇年近くに亘り、栄華を極めたオスマン帝国。東洋と西洋が交差する大帝都・イスタンブルで、人々はなにを食べていたのか。一五〇〇坪の大膳所で二百六十余名のコックが腕を振るったトプカ… もっと読む
六五〇年近くに亘り、栄華を極めたオスマン帝国。東洋と西洋が交差する大帝都・イスタンブルで、人々はなにを食べていたのか。一五〇〇坪の大膳所で二百六十余名のコックが腕を振るったトプカプ宮殿の献立。屈強なるイェニチェリ軍団の、強烈な食い意地―。古料理書や、市場の食材物価表などを辿り、その興亡史を、「食」視点から大胆に考察する。

目次
巻ノ1 古都は食をはぐくむ
巻ノ2 遊牧の遺産
巻ノ3 ケバブのみがトルコ料理にあらず
巻ノ4 イスタンブルの市場めぐり
巻ノ5 君府料理尽し
巻ノ6 貧者の給食
巻ノ7 トプカプ宮殿の台所
巻ノ8 スルタンの食卓
巻ノ9 祝祭の饗宴
巻ノ10 「土」風から「洋」風へ
トルコ人の料理といえば、まず頭に浮かぶのは、羊の串焼きシシュ・ケバブである。このシシュはトルコ語で「串」あるいは「小剣」を意味するという。さすがに騎馬遊牧民の伝統をさかのぼって中央アジアにまで連なっている。

もちろん、こればかりがトルコ料理ではない。誰にでも身近な基本的な料理はスープである。代表的なのが、レンズ豆をすり潰して作るポタージュだが、トルコ式にはレモンを搾って食するらしい。また、トルコ料理の名物として目立つのはドルマという野菜の詰め物である。だが、なんといっても食卓の最高のご馳走(ちそう)は焼肉類であり、オスマン帝国最盛期のスルタンの食費は国庫中央の支出の2%以上もあったというから驚く。

本書はオスマン帝国研究の第一人者が描くトルコ名物料理案内である。といっても、無類の食通にして博学の著者は、食にまつわる様々な歴史上の出来事に蘊蓄(うんちく)を傾ける。まるで君府・イスタンブルの市場を歩き、トプカピ宮殿の台所をのぞいているような気にさせる。まさしく芳しい食卓のごとく、歴史書の名著の香りがただよっている。
食はイスタンブルにあり 君府名物考 / 鈴木 董
食はイスタンブルにあり 君府名物考
  • 著者:鈴木 董
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(256ページ)
  • 発売日:2020-09-11
  • ISBN-10:406520836X
  • ISBN-13:978-4065208366
内容紹介:
六五〇年近くに亘り、栄華を極めたオスマン帝国。東洋と西洋が交差する大帝都・イスタンブルで、人々はなにを食べていたのか。一五〇〇坪の大膳所で二百六十余名のコックが腕を振るったトプカ… もっと読む
六五〇年近くに亘り、栄華を極めたオスマン帝国。東洋と西洋が交差する大帝都・イスタンブルで、人々はなにを食べていたのか。一五〇〇坪の大膳所で二百六十余名のコックが腕を振るったトプカプ宮殿の献立。屈強なるイェニチェリ軍団の、強烈な食い意地―。古料理書や、市場の食材物価表などを辿り、その興亡史を、「食」視点から大胆に考察する。

目次
巻ノ1 古都は食をはぐくむ
巻ノ2 遊牧の遺産
巻ノ3 ケバブのみがトルコ料理にあらず
巻ノ4 イスタンブルの市場めぐり
巻ノ5 君府料理尽し
巻ノ6 貧者の給食
巻ノ7 トプカプ宮殿の台所
巻ノ8 スルタンの食卓
巻ノ9 祝祭の饗宴
巻ノ10 「土」風から「洋」風へ

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2020年11月7日

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