書評

『情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦』(講談社)

  • 2020/01/04
情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦 / 濃野 平
情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦
  • 著者:濃野 平
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(298ページ)
  • 発売日:2012-03-24
  • ISBN-10:4062174448
  • ISBN-13:978-4062174442
内容紹介:
生と死が交錯するスペイン闘牛の世界へと単身乗り込んだ男が見たものは? 世界唯一の日本人闘牛士による、胸揺さぶる感動の自伝!

生と死のはざまの体験記

本書は、途方もない大夢を抱き、しかもそれをみごとに実現した、ある日本人闘牛士の苦闘の物語である。

著者は、闘牛士になるという固い決意のもと、裸一貫スペインへ渡る。ゼロから出発して、何度も挫折を繰り返しながら、ついに日本人として最高の、ノビジェロ・コン・ピカドール(最高位の一歩手前)にまで、昇り詰める(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2012年)。

まさに、努力と執念なくしては実現しえない、生と死のはざまの体験記だ。闘牛に関する本は、ヘミングウェイや佐伯泰英など、多くの作家や研究者が書いている。しかし、現役の闘牛士が体験を綴った本は、日本語ではおそらくこれが初めてで、その臨場感には圧倒される。好きだから、と口で言うのはたやすいが、ここまで徹底してやり抜く人は、そうはいないだろう。

「闘牛士と牛の闘いなど、存在しない。牛は、闘牛士の創り出す作品の、素材にすぎない」。この、よくも悪くも冷徹な悟りが、闘牛の本質をよく表している。
情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦 / 濃野 平
情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦
  • 著者:濃野 平
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(298ページ)
  • 発売日:2012-03-24
  • ISBN-10:4062174448
  • ISBN-13:978-4062174442
内容紹介:
生と死が交錯するスペイン闘牛の世界へと単身乗り込んだ男が見たものは? 世界唯一の日本人闘牛士による、胸揺さぶる感動の自伝!

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2012年5月20日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

  • 週に1度お届けする書評ダイジェスト!
  • 「新しい書評のあり方」を探すALL REVIEWSのファンクラブ
関連記事
逢坂 剛の書評/解説/選評
ページトップへ