1953年大阪府箕面生まれ。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。エッセイスト、批評家、詩人。文学、映画を中心に、多岐にわたる今日の文化現象を論じる。明治学院大学、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、中央大学(ソウル)、清華大学(台湾)などで、映画史と日本文化論の教鞭をとった。著…もっと読む
- 『原典訳マハーバーラタ〈1〉第1巻』(筑摩書房)四方田 犬彦
『マハーバーラタ』は文字通り、世界でもっとも長い物語である。聖書の16倍というその規模は、文学を天文学へと近付けさせるといってよい。それはこ…
書評 - 『自省録』(岩波書店)四方田 犬彦
マルクス・アウレリウスという人がいた。西暦2世紀にローマで生まれ、時の皇帝であるハドリアヌスに、少年時代からその利発さを褒められたという人物…
書評 - 『南方熊楠・萃点の思想―未来のパラダイム転換に向けて』(藤原書店)四方田 犬彦
南方熊楠(1867-1941)は、明治以降の日本において仏典から最先端の自然科学まで広大な知識を渉猟したばかりか、今日でいう環境保全運動のために権力…
書評 - 『黄金の驢馬』(岩波書店)四方田 犬彦
驢馬を飼おうと思っている。パキスタンから連れてくれば、2万円もしないのだという。だがその後にどうするか、まったく算段がたっていない。驢馬を飼…
書評 - 『風姿花伝』(岩波書店)四方田 犬彦
夭折という言葉は、まだ残っているのだろうか。わたしは知らない。もう長いこと、この言葉に出会っていないからだ。かつては夥しい夭折者が存在して…
書評 - 『神曲【完全版】』(河出書房新社)四方田 犬彦
『神曲』を最初に読んだのは、15歳のときだった。文学全集のなかに入っていたものを、さしたる知識もなく読み出したのだが、これは滅法面白かった。…
書評 - 『ブヴァールとペキュシェ』(岩波書店)四方田 犬彦
あるときこれといって趣味のない、二人の退屈な初老男が偶然に知り合い、ともに学問への深い情熱をもっていることを知って悦ぶ。彼らはそれ以来、ま…
書評 - 『モダニズム変奏曲―東アジアの近現代音楽史』(朔北社)四方田 犬彦
黒澤明や小津安二郎を抜きにした映画史は考えられない。彼らがフランス起源のシネマトグラフに斬新な手法と主題をもちこんだことは、世界的に公認さ…
書評 - 『彩雪に舞う…―楠勝平作品集』(青林工芸舎)四方田 犬彦
漫画が停滞しているといわれて久しい。だがそれは、これまであまりに大量生産されている少年週刊誌が、少子化の煽りを受けて伸び悩んでいたり、蒐集…
書評 - 『生物学の旅―始まりは昆虫採集!』(新潮社)四方田 犬彦
世間では岡田節人さんのことを、どうやら『鉄腕アトム』に登場するお茶の水博士のモデルだと信じているようである。何人もの人から、そう聞かされた…
書評 - 『谷川健一全歌集』(春風社)四方田 犬彦
「明るい冥府がほしいばかりに珊瑚礁の砂に踝(くるぶし)を埋めているのだ」『孤島文化論』に収められたこの一節に、いきなり脳天を直撃されるよう…
書評 - 『ブタをけっとばした少年』(新潮社)四方田 犬彦
トム・ベイカーという変な俳優のことをご存じありませんか?編集部の方からそう尋ねられて、どうも聞いたことのある名前だと思った。なんでもパゾリ…
書評 - 『現代音楽をどう聴くか』(晶文社)四方田 犬彦
秋山邦晴が亡くなったのは、もう一昔も前のことになってしまった。武満徹の同伴者として、現代音楽の優れたチチェローネ(水先案内人)として、氏が…
書評 - 『ロンド』(東京創元社)四方田 犬彦
ほとんどの推理小説はわたしを退屈させる。というのも夥しい登場人物の行状と性格、立場を記憶し、トリックや伏線を巧みに考慮しながら小説作品を読…
書評 - 『映画俳優 安藤昇』(ワイズ出版)四方田 犬彦
日本の映画界がヤクザと切っても切れない関係にあることは、ハリウッドがユダヤ人と密接な関係にあることと、はたして比較できるだろうか。いずれも…
書評 - 『母の声、川の匂い―ある幼時と未生以前をめぐる断想』(筑摩書房)四方田 犬彦
「故郷は語ることなし」と安吾はいった。若くして異郷で知的修練を積んだ者にとって、自分が後にしてきた出自が、できることなら忘れてしまいたいと…
書評 - 『江戸前―日本近代文芸のなかの江戸主義』(ビレッジセンター出版局)四方田 犬彦
江戸学が最近、揉めている。一方に徳川300年をユートピア的に理想化し、遊女こそは最先端の知的女性であったと肯定するロマンティックな立場がある。…
書評 - 『帝国の銀幕―十五年戦争と日本映画』(名古屋大学出版会)四方田 犬彦
本書の日本語版が1995年に刊行されたとき、少なからぬ映画研究家がその意義を認める書評を執筆した。ただひとつ、日本共産党の機関紙である『赤旗』…
書評 - 『オマエラ、軍隊シッテルカ!?―疾風怒涛の入隊編』(バジリコ)四方田 犬彦
まだ20歳代のことだったが、当時、ソウルに住んで外人教師なるものを生業としていたわたしは、夏休みに二人の男子学生といっしょに全羅南道の山深く…
解説 - 『ノスタルギガンテス』(パロル舎)四方田 犬彦
寮美千子の書くものはマザー・テレサをめぐるものからボリス・ヴィアンのパスティッシュともいうべき戯詩まで、実に多岐にわたっている。もっともと…
書評