読書日記
夏休み企画(書評でGo on a Trip ! )中南米・カリブ編
世界各地を〈書評〉で巡る〈書評でGo on a Trip!〉企画、続いては中南米・カリブ編です!中南米・カリブにGo!
【メキシコ】
■オクタビオ・パス『大いなる文法学者の猿』(新潮社)
評者:牧 眞司言葉について言葉で語る堂々めぐり。世界もまた言葉であり、語り手は自らの言葉のむこうに世界を創造しながら、同時に言葉そのものとしての世界を読みほどいていく。(この書評を読む)
【キューバ】
■レイナルド・アレナス『襲撃』(水声社)
評者:星野 智幸アレナスが驚異なのは、徹底した呪詛(じゅそ)と罵(ののし)りに満ちた語りで、このグロテスクな悪夢的世界の耐えがたさを極限まで膨れあがらせるだけでなく、稚気に満ちた表現や設定で、底なしの笑いをももたらすところだ。(この書評を読む)
【コロンビア】
■ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社)
評者:星野 智幸私たちは「百年の孤独」を運命づけられているのだろうか。それを考えるのはそれぞれの読者である。(この書評を読む)
【ペルー】
■マリオ・バルガス=リョサ『悪い娘の悪戯』(作品社)
評者:鴻巣 友季子世界を股にかけた裏切り劇が、愛ゆえに意地を張り通そうとする壮大な「悪戯」だったように思えて、このヒロインが愛しくなってくるのだから、ああ、やっぱり「悪い娘」は怖い。(この書評を読む)
【ブラジル】
■マリオ バルガス=リョサ『世界終末戦争』(新潮社)
評者:牧 眞司『百年の孤独』は架空の村マコンドの年代記だったが、『世界終末戦争』ではブラジルに実在したカヌードスという村の運命が描かれる。実際の歴史のなかでおこった大きな騒動をもとにして、バルガス=リョサはこの小説を書いた。 (この書評を読む)
【チリ】
■ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』(集英社)
評者:牧 眞司『夜のみだらな鳥』を読んだら最後、いつまでもその悪夢につきまとわれる。あの「美しい真実」に魅了されていたころの無垢は、もう二度と取り戻すことはできない。だが、こういう文学には、“センス・オブ・ワンダー”とはちがった種類の“驚異”がある。(この書評を読む)
【チリ】
■ロベルト・ボラーニョ『チリ夜想曲』(白水社)
評者:旦 敬介不幸や抑圧がある場所でこそ生まれてくる文学の罪深さこそが問題にされていたことに呆然となる。(この書評を読む)
【チリ】
■芳田 悠三『ガブリエラ・ミストラル―風は大地を渡る』(JICC出版局)
評者:野谷 文昭ラテンアメリカで初めてノーベル文学賞を受けたチリのガブリエラ・ミストラルは、恋人の自殺という個人的体験を昇華させ、生涯独身を貫きながら、幼い者、虐げられた者への愛をうたうことにより唯一普遍性を獲得した。(この書評を読む)
【アルゼンチン】
■フリオ・コルタサル『すべての火は火』(水声社)
評者:牧 眞司日常と非日常のあわいを描く、コルタサルの筆致は、さりげなく、そして精緻だ。技巧がきわだつようなことなないし、目眩ましという印象を読者に与えることもない。ともすれば読みおとされてしまいそうな、デリケートな描写を重ねて、世界のうつろいをすんなりと表現している。(この書評を読む)
【アルゼンチン】
■ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』(岩波書店)
評者:柳原 孝敦いくつかの雑誌に発表した短編を集めた『伝奇集』は、ボルヘスのボルヘスらしさが詰まった一冊。インテリたちが驚くような博覧強記の人だから、ボルヘスは多面的な作家だけれども、その多面性が十分に堪能できる。(この書評を読む)
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