読書日記

夏休み企画〈書評でGo on a Trip!〉アフリカ編

  • 2020/08/17
世界各地を〈書評〉で巡る〈書評でGo on a Trip!〉企画、続いてはアフリカ編です!

アフリカにGo!

【モロッコ】
ポール・ボウルズ『雨は降るがままにせよ』(思潮社)

評者:牧 眞司

無計画に「知らない街へ行ってみよう」などと思わないほうがいい。そんな衝動が素敵なできごとに結びつくのはお伽噺のなかだけで、たいていはろくでもない結果になる。もっとも「ろくでもない」というのは、あくまでも日常生活の規範に照らしてのことだ。未知の土地を訪れようなどと突然に考えたとき、すでにふつうの生活から逸脱しているのだ。(この書評を読む)

雨は降るがままにせよ / ポール ボウルズ
雨は降るがままにせよ
  • 著者:ポール ボウルズ
  • 翻訳:飯田 隆昭
  • 出版社:思潮社
  • 装丁:単行本(336ページ)
  • ISBN-10:478372749X
  • ISBN-13:978-4783727491
内容紹介:
アメリカでの不毛な生活を脱し、タンジールへやって来たダイアーと、モロッコ人タミ、レズビアンのユーニスらはいかなる運命に翻弄されたか。人間存在の言い知れぬ不安と恐怖、闇の中を手探りで進むように一寸先に待ちうけるどんでん返し、読む度ごとに発見がある伏線につぐ伏線。メイラー、カポーティと並ぶ第二次大戦後を代表する作家であり、スタイン、オーデンらと邂逅し、テネシー・ウィリアムズ、カポーティ、ブライオン・ガイシン、バロウズ、ケルアック、ティモシー・リアリーらから敬愛され、ジェインの夫であった、あのポール・ボウルズの傑作長篇。

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【モロッコ】
ロラン・バルト『偶景』(みすず書房)

評者:橋爪 大三郎

この作品の狙いを、題名が隠しているらしい。偶景(アンシダン)とは〈ミニ・テクスト、短い書きつけ、俳句、……すべて木の葉のように落ちてくるもの〉のこと。他のテクストについてのべる(記号学の)かわりに、直接のべること、ただしただの小説になることを拒む「小説的なもの」をつづることを、バルトはめざしている。(この書評を読む)

偶景【新装版】 / ロラン・バルト
偶景【新装版】
  • 著者:ロラン・バルト
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(184ページ)
  • 発売日:2001-06-06
  • ISBN-10:4622049945
  • ISBN-13:978-4622049944
内容紹介:
本書は4篇のテクストから成っている。母と共生した故郷バイヨンヌの風光と思い出を語った「南西部の光」、パラス座の自由な空間を称えたエッセー。「偶景」は、1968‐69年にかけてのモロッコでの見聞を記録した断章である。モロッコは、スタンダールのイタリア、ジッドのアルジェリアと同様、バルトの欲望が漂流する狂気の場であった。そして、「パリの夜」、これは『失われた時を求めて』の同性愛者シャルリュスがさまよい歩くソドムの都市の住人にかんする日記=ロマネスクである。

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【モロッコ】
四方田犬彦『モロッコ流謫』(筑摩書房)

評者:堀江 敏幸

紀元前からさまざまな民族が奪い合い、一九二三年以後は列強八ヵ国の共同管理下に置かれ、関税が撤廃された自由貿易のコスモポリットな空間を第二次世界大戦後まで保持していたタンジェへの第一歩となるニューヨークでの出会いは、期待どおり第一章でたっぷりと語り直されている。著者にボウルズの翻訳を薦めたのがジム・ジャームッシュであり、住所も彼に教えてもらったこと、手紙を受け取ってタンジェに降り立ったはいいが、作家の家を見つけるのに多大な時間を費やしたことなど、かつてはほんの数行で片づけられていた細部が次々に明らかになる。(この書評を読む)

モロッコ流謫 / 四方田犬彦
モロッコ流謫
  • 著者:四方田犬彦
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(376ページ)
  • 発売日:2014-07-09
  • ISBN-10:4480431853
  • ISBN-13:978-4480431851
内容紹介:
モロッコは人の運命を変える。青く高い空によって、音楽の陶酔によって、いや、何よりも魔術によって。ポール・ボウルズとその妻ジェイン。バロウズ。ジュネ。バルト。石川三四郎…。モロッコは人を砂漠の静寂へと導き、夢想と放浪を説いてやまない。十年にわたりこの神秘の国に魅惑された著者による、旅行記と比較文学論の、みごとな結合。伊藤整文学賞、講談社エッセイ賞受賞。

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【アルジェリア】
中条 省平『100分de名著 カミュ『ペスト』 2018年6月』(NHK出版)

前書き:中条 省平

『ペスト』の作者アルベール・カミュの文学には、どんなに不条理で悲惨な状況を描いても、海と太陽が救いになるような、「向日性」の魅力があります。そうした感覚は、カミュが当時フランスの植民地だったアルジェリアの、地中海沿岸の町で生まれ育った事実と切り離すことはできないでしょう。(この書評を読む)

カミュ『ペスト』 2018年6月 / 中条省平
カミュ『ペスト』 2018年6月
  • 著者:中条省平
  • 出版社:NHK出版
  • 装丁:ムック(116ページ)
  • 発売日:2018-05-25
  • ISBN-10:4142230875
  • ISBN-13:978-4142230877
内容紹介:
理由のない厄災に、いかに向き合うか

地中海に面した仏領アルジェリアの都市・オラン。おびただしい数の鼠の死骸が発見され、人々は熱病に冒され始める。ペストという「不条理な厄災」に見舞われた街で、人々はいかに生きてゆくのか──。ノーベル賞作家アルベール・カミュ(1913~60)の傑作小説『ペスト』を、現代的視点で読み解く。

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【エジプト】
石原 慎太郎『行為と死』(新潮社)

評者:澁澤 龍彦

『行為と死』の冒頭の「スエズ」の場面を読み出して、ゆくりなくも、わたしがまず頭に浮かべたのは、山中峯太郎の文体であった。短かい内的独白を挟みながら、歯切れのよい速度で、適度にハード・ボイルドな描写をつづけて行くところは、アンドレ・マルロオというよりも、むしろ、あのまことに日本的な冒険小説の大家、山中峯太郎そっくりと言うべきである。(この書評を読む)

行為と死 / 石原 慎太郎
行為と死
  • 著者:石原 慎太郎
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(187ページ)
  • ISBN-10:410111904X
  • ISBN-13:978-4101119045
内容紹介:
愛する女性ファリダのために、スエズ義勇軍に参加し、爆薬を抱えて夜の海を泳ぎきり、かけがえのない生命の燃焼の時間を持ち得た男、皆川。ところが東京に帰った皆川は、次から次とさまざまな女の肉体に惑溺し、バルトリン腺粘液の白い海に溺れて過ぎてゆく日々……。交錯するスエズと東京、純粋な愛とすさまじい性の営み、現代人にとっての“人間復権”を激しく追究した野心作。

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【エジプト】
ロバート・アーウィン『アラビアン・ナイトメア』(国書刊行会)

評者:豊崎 由美

これは〈アラビアの悪夢〉をめぐるミステリーであり、冒険小説であり、都市小説であり、ボルヘスばりの迷宮小説であり、幻想小説であり、黒い哄笑を引き起こすコミック・ノベルであり、寓話であり、ありとあらゆる文学の楽しみを詰め込んだ、読み応えという点で申し分のない傑作なのだ。(この書評を読む)

アラビアン・ナイトメア / ロバート・アーウィン
アラビアン・ナイトメア
  • 著者:ロバート・アーウィン
  • 翻訳:若島 正
  • 出版社:国書刊行会
  • 装丁:単行本(395ページ)
  • 発売日:1999-09-01
  • ISBN-10:4336035865
  • ISBN-13:978-4336035868
内容紹介:
15世紀のカイロ。奇怪な悪夢病が蔓延し、様々な陰謀が渦巻くこの都市に到着した巡礼団員バリアンは、もう一つの重大な任務を担っていた…。千一夜物語の世界を舞台に、夢と現実が錯綜するミステリアスな迷宮小説。

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【エジプト】
古川 日出男『アラビアの夜の種族』(角川書店)

評者:豊崎 由美

万能にして眉目秀麗(びもくしゅうれい)な若き執事アイユーブが、主人である知事に秘策を授ける。それは、読む者すべてを狂気に導くという伝説の本「災厄の書」を敵軍に献上すること。主人の許しを得たアイユーブは、エジプト一の語り部ズールムッドの力を借り、「災厄の書」の製作に着手する――。(この書評を読む)

アラビアの夜の種族  / 古川 日出男
アラビアの夜の種族
  • 著者:古川 日出男
  • 出版社:角川書店
  • 装丁:単行本(659ページ)
  • 発売日:2001-12-00
  • ISBN-10:4048733346
  • ISBN-13:978-4048733342
内容紹介:
聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫りくるナポレオン艦隊。対抗する手段はただひとつ、読む者を狂気に導き、歴史さえも覆す一冊の書-。

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【モーリタニア】
小野 節子『女ひとり世界に翔ぶ ― 内側からみた世界銀行28年』(講談社)

評者:松原 隆一郎

著者はジュネーブ大学の大学院で博士号を取った後、直接に世界銀行に就職した人。現場の実務を生々しく語る。砂塵(さじん)舞うアフリカ西部のモーリタニアで、現場の政情や貧困、文化に精通し、関係者をねばり強く説得しながら貸し出しを実施する情熱に打たれる。(この書評を読む)

女ひとり世界に翔ぶ ― 内側からみた世界銀行28年 / 小野 節子
女ひとり世界に翔ぶ ― 内側からみた世界銀行28年
  • 著者:小野 節子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(264ページ)
  • 発売日:2005-08-30
  • ISBN-10:4062130130
  • ISBN-13:978-4062130134
内容紹介:
使命感に駆られて飛び込んだ世界銀行は、政治力なしには生き抜けない、野心と利権の渦巻く"ジャングル"だった…。理想と現実がせめぎあう世界銀行の現場を赤裸々に描く。

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【ガンビア】
アレックス・ヘイリー『ルーツ』(社会思想社)

評者:丸谷才一,木村尚三郎,山崎正和

木村 このクンタという人は、つねに自由を求めて何べんも何べんもトライするわけですね。同時に、自分の民族的な意識をいつも失わない。自分の民族に対する誇りをもっていますね。しかし、ああいった意識は、本当のアフリカ人のものだろうか、むしろアメリカ人の精神ではないかという疑問があります。
山崎 アフリカ人という概念は、彼らがアメリカにくるまでなかった概念なんですからね。(この書評を読む)

ルーツ〈上〉  / アレックス・ヘイリー
ルーツ〈上〉
  • 著者:アレックス・ヘイリー
  • 翻訳:安岡 章太郎,松田 銑
  • 出版社:社会思想社
  • 装丁:-(365ページ)
  • 発売日:1977-09-00
  • ISBN-10:B000J8U1CK

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【ブルキナファソ】
川田 順造『人類の地平から―生きること死ぬこと』(ウェッジ)

評者:鷲田 清一

その、たしかな、奥行きのある語りは、東でも西でもない南の声、そう、アフリカの生活文化からの視線を入れた文化の「三角測量」と、個別への愛着を「一般化への強靱な視線」で支える「離見」(レヴィ=ストロースが世阿弥から学んだ視線)という、川田が長年にわたる西アフリカの生活経験のなかで培った構えからにじみ出てくるものだ。(この書評を読む)

人類の地平から―生きること死ぬこと / 川田 順造
人類の地平から―生きること死ぬこと
  • 著者:川田 順造
  • 出版社:ウェッジ
  • 装丁:単行本(254ページ)
  • 発売日:2004-07-01
  • ISBN-10:4900594741
  • ISBN-13:978-4900594746
内容紹介:
異文化に学ぶ「生と死」のあり方。文明がもたらした「豊かさ」の意味を問い直し、新しい価値観をいかにして構築するか。人間が生きることの意味を、異なる尺度の生活との対比で考え直してみる。日本・フランス・アフリカ-三つの文化を横断して考察してきた著者が、"人類の地平から"未来を見すえ、現代のわれわれの生き方を問う。

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【ナイジェリア】
エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』(岩波書店)

評者:牧 眞司

人の死よりもやし酒が優先である。しかし、これからどうやってやし酒を確保したものか。死んだやし酒造りほどの名人はほかにいない。主人公はしかたなく、死んだやし酒造りを連れもどそうと旅に出る。(この書評を読む)

やし酒飲み  / エイモス・チュツオーラ
やし酒飲み
  • 著者:エイモス・チュツオーラ
  • 翻訳:土屋 哲
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:文庫(240ページ)
  • 発売日:2012-10-17
  • ISBN-10:4003280113
  • ISBN-13:978-4003280119
内容紹介:
「わたしは、十になった子供の頃から、やし酒飲みだった」-。やし酒を飲むことしか能のない男が、死んだ自分専属のやし酒造りの名人を呼び戻すため「死者の町」へと旅に出る。旅路で出会う、頭ガイ骨だけの紳士、幻の人質、親指から生まれ出た強力の子…。神話的想像力が豊かに息づく、アフリカ文学の最高傑作。作者自身による略歴(管啓次郎訳)を付す。

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【ナイジェリア】
チゴズィエ・オビオマ『ぼくらが漁師だったころ』(早川書房)

評者:旦 敬介

そういう本当に幸福な家庭なのだが、いつも行動をともにしている十代の兄弟四人が、魔力をもつと信じられている一人の路上生活者との遭遇を機に分裂していき、いかにもその年代らしい浅はかな判断のくりかえしによって一家を不幸のどん底に陥れていく。(この書評を読む)

ぼくらが漁師だったころ / チゴズィエ・オビオマ
ぼくらが漁師だったころ
  • 著者:チゴズィエ・オビオマ
  • 翻訳:粟飯原 文子
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:単行本(384ページ)
  • 発売日:2017-09-21
  • ISBN-10:4152097140
  • ISBN-13:978-4152097149
内容紹介:
ナイジェリアの小さな町で暮らす四人兄弟を悲劇が襲う。圧倒的な筆力で描かれる少年時代の物語。ロサンゼルス・タイムズ文学賞受賞作

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【ナイジェリア】
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』(河出書房新社)

評者:星野 智幸

政治や思想の議論に幸福を感じ、ハイヒールを履き、口紅を重ね塗りし、好みの服を着る。「生活上の選択を決めるとき、『男性の視線』はきわめて二次的なもの」なのだ。
フェミニストとは、このように自分のことは自分で決める人のことだ。外からの構造的な圧力に屈さずに、自分が選択する権利を行使できる状態のことだ。(この書評を読む)

男も女もみんなフェミニストでなきゃ / チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
男も女もみんなフェミニストでなきゃ
  • 著者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
  • 翻訳:くぼた のぞみ
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(100ページ)
  • 発売日:2017-04-19
  • ISBN-10:4309207278
  • ISBN-13:978-4309207278
内容紹介:
ビヨンセを始め全米が称賛したTEDスピーチ、待望の邦訳! ディオールのパリコレでも同名のロゴTシャツが登場、話題沸騰中!

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【コンゴ(旧ザイール)、スーダン】
リチャード・プレストン『ホット・ゾーン』(飛鳥新社)

評者:速水 健朗

1976年、アフリカのザイール(当時)、スーダンで多くの死者を出したのが最初のエボラの流行。当時はまだ知識もなく、医療関係者にも犠牲が出た。(この書評を読む)

ホット・ゾーン / リチャード・プレストン
ホット・ゾーン
  • 著者:リチャード・プレストン
  • 翻訳:高見 浩
  • 出版社:飛鳥新社
  • 装丁:単行本(468ページ)
  • 発売日:2014-09-25
  • ISBN-10:4864103674
  • ISBN-13:978-4864103671
内容紹介:
脅威の感染メカニズムから、ウィルス制圧に命をかけた医療関係者たちの戦いまで―—。再燃する「エボラ出血熱」のすべてを描ききった、手に汗にぎるノンフィクションが蘇ります。「解説書としての分かりやすさ」と、「小説のように一気に読める面白さ」を兼ね備え、日本をはじめとする全世界で大ベストセラーになった一冊です。

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【コンゴ・ルワンダ・ガボン】
山極 寿一『ゴリラ』(東京大学出版会)

評者:鷲田 清一

類人猿は「人類の過去を探る辞書のひとつ」なのだ。われわれ人類がくり返してきた衝突の悲しい歴史を<共存>の途(みち)へと切り替えるには、その類人猿がたどった<共存>の別の途から、あるいはまた「人類とは異なる自然の見方や利用法」から、うんと学ぶ必要がある。「われわれ人類はけっして最善の方法で自然と接してきたわけではない」からだ。山極はそう考える。(この書評を読む)

ゴリラ / 山極 寿一
ゴリラ
  • 著者:山極 寿一
  • 出版社:東京大学出版会
  • 装丁:単行本(255ページ)
  • ISBN-10:4130633244
  • ISBN-13:978-4130633246
内容紹介:
情熱の動物記。フィールドワークが拓く“人類を超えた動物たち”の世界。

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【ルワンダ】
曽野 綾子『哀歌』(新潮社)

評者:鹿島 茂

だが、本書をひもといた読者は、平和な日本では想像力の及ばない凄まじい憎悪と暴力が民族・部族という要因から生まれ出て、きれいごとの「友好」など一瞬のうちに吹き飛ばし、あっという間にホロコーストの悪夢へ至る現実に深く戦慄することになる。同時に、その黙示録的な描写を通して、人間存在の根源的な苦悩と悲しみを理解する。(この書評を読む)

哀歌〈上〉 / 曽野 綾子
哀歌〈上〉
  • 著者:曽野 綾子
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:文庫(411ページ)
  • 発売日:2006-04-01
  • ISBN-10:4101146411
  • ISBN-13:978-4101146416
内容紹介:
鳥飼春菜はアフリカ最貧国の修道院に赴任した。多数派のフツ族と、少数派だがかつての特権階級のツチ族の対立の中、春菜は日本からは想像もつかないアフリカの現実に晒される。ラジオからは「ゴキブリ(ツチ族)を殺せ!」という檄が連日流れる。やがて微妙なバランスが崩れ、暴力と憎悪が炸裂した。100日で100万人が犠牲になったとも言われる、ルワンダの悲劇をテーマに描く待望の長編。

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【ケニア】
ロバート・M・サポルスキー『サルなりに思い出す事など ―― 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々』(みすず書房)

評者:斎藤 環

著者はニューヨークで生まれ育ったユダヤ人にして無神論者。幼き日の夢はマウンテンゴリラになること。それが無理と知った彼は、妥協してヒヒの研究者となった。(この書評を読む)

サルなりに思い出す事など ―― 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々 / ロバート・M・サポルスキー
サルなりに思い出す事など ―― 神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々
  • 著者:ロバート・M・サポルスキー
  • 翻訳:大沢 章子
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(424ページ)
  • 発売日:2014-05-23
  • ISBN-10:4622078325
  • ISBN-13:978-4622078326
内容紹介:
東アフリカの地でそれぞれの生と格闘する人間たちおよびヒヒたちを、大いなる霊長類愛とともに描きだす抱腹絶倒のノンフィクション。

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【ケニア】
三浦 英之『牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って』(小学館)

評者:武田 砂鉄

現地で出会った、野生ゾウの保護活動に勤しむ女性が言う。「問題の解決方法は実はとっても簡単なんです。『象牙を買わない』。それだけなの」。(この書評を読む)

牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って / 三浦 英之
牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って
  • 著者:三浦 英之
  • 出版社:小学館
  • 装丁:単行本(245ページ)
  • 発売日:2019-05-08
  • ISBN-10:4093886946
  • ISBN-13:978-4093886949
内容紹介:
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!? アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。その犯人は、象牙の国際密猟組織。元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過… もっと読む
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!?

アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。
野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。

その犯人は、象牙の国際密猟組織。
元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過激派テロリストの資金源になっている実態に迫り、背後に蠢く中国の巨大な影を見つける。

そして問題は、象牙の印鑑を重宝する私たち日本人へと繋がっていく。

密猟組織のドン、過激派テロリスト、中国大使館員、日本の象牙業者。
虐殺の「真犯人」とは、いったい誰なのか――。

選考委員満場一致の第25回「小学館ノンフィクション大賞」受賞作。

◎高野秀行(ノンフィクション作家)
「ショッキングな現実が勢いある筆致で描かれ、『ザ・ノンフィクション』の醍醐味がある」

◎古市憲寿(社会学者)
「実は日本が加害者だった? ゾウと我々の意外な関係性が明らかになる」

◎三浦しをん(作家)
「私は、今後も象牙の印鑑は絶対作らないぞと決意した」

【編集担当からのおすすめ情報】
開高健ノンフィクション賞、石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞も受賞した筆者による、
すべてのノンフィクション好きにお読みいただきたい一冊です。

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【ケニア・タンザニア】
羽仁 進『とんでったら あふりか』(福音館書店)

評者:南 伸坊

でてくる動物、ネコやヒョウや、フラミンゴやバッファローや、ライオンやゾウや、サイやキリンや、シマウマやウサギの、かわいくてイキイキしていること、表情のゆたかなこと。(この書評を読む)

とんでったら あふりか / 羽仁 進
とんでったら あふりか
  • 著者:羽仁 進
  • 出版社:福音館書店
  • 装丁:単行本(0ページ)
  • 発売日:2006-03-31
  • ISBN-10:4834021947
  • ISBN-13:978-4834021943
内容紹介:
動物世界の知られざる自由で不思議な生のあり方。羽仁進・映画監督が子どもたちに贈るアフリカの夢。

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【ソマリア】
永井 陽右『僕らはソマリアギャングと夢を語る――「テロリストではない未来」をつくる挑戦』(英治出版)

評者:旦 敬介

世界的な紛争に関しては、個人にはどうしようもないと諦めがちだが、小さなところから始めて積み重ねていけばたしかに少しずつ変えられる、改善できる、という強力なメッセージをこの本は発している。(この書評を読む)

僕らはソマリアギャングと夢を語る――「テロリストではない未来」をつくる挑戦 / 永井 陽右
僕らはソマリアギャングと夢を語る――「テロリストではない未来」をつくる挑戦
  • 著者:永井 陽右
  • 出版社:英治出版
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(208ページ)
  • 発売日:2016-05-10
  • ISBN-10:4862762220
  • ISBN-13:978-4862762221
内容紹介:
「ソマリアほど劣悪だと、誰も何もできやしないよ」何度そんなことを言われただろう。ある日知ってしまった紛争地の問題を、「何とかしたい」と思い立つ著者。「無理だ」と言われ続けながらも、日本とアフリカで仲間を集め、「自分たちだからできること」を探し続けた。現実と理想のギャップ、答えが見えない無力感、仲間との対立…数々の困難を乗り越えた末に出会ったのは、「テロリスト予備軍」と呼ばれる同年代のギャングだった。各国メディアが注目!「世界最悪の紛争問題」に挑む若者たちの奮闘記。

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【ジンバブエ】
高尾 具成『特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸』(岩波書店)

評者:小野 正嗣

ジンバブエでは報道規制と年率10万%(!)のハイパーインフレに悩まされながら取材を続ける記者魂。マンデラ元大統領を語る言葉はまっすぐな敬意に満ち温かい。(この書評を読む)

特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸 / 高尾 具成
特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸
  • 著者:高尾 具成
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(272ページ)
  • 発売日:2013-06-26
  • ISBN-10:4000230514
  • ISBN-13:978-4000230513
内容紹介:
内戦や暴力、貧困…植民地支配の負の遺産に苦しみながらも前に進もうとするアフリカの多様な姿を、そこに生きる人々の姿を通して、生き生きと伝える。

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【南アフリカ】
宮内 悠介『ヨハネスブルグの天使たち』(早川書房)

評者:大森 望

本書は全5話から成る近未来SF連作集。“歌姫”と呼ばれる少女型の日本製ホビーロボットDX9が軸となる。歌を歌わせることのできる電子楽器というか、初音ミクみたいなボーカロイド(音声合成ソフト)にボディを与えたような存在ですね。(この書評を読む)

ヨハネスブルグの天使たち  / 宮内 悠介
ヨハネスブルグの天使たち
  • 著者:宮内 悠介
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(288ページ)
  • 発売日:2015-08-21
  • ISBN-10:4150312001
  • ISBN-13:978-4150312008
内容紹介:
9・11の現場からアフガンまで世界五都市を舞台に、日本製の機械人形を媒介に民族・宗教・紛争・言語などの本質に迫る連作短篇集。SF的想像力で世界のリアルに肉薄する五篇、文庫化。

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【南アフリカ】
ゾーイ・ウィカム『デイヴィッドの物語』(大月書店)

評者:大森 望

白人支配層から差別され抑圧されていた黒人たちの闘争と解放の物語を描けば、それがナショナル・ヒストリーとなって一件落着とはいかない。南アには白人と黒人だけではなく、「カラード」という混血層が存在するからだ。この人々の〈歴史=物語〉を、アパルトヘイト以降の南ア文学は、どのように描けばよいのか?(この書評を読む)

デイヴィッドの物語 / ゾーイ・ウィカム
デイヴィッドの物語
  • 著者:ゾーイ・ウィカム
  • 翻訳:くぼた のぞみ
  • 出版社:大月書店
  • 装丁:単行本(392ページ)
  • 発売日:2012-11-01
  • ISBN-10:4272600516
  • ISBN-13:978-4272600519
内容紹介:
解放闘争の内幕をゴシック/ミステリータッチで描く圧倒的なナラティヴ・ヒストリー。アパルトヘイト崩壊で混迷する南アフリカ。活動家、スパイ、破壊工作員が暗躍する地下世界の、歴史の表舞台にのぼらなかった、相矛盾する真実がいまあらわに。

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【南アフリカ】
J.M.クッツェー『モラルの話』(人文書院)

評者:沼野 充義

老いの問題に焦点を当てながら、常識破りの奇矯な老母と、多少偽善的なところがあるにせよ、常識的に親孝行な子供たちの間のやりとりが描かれている。辛辣な味付けの喜劇として楽しめないこともない。しかし、クッツェーの「モラル」の真骨頂はその先にある。(この書評を読む)

モラルの話 / J.M.クッツェー
モラルの話
  • 著者:J.M.クッツェー
  • 翻訳:くぼた のぞみ
  • 出版社:人文書院
  • 装丁:単行本(157ページ)
  • 発売日:2018-05-30
  • ISBN-10:9784409130407
  • ISBN-13:978-4409130407
内容紹介:
欲望すること。歳をとること。人間であること。
円熟期にある作家が、今どうしても伝えたいこと。
「人間のモラル」の底を描く、余韻に富んだ最新作。
ノーベル賞作家が、これまで自明とされてきた近代的な価値観の根底を問い、時にシニカルな、時にコミカルな筆致で開く新境地。英語オリジナル版に先駆け贈る、極上の7つの物語。

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