読書日記

夏休み企画(書評でGo on a Trip ! )東欧・ロシア編

  • 2020/08/15
世界各地を〈書評〉で巡る〈書評でGo on a Trip!〉企画、続いては東欧・ロシア編です!

東欧・ロシアにGo!

【東欧諸国】
沼野 充義・編『東欧怪談集』(河出書房新社)

評者:米原 万里

常日ごろ潜在意識下に追いやって気づかないふりをしている強迫観念や幻覚という、人間の持つもう一つの果てしなく奥深く豊かな世界に引きずり込んでくれる。(この書評を読む)

東欧怪談集 /
東欧怪談集
  • 編集:沼野 充義
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:文庫(436ページ)
  • 発売日:1995-01-01
  • ISBN-10:4309461360
  • ISBN-13:978-4309461366
内容紹介:
西方的形式と東方的混沌の間に生まれた、未体験の怪奇幻想の世界へようこそ。チェコ、ハンガリー、マケドニア、ルーマニア……の各国の怪作を、原語から直訳。極上の文庫オリジナル・アンソロジー!

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【チェコ】
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』(集英社)

評者:辻原 登

クンデラの小説技法の新しさを云々されることが多いが、それはあまり大したことではないと思う。デュマの『三銃士』が面白いように、クンデラの小説にも、堪えられない旨さがある。(この書評を読む)

存在の耐えられない軽さ / ミラン・クンデラ
存在の耐えられない軽さ
  • 著者:ミラン・クンデラ
  • 翻訳:千野 栄一
  • 出版社:集英社
  • 装丁:文庫(399ページ)
  • 発売日:1998-11-20
  • ISBN-10:4087603512
  • ISBN-13:978-4087603514
内容紹介:
本書はチェコ出身の現代ヨーロッパ最大の作家ミラン・クンデラが、パリ亡命時代に発表、たちまち全世界を興奮の渦に巻き込んだ、衝撃的傑作。「プラハの春」とその凋落の時代を背景に、ドン・ファンで優秀な外科医トマーシュと田舎娘テレザ、奔放な画家サビナが辿る、愛の悲劇-。たった一回限りの人生の、かぎりない軽さは、本当に耐えがたいのだろうか?甘美にして哀切。究極の恋愛小説。

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【チェコ】
ライナー・シュタッハ『この人、カフカ?:ひとりの作家の99の素顔』(白水社)

評者:池内 紀

高校卒業試験でカンニングをするカフカ、毎晩新式の体操をしているカフカ、嘘をつこうとするとヘマをするカフカ、女の子にすぐ惚れてしまうカフカ……一人の誠実で、やさしく、不器用な青年が浮かび上がる。(この書評を読む)

この人、カフカ?:ひとりの作家の99の素顔 / ライナー・シュタッハ
この人、カフカ?:ひとりの作家の99の素顔
  • 著者:ライナー・シュタッハ
  • 翻訳:本田 雅也
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(342ページ)
  • 発売日:2017-03-16
  • ISBN-10:4560095418
  • ISBN-13:978-4560095416
内容紹介:
日記や手紙、走り書きやサイン、出版広告や高校修了証、アンケート用紙や遺言状などから、作家の知られざる魅力を浮かび上がらせる。

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【チェコ】
ミハル・アイヴァス『もうひとつの街』(河出書房新社)

評者:小野 正嗣

実際、この本の語り手と同様、我々ははじめ目を疑うだろう。視界に立ち現れてくるのは、プラハ城やカレル橋など確かに〈あのプラハ〉だ。しかしそうした光景を描いているはずの文字が、異教の神々を祀る祭典で奉納されるにふさわしい官能的な舞踏を踊り出す。言葉はもはや外側から対象を記述するのに倦んで、対象の内部に、そして我々の視線の片隅に隠されていた思いも寄らぬ空間を次々と明らかにする。(この書評を読む)

もうひとつの街 / ミハル・アイヴァス
もうひとつの街
  • 著者:ミハル・アイヴァス
  • 翻訳:阿部 賢一
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(216ページ)
  • 発売日:2013-02-22
  • ISBN-10:430920614X
  • ISBN-13:978-4309206141
内容紹介:
雪降りしきるプラハの古書店で、菫色の装丁がほどこされた本を手に取った"私"。この世のものではない文字で綴られたその古書に誘われ、"もうひとつの街"に足を踏み入れる。硝子の像の地下儀式、魚の祭典、ジャングルと化した図書館、そして突如現れる、悪魔のような動物たち-。幻想的で奇異な光景を目のあたりにし、私は、だんだんとその街に魅了されていく…。世界がいまもっとも注目するチェコ作家の代表作。

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【チェコ】
デレク・セイヤー『プラハ、二〇世紀の首都:あるシュルレアリスム的な歴史』(白水社)

評者:鹿島 茂

遅れてきたがゆえにいきなり二〇世紀の最先端に躍り出たチェコ・アヴァンギャルドは廃墟の予感とともに誕生し、戦後は共産党支配という究極の悪夢を生きた後に再生するという二〇世紀の首都にふさわしい運命を辿ったのである。(この書評を読む)

プラハ、二〇世紀の首都:あるシュルレアリスム的な歴史 / デレク・セイヤー
プラハ、二〇世紀の首都:あるシュルレアリスム的な歴史
  • 著者:デレク・セイヤー
  • 翻訳:阿部 賢一,宮崎 淳史,河上 春香
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(722ページ)
  • 発売日:2018-09-28
  • ISBN-10:4560095825
  • ISBN-13:978-4560095829
内容紹介:
モダニティと超現実の出会い ベンヤミンはかつてパリを「19世紀の首都」と名づけ、モダニズムの前史を見いだそうとした。本書はその精神を引き継ぎ、プラハを「20世紀の首都」と位置づけ、ポストモダンの目覚めをそこに読み解く。 20世紀を通じ、プラハは世界でも他に例を見ないほど、「超現実的」… もっと読む
モダニティと超現実の出会い

ベンヤミンはかつてパリを「19世紀の首都」と名づけ、モダニズムの前史を見いだそうとした。本書はその精神を引き継ぎ、プラハを「20世紀の首都」と位置づけ、ポストモダンの目覚めをそこに読み解く。
20世紀を通じ、プラハは世界でも他に例を見ないほど、「超現実的」なまでにさまざまな政治的・地理的変動を経験した。文化的には、パリに次ぐシュルレアリスム第2の中心として、「モダニストたちの夢がある時代を謳歌し、そしてふたたび破綻していった場所」であったが、カフカ『訴訟』や『城』、ハシェク『善良なる兵士シュヴェイクの冒険』、フラバル『あまりにも騒がしい孤独』、クンデラ『可笑しい愛』といったアイロニーや不条理に満ちた世界文学を代表する傑作が生まれ、さまざまな芸術潮流が交錯する場でもあった。
詩や小説の抜粋、回想録、書簡、論考、インタビューなどをコラージュのように随所に織り込む巧みな語りによって、中欧の都に花開いた文学、美術、音楽、写真、演劇、建築、デザインにいたるまで、多岐にわたるジャンルを軽やかに横断する。従来のプラハ論とは一線を画す、刺激的かつ画期的論考! 図版多数。

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【ハンガリー】
アンドラーシュ・シフ『静寂から音楽が生まれる』(春秋社)

評者:堀江 敏幸

ハンガリー出身のピアニスト、アンドラーシュ・シフの長大なインタビューとエッセイを二部構成で収める本書は、話し言葉と書き言葉が補完しあい、深いところで共鳴するように、つまり後者を前者の自註と読むこともできる、読者にとってありがたい構成になっている。(この書評を読む)

静寂から音楽が生まれる / アンドラーシュ・シフ
静寂から音楽が生まれる
  • 著者:アンドラーシュ・シフ
  • 翻訳:岡田 安樹浩
  • 出版社:春秋社
  • 装丁:単行本(424ページ)
  • 発売日:2019-09-07
  • ISBN-10:4393936027
  • ISBN-13:978-4393936023
内容紹介:
今日世界で最も注目を集める音楽家であり、日本での人気も極めて高いピアニスト、アンドラーシュ・シフのインタビュー&エッセイ集。

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【ハンガリー】
アゴタ・クリストフ『悪童日記』(早川書房)

評者:辻原 登

表面無邪気をよそおいながら、底意地悪く、復讐心の強い、あらゆる法律を軽蔑し、そのくせ同情心もかねそなえた子供の冒険を描いた小説ジャンルのひとつ、悪漢小説の系譜につながるものとしても読んだ。(この書評を読む)

悪童日記  / アゴタ・クリストフ
悪童日記
  • 著者:アゴタ・クリストフ
  • 翻訳:堀 茂樹
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(301ページ)
  • 発売日:2001-05-01
  • ISBN-10:4151200029
  • ISBN-13:978-4151200021
内容紹介:
戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理-非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。

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【ルーマニア】
ジュール・ヴェルヌ『カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密』(インスクリプト)

評者:若島 正

ヴェルヌの小説を読むことで、小説そのものがスペクタクルつまりは見世物だった、ヴェルヌが執筆していた十九世紀後半から二十世紀初頭にかけての、興味尽きない時代へと旅をすることができる。(この書評を読む)

カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密 / ジュール・ヴェルヌ
カルパチアの城 ヴィルヘルム・シュトーリッツの秘密
  • 著者:ジュール・ヴェルヌ
  • 翻訳:新島 進
  • 出版社:インスクリプト
  • 装丁:単行本(388ページ)
  • 発売日:2018-10-31
  • ISBN-10:4900997757
  • ISBN-13:978-4900997752
内容紹介:
かたや美しきヴォーカロイド、かたや恐るべき透明人間ストーカー。不在の女性への狂恋が奔騰する、ヴェルヌの最も21世紀的小説。

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【ルーマニア】
ミルチャ・エリアーデ『ムントゥリャサ通りで』(法政大学出版局)

評者:牧 眞司

描かきだされた驚異は単純だが力強く、読み手の心に響きわたる。ずっとむかしから知っていたはず、あるいは、夢のなかでいつも見ているのとおなじだ――そんな気持ちに満たされる。(この書評を読む)

ムントゥリャサ通りで / ミルチャ・エリアーデ
ムントゥリャサ通りで
  • 著者:ミルチャ・エリアーデ
  • 翻訳:直野 敦
  • 出版社:法政大学出版局
  • 装丁:単行本(174ページ)
  • 発売日:2003-10-01
  • ISBN-10:4588490249
  • ISBN-13:978-4588490248
内容紹介:
第二次世界大戦後のルーマニアの政情を背景に,現実世界と神話的世界の交錯のうちにカフカ的状況がかもし出される。宗教学者・文学者エリアーデの代表的幻想小説。

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【ルーマニア】
ヘルタ・ミュラー『狙われたキツネ』(三修社)

評者:阿刀田 高

1989年の冬、市民の暴動を機に革命が起こり、チャウシェスク大統領の死刑を経て新しい体制への移行を実現させた。本書はこの時期の庶民の日常を綴った小説。(この書評を読む)

狙われたキツネ 新装版 / ヘルタ・ミュラー
狙われたキツネ 新装版
  • 著者:ヘルタ・ミュラー
  • 翻訳:山本 浩司
  • 出版社:三修社
  • 装丁:ハードカバー(370ページ)
  • 発売日:2009-11-14
  • ISBN-10:4384042760
  • ISBN-13:978-4384042764
内容紹介:
チャウシェスク独裁政権下のルーマニアを舞台に家宅侵入、尾行、盗聴。つきまとう秘密警察の影に怯える日々。そうしたなかで、ひとりの女が愛にすべてを賭ける。しかしそれには、親友との友情を引き裂くものだった…ノーベル文学賞受賞!祖国を追われた女性作家ヘルタ・ミュラーが描くチャウシェスク独裁政権下のルーマニアを舞台に繰り広げられるあまりに切ない物語。

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【ブルガリア】
服部 文昭『古代スラヴ語の世界史』(白水社)

評者:出口 治明

古代スラヴ語はブルガリアで定着する。そして、9世紀末に新たなアルファベットであるより書きやすいキリル文字が出現したのである。(この書評を読む)

古代スラヴ語の世界史 / 服部 文昭
古代スラヴ語の世界史
  • 著者:服部 文昭
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(216ページ)
  • 発売日:2020-01-21
  • ISBN-10:4560088640
  • ISBN-13:978-4560088647
内容紹介:
スラヴ人はどこから来てどのように自分たちの文字を獲得したのか。そしてスラヴ人の言語は歴史と共にどのように変化したのだろうか。

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【ボスニア・ヘルツェゴビナ】
クリストファー・クラーク『夢遊病者たち 1――第一次世界大戦はいかにして始まったか』(みすず書房)

評者:池内 紀

セルビア政府に対するオーストリアの最後通牒と覚書(書簡)のくだりだが、草案の作成が、あまり地位の高くない参事官で名文家として知られていた男爵にゆだねられた。「誠実で善意の人」が、歴史的災厄をもたらすチェスゲームのコマになった。(この書評を読む)

夢遊病者たち 1――第一次世界大戦はいかにして始まったか / クリストファー・クラーク
夢遊病者たち 1――第一次世界大戦はいかにして始まったか
  • 著者:クリストファー・クラーク
  • 翻訳:小原淳
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(432ページ)
  • 発売日:2017-01-26
  • ISBN-10:4622085437
  • ISBN-13:978-4622085430
内容紹介:
第一次世界大戦はいかにして始まったのか。戦争勃発の全貌を活写し、異例の反響を呼んだ、第一次世界大戦研究の決定版。

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【ポーランド】
オルガ・トカルチュク『昼の家、夜の家』(白水社)

評者:沼野 充義

全体主義や社会主義の大きな物語の崩壊後、過去の遺産を夢のかけらのようなものに分解し、美味しい料理にまでしてくれる――それは少々毒の入った、危険な料理なのかも知れないのだけれども。(この書評を読む)

昼の家、夜の家 / オルガ・トカルチュク
昼の家、夜の家
  • 著者:オルガ・トカルチュク
  • 翻訳:小椋 彩
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(380ページ)
  • 発売日:2010-10-19
  • ISBN-10:4560090122
  • ISBN-13:978-4560090121
内容紹介:
ポーランドとチェコの国境地帯にある小さな町、ノヴァ・ルダ。そこに移り住んだ語り手は、隣人たちとの交際を通じて、その地方の来歴に触れる。しばしば形而上的な空想にふけりながら、語り手が綴る日々の覚書、回想、夢、会話、占い、その地に伝わる聖人伝、宇宙天体論、料理のレシピの数々…。豊かな五感と詩情をもって、歴史に翻弄されてきた土地の記憶を幻視する。現代ポーランド文学の旗手による傑作長編。

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【ポーランド】
スタニスワフ・レム『ソラリス』(早川書房)

評者:大森 望

古今東西のSF作家の中で、最高の知性の持ち主は誰か? 作品から判断する限り、最有力候補は、ポーランドのスタニスワフ・レム。その天才が、人類とは異質な知性を正面から描き出した『ソラリス』は、近年のオールタイムベストSF投票で不動の1位を保つ名作中の名作。(この書評を読む)

ソラリス  / スタニスワフ・レム
ソラリス
  • 著者:スタニスワフ・レム
  • 翻訳:沼野 充義
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(432ページ)
  • 発売日:2015-04-08
  • ISBN-10:4150120005
  • ISBN-13:978-4150120009
内容紹介:
惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か? ――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。レム研究の第一人者によるポーランド語原典からの完全翻訳版。

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【ポーランド】
ジョゼフ・チャプスキ『収容所のプルースト』(共和国)

評者:高遠 弘美

明日への希望も断たれたなかで、囚人たちは各自が得意な分野について講義をし合うことを思いつく。それがせめても人間らしさを失わず、精神の荒廃から自分を守る方法であった。チャプスキが選んだテーマは絵画と文学、そしてプルーストの小説だった。(この書評を読む)

収容所のプルースト  / ジョゼフ・チャプスキ
収容所のプルースト
  • 著者:ジョゼフ・チャプスキ
  • 翻訳:岩津 航
  • 出版社:共和国
  • 装丁:単行本(193ページ)
  • 発売日:2018-01-27
  • ISBN-10:4907986424
  • ISBN-13:978-4907986421
内容紹介:
1939年、「カティンの森」での大虐殺の前夜。ソ連の強制収容所で開催されたプルースト『失われた時を求めて』講義のすべて。

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【ポーランド】
ステファン・グラビンスキ『動きの悪魔』(国書刊行会)

評者:古屋 美登里

著者は「ポーランドのポオ」とも呼ばれていたそうで、文章の華麗さ、錯乱した精神の発露、にじり寄る死の気配など、確かに19世紀のポオの香りを彷彿させるところがあります。なにより魅力的なのは、機関車の力強い動きと作中におけるその役割でしょう。機関車自体が一種の凶器であり狂気であり、驚喜ですらあるのです。(この書評を読む)

動きの悪魔 / ステファン グラビンスキ
動きの悪魔
  • 著者:ステファン グラビンスキ
  • 翻訳:芝田文乃
  • 出版社:国書刊行会
  • 装丁:単行本(318ページ)
  • 発売日:2015-07-27
  • ISBN-10:4336059292
  • ISBN-13:978-4336059291
内容紹介:
「ポーランドのポー」「ポーランドのラヴクラフト」の異名をとる東欧の恐怖小説作家が描く幻視と奇想に満ちた鉄道怪談小説。

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【ベラルーシ】
小梅 けいと/スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』(KADOKAWA)

評者:中条 省平

『戦争は女の顔をしていない』は2015年にノーベル文学賞を受けたベラルーシの女性作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの最初の作品で、第2次世界大戦に従軍したソ連の500人以上の女性の聞き書きをまとめたルポルタージュです。このドイツとの戦争でソ連の国民は約2700万人が死んでいます。ソ連は第2次大戦の最大の犠牲国なのです。この恐るべき総力戦のなかで、ソ連の女性は自ら志願して戦場に身を投じました。(この書評を読む)

戦争は女の顔をしていない 1 / 小梅 けいと
戦争は女の顔をしていない 1
  • 著者:小梅 けいと
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:コミック(192ページ)
  • 発売日:2020-01-27
  • ISBN-10:4049129825
  • ISBN-13:978-4049129823
内容紹介:
第二次世界大戦の真実を明らかにする……

「一言で言えば、ここに書かれているのはあの戦争ではない」……500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ。

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【ロシア】

ゴーゴリ『外套・鼻』(岩波書店)

評者:島田 雅彦

ドストエフスキーはかつて「我々は皆『外套』から生まれてきた」といった。ロシアの散文は、ゴーゴリ以後、民話の時代から小説の時代に入った。近代ロシア文学の黄金期それはロシア帝国の版図拡大と重なる。(この書評を読む)

外套・鼻  / ゴーゴリ
外套・鼻
  • 著者:ゴーゴリ
  • 翻訳:平井 肇
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:文庫(143ページ)
  • 発売日:2006-02-16
  • ISBN-10:4003260538
  • ISBN-13:978-4003260531
内容紹介:
ある日、鼻が顔から抜け出してひとり歩きを始めた…写実主義的筆致で描かれる奇妙きてれつなナンセンス譚『鼻』。運命と人に辱められる一人の貧しき下級官吏への限りなき憐憫の情に満ちた『外套』。ゴーゴリ(1809‐1852)の名翻訳者として知られる平井肇(1896‐1946)の訳文は、ゴーゴリの魅力を伝えてやまない。

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【ロシア】

■沼野 充義『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)

評者:山崎 正和

偉大な天才の照れ性には、天も加担するのかもしれない。死の床で彼は妻に最期の一言を呟いたが、それは「私は死ぬ」というドイツ語にも聞こえ、「こんちくしょう」というロシア語にも聞こえる言葉だったという。(この書評を読む)

チェーホフ 七分の絶望と三分の希望 / 沼野 充義
チェーホフ 七分の絶望と三分の希望
  • 著者:沼野 充義
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(386ページ)
  • 発売日:2016-01-26
  • ISBN-10:4062196859
  • ISBN-13:978-4062196857
内容紹介:
チェーホフとは何者だったのか?世界的短篇作家チェーホフの文学とその知られざる素顔を、新資料を駆使して描く新しいチェーホフ論!

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【ロシア】
ウラジーミル・ソローキン『愛』(国書刊行会)

評者:豊崎 由美

死体愛好、スカトロジー、スプラッター趣味、文体破壊といった掟破りの技法をふんだんに使って、ソローキンは文学の廃墟を現前させる。それは、しかし、不毛な行為ではない。人間には廃墟を美しいと感じてしまう感性もあるのだから。しかも、これは文学の遺産を取り込んだ上での戯れだ。(この書評を読む)

愛 / ウラジーミル・ソローキン
  • 著者:ウラジーミル・ソローキン
  • 翻訳:亀山 郁夫
  • 出版社:国書刊行会
  • 装丁:単行本(297ページ)
  • 発売日:1999-01-01
  • ISBN-10:4336039607
  • ISBN-13:978-4336039606
内容紹介:
愛の物語を一切省き突然の狂気へと読者を引きずりこむ表題作のほか、「真夜中の客」「競争」など、日常の風景のなかに無造作に悪意を投げ込んで練りあげられた文学的オブジェたち。グロテスクかつアンチ・モラルな短篇集。

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【ロシア】
サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ『スターリン―赤い皇帝と廷臣たち』(白水社)

評者:楠木 建

今から振り返れば、スターリンは20世紀を代表する大悪人といってもよい。しかし、桁外れのリーダーが出てきたとき、どこまで人間社会をコントロールしてしまうのか、その恐ろしさをまざまざと教えてくれる。 (この書評を読む)

スターリン―赤い皇帝と廷臣たち〈上〉 / サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ
スターリン―赤い皇帝と廷臣たち〈上〉
  • 著者:サイモン・セバーグ・モンテフィオーリ
  • 翻訳:染谷 徹
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(635ページ)
  • 発売日:2010-02-01
  • ISBN-10:4560080453
  • ISBN-13:978-4560080450
内容紹介:
権力掌握から独ソ戦まで「人間スターリン」の実像に迫る画期的な伝記。英国文学賞「歴史部門」受賞作品。

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【ロシア】
米原 万里『ロシアは今日も荒れ模様』(講談社)

評者:井上 ひさし

その意味で本書は〈爆笑しながら読むロシア現代史〉として、のちのちまで第一級資料として引用されるはずである。(この書評を読む)

ロシアは今日も荒れ模様 / 米原 万里
ロシアは今日も荒れ模様
  • 著者:米原 万里
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(288ページ)
  • 発売日:2001-02-15
  • ISBN-10:4062730804
  • ISBN-13:978-4062730808
内容紹介:
「ロシアとロシア人は退屈しない」そう断言する著者は、同時通訳という仕事柄、彼の地を数限りなく訪れている。そして、知れば知るほど謎が深まるこの国は、書かずにはいられないほどの魅力に満ちあふれている。激動に揺れながら過激さとズボラさ、天使と悪魔が共に棲む国を鋭い筆致で暴き出す爆笑エッセイ。

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【ロシア・東欧】
佐藤 優『十五の夏』(幻冬舎)

評者:本村 凌二

本書には読者をして自分の人生をふりかえらせる力がある。あらためて自分がほんとうに好きなものは何であるのかを問い直してみたくなる。まぎれもなく青春紀行文学の傑作である。(この書評を読む)

十五の夏 上 / 佐藤 優
十五の夏 上
  • 著者:佐藤 優
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:単行本(433ページ)
  • 発売日:2018-03-29
  • ISBN-10:4344032705
  • ISBN-13:978-4344032705
内容紹介:
一九七五年、高1の夏休み。僕はたった一人でソ連・東欧を旅行した。『何でも見てやろう』『深夜特急』につづく旅文学の新たな金字塔。

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【カザフスタン】
岡 奈津子『〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン』(白水社)

評者:沼野 充義

聞き取り調査の対象となったのは、弁護士、政党幹部、教師、校長、運転手、元内務省職員、看護師、主婦、年金生活者など、エリートから市井の弱者まで、実に様々。社会の断面が広く浮かび上がってくる。(この書評を読む)

〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン / 岡 奈津子
〈賄賂〉のある暮らし:市場経済化後のカザフスタン
  • 著者:岡 奈津子
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(256ページ)
  • 発売日:2019-10-29
  • ISBN-10:4560097283
  • ISBN-13:978-4560097281
内容紹介:
ソ連崩壊後、独立して計画経済から市場経済に移行したカザフスタン。国のありかたや人びとの生活はどのような変化を遂げたのだろうか

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