読書日記

夏休み企画〈書評でGo on a Trip!〉オセアニア・極地・世界旅行編

  • 2020/08/19
世界各地を〈書評〉で巡る〈書評でGo on a Trip!〉企画、ラストはオセアニア編・極地・世界旅行編です!
※Special Thanks!:書評推薦者 くるくるさん、hiroさん、やすだともこさん 、Fabioさん

オセアニアにGo!

【オーストラリア】
ケイト・グレンヴィル『闇の河 THE SECRET RIVER』(現代企画室)

評者:鴻巣 友季子

訳者は豪州の三神話として、(1)流罪となった者は元々イギリス階級社会の犠牲者だという解釈(2)罪びとが危険な未開の地で立派な開拓者となり更生するという筋書き(3)開拓者と先住民の邂逅(かいこう)・接触――を挙げているが、求心的な国家神話として機能してきたのは、(1)と(2)。本書でいえば、ソーンヒルがささやかな成功を収める所までだ。『闇の河』は中々折り合いのつかない(3)の部分に、全体の三分の二以上を割いている。(この書評を読む)

闇の河  THE SECRET RIVER / ケイト・グレンヴィル
闇の河 THE SECRET RIVER
  • 著者:ケイト・グレンヴィル
  • 翻訳:一谷 智子
  • 出版社:現代企画室
  • 装丁:単行本(460ページ)
  • 発売日:2016-01-21
  • ISBN-10:4773815191
  • ISBN-13:978-4773815191
内容紹介:
新たな生を希求して「未開」の入植地に移り住んだ一家と、その地で永く生を営んできた先住民との邂逅。建国神話の奥に潜む闇を上質な小説に仕立てあげた、オーストラリア文学史上屈指の国民的ベストセラー。ときは19世紀初頭、ロンドンでの貧窮生活と生命の危機をくぐり抜け、ウィリアムとサラのソ… もっと読む
新たな生を希求して「未開」の入植地に移り住んだ一家と、その地で永く生を営んできた先住民との邂逅。
建国神話の奥に潜む闇を上質な小説に仕立てあげた、オーストラリア文学史上屈指の国民的ベストセラー。

ときは19世紀初頭、ロンドンでの貧窮生活と生命の危機をくぐり抜け、ウィリアムとサラのソーンヒル夫妻は植民初期のシドニーにたどり着く。舟運の仕事についたウィリアムは、やがてシドニーから隔たった入植地に希望を見出し一家で移り住むが、無人の未開地と思われたそこは、先住民が伝統的な暮らしや祭祀を営む場所だった……。
異文化との出会いと衝突、そして和解に至る道のりで、「記憶」はいかに物語られるのか。多文化にひらかれた新たなアイデンティティを模索するオーストラリア社会に、深い衝撃をもたらした現代の古典。

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【オーストラリア】
ナム・リー『ボート』(新潮社)

評者:阿刀田 高

『ボート』は7編からなる短編小説集。冒頭の「愛と名誉と憐れみと誇りと同情と犠牲」はアイオワで小説を学んでいる主人公のところへベトナム戦争で苦しんだ父が訪ねて来る。戦争を熟知している父、体験のないままそれを小説のテーマにしようとしている主人公、家族間の境遇の差や感情の乖離もあって作品のタイトル通りのくさぐさが二人のあいだに見え隠れする。(この書評を読む)

ボート / ナム・リー
ボート
  • 著者:ナム・リー
  • 翻訳:小川 高義
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(359ページ)
  • 発売日:2010-01-00
  • ISBN-10:4105900803
  • ISBN-13:978-4105900809
内容紹介:
作家修業中のベトナム系青年。戦争中、少年だった父はその目で何を見たのか。多くを語らずに生きてきた父と、書きあぐねながら、出自は題材にすまいとする息子(「愛と名誉と憐れみと誇りと同情と犠牲」)。初老の画家がカーネギーホールに向かおうとしている。妻とともにロシアに去った娘が、天才少女… もっと読む
作家修業中のベトナム系青年。戦争中、少年だった父はその目で何を見たのか。多くを語らずに生きてきた父と、書きあぐねながら、出自は題材にすまいとする息子(「愛と名誉と憐れみと誇りと同情と犠牲」)。初老の画家がカーネギーホールに向かおうとしている。妻とともにロシアに去った娘が、天才少女チェリストとして凱旋したのだ。いそいそと支度をする男の待望の一夜(「エリーゼに会う」)。そして、ベトナムから難民ボートに一人乗り込んだ少女の極限の12日間を描く表題作「ボート」など、すべて異なる土地を舞台とした全7篇。生後3カ月で両親とともにベトナムからオーストラリアへ渡った作家が、持てるすべてを注ぎ込んだ清新なデビュー短篇集。プッシュカート賞、ディラン・トマス賞ほか多数受賞。

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【オーストラリア】
岩城 けい『さようなら、オレンジ』(筑摩書房)

評者:石井 千湖

日本人がアフリカから来た難民の視点で、異国暮らしの閉塞感を描く。書き方によっては独善的になってしまいそうだが、第二九回太宰治賞受賞作の『さようなら、オレンジ』はそう感じさせない。言葉とは何か。コミュニケーションとは何か。小説を通して真摯に考えているからだ。(この書評を読む)

さようなら、オレンジ / 岩城 けい
さようなら、オレンジ
  • 著者:岩城 けい
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(172ページ)
  • 発売日:2015-09-09
  • ISBN-10:448043299X
  • ISBN-13:978-4480432995
内容紹介:
オーストラリアに流れ着いたアフリカ難民サリマ。言葉も不自由な彼女が、新しい生活を切り拓いてゆく。第29回太宰治賞受賞・第150回芥川賞候補作。

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【オーストラリア】
リチャード・フラナガン『奥のほそ道』(白水社)

評者:角田 光代

『奥のほそ道』は第二次世界大戦時、泰緬鉄道建設に捕虜としてたずさわった若き医師を中心に、その地獄のような日々をさまざまな角度から緻密に冷徹に描き出し、戦後、生き延びた人々の抱える空疎を、重みを持って描く。(この書評を読む)

奥のほそ道 / リチャード・フラナガン
奥のほそ道
  • 著者:リチャード・フラナガン
  • 翻訳:渡辺 佐智江
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(454ページ)
  • 発売日:2018-05-26
  • ISBN-10:4560096295
  • ISBN-13:978-4560096291
内容紹介:
1943年、捕虜の軍医ドリゴは〈死の鉄道〉建設で地獄のような日々を闘っていた。そこへ一通の手紙が届きすべてが変わってしまう…

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【メラネシア】
生江 有二『ガダルカナルの地図―ガ島戦錯誤の進撃路』(角川書店)

評者:逢坂 剛

本書のテーマは、ガダルカナルで日本軍が米軍に敗れた最大の理由の一つは、正確な島の地図が用意されていなかったからではないかという疑問のもとに、当時軍の管理下で地図作りに従事していた印刷工やガ島戦の生き残り兵士を訪ね歩くという、文字通り足で稼いだ貴重なレポートである。(この書評を読む)

ガダルカナルの地図―ガ島戦錯誤の進撃路  / 生江 有二
ガダルカナルの地図―ガ島戦錯誤の進撃路
  • 著者:生江 有二
  • 出版社:角川書店
  • 装丁:-(250ページ)
  • 発売日:1984-07-01

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【ミクロネシア】
野村 進『日本領サイパン島の一万日』(岩波書店)

評者:鹿島 茂

戦後の我々は、サイパンというと「玉砕の島」「B29の出撃基地」という軍事的イメージを被せるが、これは少し違う。サイパンは移民が築いた南洋交易の中心地であり、「南洋の東京」として富み栄えていたのだ。 (この書評を読む)

日本領サイパン島の一万日 / 野村 進
日本領サイパン島の一万日
  • 著者:野村 進
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:単行本(402ページ)
  • 発売日:2005-08-05
  • ISBN-10:4000242385
  • ISBN-13:978-4000242387
内容紹介:
今から90年前、一人の日本人がサイパン島に漂着。彼は故郷・山形から集団移民を募り、獣が棲息する密林の開拓に乗り出す…。その時から始まる日本統治領サイパンの30年を、二つの家族の歴史を通して描くノンフィクション。

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【ミクロネシア】
岡谷 公二『南海漂泊―土方久功伝』(河出書房新社)

評者:種村 季弘

家族も友人知己も近代日本のエリートぞろいなのに、当人だけはわざとのように出遅れ、いつも半歩おくれてパッとしない。美校で彫刻を学び、かたわら従兄弟の土方与志の築地小劇場の設立を助けた。だれもがそのまま築地小劇場に参加すると思っていたのに、突然南方に消える。「自分を殺し」すぎて、ついに日本から消えてしまった人のように。(この書評を読む)

南海漂泊―土方久功伝 / 岡谷 公二
南海漂泊―土方久功伝
  • 著者:岡谷 公二
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(214ページ)
  • ISBN-10:4309221777
  • ISBN-13:978-4309221779
内容紹介:
昭和初年、文明の生活に絶望してひとり、ミクロネシアの孤島へ旅立っていった彫刻家土方久功の自由で熱い生涯。

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【サモア】
デレク・フリーマン『マーガレット・ミードとサモア』(みすず書房)

評者:山折 哲雄

文化人類学の分野で一世を風靡した「名作」が、実際にフタをあけてみると夢のような「神話」だったというお話である。マーガレット・ミードの「サモアの思春期」がそれだ。(この書評を読む)

マーガレット・ミードとサモア / デレク・フリーマン
マーガレット・ミードとサモア
  • 著者:デレク・フリーマン
  • 翻訳:木村 洋二
  • 出版社:みすず書房
  • 装丁:単行本(464ページ)
  • ISBN-10:4622036460
  • ISBN-13:978-4622036463
内容紹介:
『サモアの思春期』は南海の楽国物語にすぎない。しかし、なぜ名著なのか。徹底した論証でその虚構性を指摘するとともに、同書を迎えた思想的背景を問う。

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【パプアニューギニア】
ドン・クリック『最期の言葉の村へ:消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』(原書房)

評者:武田 砂鉄

村人は何度もやってくる著者を幽霊だと思い、村に変化をもたらす秘密を持つ人間だと認識されていく。「戻ってきた死人」として、死んだ父への手紙を託されることさえあった。(この書評を読む)

最期の言葉の村へ:消滅危機言語タヤップを話す人々との30年 / ドン・クリック
最期の言葉の村へ:消滅危機言語タヤップを話す人々との30年
  • 著者:ドン・クリック
  • 翻訳:上京 恵
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(332ページ)
  • 発売日:2020-01-21
  • ISBN-10:4562057203
  • ISBN-13:978-4562057207
内容紹介:
パプアニューギニアの村ガプンの人々と寝食を共にし消滅危機言語を30年間に渡って調査してきた言語人類学者によるルポルタージュ。

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極地にGo!

【北極】
角幡 唯介『極夜の探検』(福音館書店)

評者:福音館書店

極夜の探検も、太陽や月や星や闇といった、もろもろの自然現象と本質的な関係をむすぶための壮大なプロジェクトでした。本質的な関係というのは、少々大げさな言い方をすれば、太陽や月や星がなければ自分の命を保つことがむずかしくなる、そういう関係です。こちらの命を脅かしにくるほどの闇の恐怖に震えることも、その一つのあらわれです。 (この書評を読む)

極夜の探検 / 角幡 唯介
極夜の探検
  • 著者:角幡 唯介
  • 出版社:福音館書店
  • 装丁:雑誌(40ページ)
  • 発売日:2019-12-20
  • ISBN-13:491-0159230202
内容紹介:
本物の太陽が見たい……北極には、冬になると一日中太陽が昇らない極夜とよばれる現象があります。雪と氷と月と星、そして闇しかない北極の荒野をひとりで旅して、長い暗闇のはてにのぼる太陽を見たら、人はいったい何を感じるのか?グリーンランドの地球で一番北にある村を出て、探検家は暗闇の世界へと命がけの旅に出ます。

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【南極】
ケヴィン・ブロックマイヤー『終わりの街の終わり』(武田ランダムハウスジャパン)

評者:豊崎 由美

死者の街という寓話と、世界の滅亡を描くデザスター小説、ふたつの読みごたえを備えたこの物語がもたらすのは、世界の消滅という悲劇を扱いながら、なぜか温かい感情だ。(この書評を読む)

終わりの街の終わり / ケヴィン・ブロックマイヤー
終わりの街の終わり
  • 著者:ケヴィン・ブロックマイヤー
  • 翻訳:金子 ゆき子
  • 出版社:武田ランダムハウスジャパン
  • 装丁:単行本(352ページ)
  • 発売日:2008-04-24
  • ISBN-10:4270003286
  • ISBN-13:978-4270003282
内容紹介:
死者たちの暮らす、名も無き街。ある者は赤い砂漠に呑まれ、ある者は桃の果肉に絡みとられ、誰一人として同じ道をたどらずやって来る。生きている者に記憶されている間だけ滞在できるというその場所で、人々は思い出に包まれ、穏やかに暮らしていた。だが、異変は少しずつ起こっていた。街全体が縮みはじめたのだ。その理由について、死者たちは口々に語る。生者の世界で新型ウィルスが蔓延しはじめたこと、人類が滅亡に向かっていること、そして、南極基地でただ一人取り残されたローラという女性について-死者たちの語る話からほのみえてくる終わりゆく世界の姿とは…。

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世界旅行にGo!

【世界旅行】
ペール・アンデション『旅の効用: 人はなぜ移動するのか』(草思社)

評者:出口 治明

たくさんの人に会い、たくさん本を読み、多くの旅を重ねる。人間は「人・本・旅」でしか賢くなれない動物だと僕は思っている。ホモ・モビリタス(移動するヒト)という言葉があるが1万3千年前まで私たちは遊牧民だった。だから「変化がなければ心は消耗する」のだ。 (この書評を読む)

旅の効用: 人はなぜ移動するのか / ペール・アンデション
旅の効用: 人はなぜ移動するのか
  • 著者:ペール・アンデション
  • 翻訳:畔上 司
  • 出版社:草思社
  • 装丁:単行本(352ページ)
  • 発売日:2020-01-24
  • ISBN-10:4794224362
  • ISBN-13:978-4794224361
内容紹介:
インドを中⼼に世界を旅してきたジャーナリストが、⾃他の旅の記憶をていねいに辿りながら「⼈が旅に出る理由」を重層的に考察するエッセイ。 なぜ人は何度でも、何歳になろうと旅に出るべきなのか。それは旅こそが私たちにとって最⾼のセラピーであり、⾃分を育む⾏為にほかならないからだ。旅… もっと読む
インドを中⼼に世界を旅してきたジャーナリストが、
⾃他の旅の記憶をていねいに辿りながら
「⼈が旅に出る理由」を重層的に考察するエッセイ。
なぜ人は何度でも、何歳になろうと旅に出るべきなのか。
それは旅こそが私たちにとって最⾼のセラピーであり、
⾃分を育む⾏為にほかならないからだ。
旅好きも、旅が遠くなった⼈も必読の滋味あふれる旅論。
【スウェーデン発、欧州ベストセラー!】

(本書より引用)
不機嫌という病を治すにはまず、自分の安全領域から外に飛び出すことだ。
そうすれば、すべてをコントロールしなくても日々がうまく運んでいくと気づくこともある。
いったん異文化の中に身を置けば、足が地に着かなくなっても
「すべてうまく行くだろう」と信じることができる。

変化がなければ心は消耗する。だが新たな見方をするようになれば、新たな展望が開ける。
旅をすれば感覚が研ぎ澄まされ、世間や家庭内の状況に対して注意深くなる。
今まで無関心だったことにも、不意に何かを感じるようになるのだ。
今まで見えていなかったことが不意に見えてくるのである。

美しい言葉に言い直すとすれば、旅と遊牧民の生活様式こそイデオロギーだった。
旅は、前もって予見可能であってはならず、ページを開いた瞬間の
本のようでなければならなかった。
旅人は、自分が今から何と出会うか、誰と遭遇するかを知っていてはならなかった。

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【世界旅行】
小林 健『日本初の海外観光旅行―九六日間世界一周』(春風社)

評者:平松 洋子

じつは主催は朝日新聞社。前代未聞の旅の中身を逐一打電して紙面で披露し、読者サービスと派手な宣伝効果を狙おうという一大企画なのだった。(この書評を読む)

日本初の海外観光旅行―九六日間世界一周 / 小林 健
日本初の海外観光旅行―九六日間世界一周
  • 著者:小林 健
  • 出版社:春風社
  • 装丁:単行本(382ページ)
  • ISBN-10:4861101786
  • ISBN-13:978-4861101786
内容紹介:
100年前、民間初の海外観光旅行があった。杉村楚人冠(朝日新聞記者)、野村徳七(野村證券創業者)、川田鐵彌(高千穂学園創設者)など各界のキーパーソンが、世界の政治、経済、教育、文化の趨勢にふれた96日間。いまとはちがう観光のヒントがここにある。

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【世界旅行】
ポール・セルー『鉄道大バザール』(講談社)

評者:丸谷才一,木村尚三郎,山崎正和

イギリス小説には、イギリス国外の研究とでもいうような一ジャンルがあるんですね。キプリングのインドに始まり、モームの太平洋南海地方、フォースターのインド、グレアム・グリーンの、これはまあ世界じゅう、オーウェルのビルマ、ダレルのアレクサンドリアというような調子で、世界じゅうの人間との接触を契機にして、イギリス自身を研究するという伝統があるわけですね。これはイギリス小説の過度の洗練による衰弱を補って、活力を与える作用をした。その方法をアメリカの小説家が学んで、旅行記という形式でこういうものを書いた。それは一種、アメリカの小説家の成熟をしめすもので、なかなかおもしろい読みものになっています。(この書評を読む)

鉄道大バザール 上  / ポール・セルー
鉄道大バザール 上
  • 著者:ポール・セルー
  • 翻訳:阿川 弘之
  • 出版社:講談社
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2012-10-11
  • ISBN-10:4062901684
  • ISBN-13:978-4062901680
内容紹介:
アメリカの作家ポール・セルーによるユーラシア大陸一周、汽車の旅。ロンドン一五時三〇分発パリ行きから始まり汽車を乗り継ぎテヘランからインドへ…。アジア特有の街の賑わいを味わい、やがて東京へと向かう。阿川弘之の極上の翻訳ですべての鉄道ファンに捧ぐ。

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【世界旅行】
詩歩『死ぬまでに行きたい! 世界の絶景』(三才ブックス)

評者:速水 健朗

本が生まれた経緯はおもしろい。考えたのはとある新米社員。フェイスブックでいくつ「いいね」が付くかを競う新人研修から生まれた企画だった。それがネットで何十万人の支持を得て、出版社が刊行を企画し、旅行会社が相乗りした。 写真はフォトストック業者などからかき集められている。コストを抑えたお手軽な一冊だ。でもだからこそおもしろい。(この書評を読む)

死ぬまでに行きたい! 世界の絶景 / 詩歩
死ぬまでに行きたい! 世界の絶景
  • 著者:詩歩
  • 出版社:三才ブックス
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(155ページ)
  • 発売日:2013-07-31
  • ISBN-10:4861996112
  • ISBN-13:978-4861996115
内容紹介:
誰でも安全に絶景へ行けるH.I.S.の旅行ガイド付き。信じられない土地を旅した人々の体験談を満載。56万人が選んだ絶景ランキング発表。大自然・楽園奇景の写真集。

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【世界旅行】
ピーター・スピアー『せかいのひとびと』(評論社)

評者:俵 万智

世界中の人々の、顔や髪や肌の違いにはじまって、おしゃれや趣味の違いが描かれている。いろんな国の、遊びや食べ物や家の様子も紹介される。仕事、言葉、性格、宗教、貧富や身分の差まで……。 (この書評を読む)

せかいのひとびと / ピーター・スピアー
せかいのひとびと
  • 著者:ピーター・スピアー
  • 出版社:評論社
  • 装丁:大型本(41ページ)
  • 発売日:1982-01-20
  • ISBN-10:4566002470
  • ISBN-13:978-4566002470
内容紹介:
私たちのこの地球には、いったいどんな人たちが暮らしているんだろう? 体の大きさ、肌の色、顔の形、住んでる家、好きな遊び、話す言葉…。世界にはさまざまな民族、風習、言語、文化などがあることを、やさしく説明。それぞれがちがっていることの素晴らしさを伝える大型絵本。

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【世界旅行】
玉村 豊『回転スシ世界一周』(光文社)

評者:岸本 葉子

スシが受け入れられるには、魚を食べる習慣のあるなしは、関係ない。新しい文化情報にアンテナを張る人たちが多いところで、流行る。著者いわく、スシは「頭」で食うものなのだ。(この書評を読む)

回転スシ世界一周 / 玉村 豊男
回転スシ世界一周
  • 著者:玉村 豊男
  • 出版社:光文社
  • 装丁:文庫(273ページ)
  • ISBN-10:4334782906
  • ISBN-13:978-4334782900
内容紹介:
米は野菜?インターネットでスシ修行?オシボリで顔拭きは世界共通?ジョン・レノン・ロールって何?日本のスシは世界でどのように食べられているのか―あくなき探究心をパスポートにして、回りに回ったパリ、ロンドン、アムステルダム、NY、LA。満腹、眼福、感服の「目からウロコ」世界一周スシの旅。

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【世界旅行】
ガブリエーレ・ガリンベルティ『世界のおばあちゃん料理』(河出書房新社)

評者:平松 洋子

少々枯れた印象を受けがちだけれど、原書のメインタイトル『IN HER KITCHEN』に、エネルギッシュな姿を感じる。何十年にもわたって家族の胃袋をつかまえ続ける年季の入った腕前は、かくも女性に魅力と存在感を与えるのだ。ページをめくりながら誇らしい気持ちになってくるのは、ほがらかで力強い写真の力だ。(この書評を読む)

世界のおばあちゃん料理 / ガブリエーレ ガリンベルティ
世界のおばあちゃん料理
  • 著者:ガブリエーレ ガリンベルティ
  • 翻訳:小梨 直
  • 出版社:河出書房新社
  • 装丁:単行本(247ページ)
  • 発売日:2016-10-27
  • ISBN-10:4309286070
  • ISBN-13:978-4309286075
内容紹介:
世界中の料理上手なおばあちゃんが、秘伝のレシピを大公開! 世界50か国、58人のおばあちゃんたちの愛と人生と、自慢の味。

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【世界旅行】
『世界を食べよう! ―東京外国語大学の世界料理―』(東京外国語大学出版会)

評者:平松 洋子

なんと贅沢な一冊だろう。世界の食文化案内であり、食いしん坊を舌なめずりさせる読み物であり、旅のガイドであり、しかもレシピ付き。東アジアから始まってヨーロッパ、オセアニア、アフリカまでぐるり、いながらにして食卓の遊覧旅行だ。(この書評を読む)

世界を食べよう!  ―東京外国語大学の世界料理― /
世界を食べよう! ―東京外国語大学の世界料理―
  • 出版社:東京外国語大学出版会
  • 装丁:単行本(224ページ)
  • 発売日:2015-10-28
  • ISBN-10:4904575490
  • ISBN-13:978-4904575499
内容紹介:
人はその食べるところのもの。東京外国語大学の世界各地・各ジャンルの研究者たちが腕によりをかけて贈る30の「食」文化エッセイ。

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【世界旅行】
小松 義夫『地球生活記―世界ぐるりと家めぐり』(福音館書店)

評者:藤森 照信

こうした地球上の珍しい住まい、面白い伝統の家についての本は、日本でも世界でもたくさん刊行されているが、これだけ全世界にわたり、いろんなタイプを大量に採集したのは前例がない。腰巻に「取材期間三十年、今世紀最高の一冊」と書かれているが、そう書きたくなる気持ちも分かる。かつて、博物学者たちが、地球上のすべての動植物を採集しようと探検に出かけたのと同じような情熱が、カメラマンの小松義夫をつき動かしたんだろう。(この書評を読む)

地球生活記―世界ぐるりと家めぐり / 小松 義夫
地球生活記―世界ぐるりと家めぐり
  • 著者:小松 義夫
  • 出版社:福音館書店
  • 装丁:単行本(336ページ)
  • 発売日:1999-06-25
  • ISBN-10:483401620X
  • ISBN-13:978-4834016208
内容紹介:
アフリカの奥地から南米の高地、辺境から都会まで世界ぐるりと、家のある風景とともに、各地に生きる人々の様々な暮しや営みを、1700枚をこす写真でていねいに紹介しています。

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【世界旅行】
ウラディミール・クリチェク『世界温泉文化史』(国文社)

評者:岸本 葉子

こうしてみると、洋の東西を問わず、人々が温泉を、たんなる治療の場としてだけでなく、いかに付加価値をつけて楽しんできたかがわかる。その時代その時代の、健康神話のようなものが広まるのも、今と同じ。(この書評を読む)

世界温泉文化史 / ウラディミール クリチェク
世界温泉文化史
  • 著者:ウラディミール クリチェク
  • 翻訳:種村 季弘,高木 万里子
  • 出版社:国文社
  • 装丁:単行本(444ページ)
  • ISBN-10:4772003711
  • ISBN-13:978-4772003711
内容紹介:
ヨーロッパにおいても日本同様、温泉治療は古くから行なわれていた。その起源は古代エジプト・ギリシャ・ローマ時代にさかのぼり、さらに中世になってからも多くの新しい湯治場が開かれた。イギリスのバース、大陸のバーデン=バーデンやカールスバート、マリエンバートなどは、現代に至るまで繁栄を続けている。本書は多数の図版と共に、ヨーロッパはもとよりロシア、アメリカ、アジアなど世界の湯治の歴史と文化を概観する。

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【世界旅行】
西 成彦 編訳『世界イディッシュ短篇選』(岩波書店)

評者:沼野 充義

特筆すべきは、ユダヤ人が世界に離散していったのと並行して、イディッシュ文学も世界中で書かれてきたことだ。本書には、ロシア周辺・東欧だけでなく、フランス、南アフリカ、アルゼンチン、ブラジルを舞台にした作品まで収録されている。西氏がタイトルに「世界」をあえて冠したゆえんである。英語で世界の市場を席捲する文学だけが「世界文学」なのではない。(この書評を読む)

世界イディッシュ短篇選 /
世界イディッシュ短篇選
  • 翻訳:西 成彦
  • 編集:西 成彦
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2018-01-17
  • ISBN-10:4003770048
  • ISBN-13:978-4003770047
内容紹介:
東欧系ユダヤ人の日常言語「イディッシュ」-。ホロコーストや反ユダヤ主義を逃れて世界各地を転々とし、アイデンティティーの拠り所であるイディッシュを創作言語として選び取った作家たちが、それぞれの地で書き残した十三の短篇。ディアスポラの文学。

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【世界旅行】
アンドリュー・ショーン・グリア『レス』(早川書房)

評者:鴻巣 友季子

レスがモロッコで新しい自作について、「サンフランシスコを歩き回るゲイの中年男の話です。そして、だから、彼の……彼の悲しみが……」と話すと、「白人で中年のアメリカ人の男が、白人で中年のアメリカ人の悲しみを抱えて歩き回るわけ?」と返される。あまりにマジョリティ側の人物で、同情できないというのだ。「ゲイでも?」と畳みかけても、「ゲイでも」と。(この書評を読む)

レス / アンドリュー・ショーン・グリア
レス
  • 著者:アンドリュー・ショーン・グリア
  • 翻訳:上岡 伸雄
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:単行本(325ページ)
  • 発売日:2019-08-20
  • ISBN-10:4152098775
  • ISBN-13:978-4152098771
内容紹介:
50間近のゲイの小説家、アーサー・レスのもとに元恋人から結婚式の招待状が届いた。レスは結婚式を断る口実に、世界中の文学イベントの招待を受けることに。だが、イベントはどれも何だか変なものばかり、彼はいつも空回り……。作者自身が投影されたメタ小説

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【世界旅行】
アルベルト・マンゲル『図書館 愛書家の楽園』(白水社)

評者:鹿島 茂

ブエノスアイレスの書店で勤務中、盲目のボルヘスと知り合い、本読み係として雇われ、ボルヘス的な宇宙に深く入り込んだ著者は二〇〇〇年、ついに夢をかなえてフランス・ロワール渓谷の丘に理想の書庫兼書斎をつくる。(この書評を読む)

図書館 愛書家の楽園[新装版] / アルベルト・マンゲル
図書館 愛書家の楽園[新装版]
  • 著者:アルベルト・マンゲル
  • 翻訳:野中 邦子
  • 出版社:白水社
  • 装丁:単行本(340ページ)
  • 発売日:2018-06-15
  • ISBN-10:4560096449
  • ISBN-13:978-4560096444
内容紹介:
アレクサンドリア図書館、ネモ船長の図書室、ヒトラーの蔵書、ボルヘスの書棚……古今東西、現実と架空の〈書物の宇宙〉をめぐる旅。

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