書評

『牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って』(小学館)

  • 2019/06/16
牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って / 三浦 英之
牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って
  • 著者:三浦 英之
  • 出版社:小学館
  • 装丁:単行本(245ページ)
  • 発売日:2019-05-08
  • ISBN:4093886946
内容紹介:
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!? アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。その犯人は、象牙の国際密猟組織。元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過… もっと読む
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!?

アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。
野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。

その犯人は、象牙の国際密猟組織。
元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過激派テロリストの資金源になっている実態に迫り、背後に蠢く中国の巨大な影を見つける。

そして問題は、象牙の印鑑を重宝する私たち日本人へと繋がっていく。

密猟組織のドン、過激派テロリスト、中国大使館員、日本の象牙業者。
虐殺の「真犯人」とは、いったい誰なのか――。

選考委員満場一致の第25回「小学館ノンフィクション大賞」受賞作。

◎高野秀行(ノンフィクション作家)
「ショッキングな現実が勢いある筆致で描かれ、『ザ・ノンフィクション』の醍醐味がある」

◎古市憲寿(社会学者)
「実は日本が加害者だった? ゾウと我々の意外な関係性が明らかになる」

◎三浦しをん(作家)
「私は、今後も象牙の印鑑は絶対作らないぞと決意した」

【編集担当からのおすすめ情報】
開高健ノンフィクション賞、石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞も受賞した筆者による、
すべてのノンフィクション好きにお読みいただきたい一冊です。

買う人がいなければ殺されることはない

書籍の中間部に差し込まれたカラー写真を見て、言葉を失う。ケニアの国立公園に生息していた人気ゾウ「サタオ」があたかも巨岩のようにうずくまり、死に絶えている。巨大な牙を奪い、大金に変える密猟者によって、顔面がえぐり取られていた。

1940年代には500万頭いたとされるアフリカゾウが、2010年代には約50万頭にまで激減した。象牙を「成功の証」として買い求める中国、そして印鑑用に使用する日本など、異国の人々のステイタスのために、顔をえぐられ、捨てられるゾウたち。1頭仕留めれば一年分の年収が稼げるとなれば、子ゾウでさえも容赦無く殺(あや)める。

密猟組織のドンを追う著者に集まる断片的な情報が、混迷を極める。「奴は絶対に捕まることがない」「完全に守られているからな」「誰に?」「決まっているだろう」「中国大使館(チャイニーズ・エンバシー)にだよ」。

「奴」が守られているならば、当然、追いかける身が狙われる。行動は完全に把握される。追いかければ、追いかけられる。縛られた手足をほどきながら立ち向かうのではなく、たとえ縛られていたとしても、密猟の実態を暴きにかかる前のめりな姿勢を、息をのんで読み進める。悪を突き止めたと思いきや、その悪が、背後から迫ってくる。

現地で出会った、野生ゾウの保護活動に勤しむ女性が言う。「問題の解決方法は実はとっても簡単なんです。『象牙を買わない』。それだけなの」。なぜ、ゾウが殺されるのか。なぜ、象牙が高値で密輸されるのか。買う人がいるからだ。買う人がいなければ密輸されることもなくなる。殺されることもなくなる。消費しなければゾウは生きる。

ゾウを守ろうとする各国の連帯に、それでもまだ乗っからない国がある。どこか。私たちが暮らす日本だったのである。
牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って / 三浦 英之
牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って
  • 著者:三浦 英之
  • 出版社:小学館
  • 装丁:単行本(245ページ)
  • 発売日:2019-05-08
  • ISBN:4093886946
内容紹介:
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!? アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。その犯人は、象牙の国際密猟組織。元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過… もっと読む
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!?

アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。
野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。

その犯人は、象牙の国際密猟組織。
元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過激派テロリストの資金源になっている実態に迫り、背後に蠢く中国の巨大な影を見つける。

そして問題は、象牙の印鑑を重宝する私たち日本人へと繋がっていく。

密猟組織のドン、過激派テロリスト、中国大使館員、日本の象牙業者。
虐殺の「真犯人」とは、いったい誰なのか――。

選考委員満場一致の第25回「小学館ノンフィクション大賞」受賞作。

◎高野秀行(ノンフィクション作家)
「ショッキングな現実が勢いある筆致で描かれ、『ザ・ノンフィクション』の醍醐味がある」

◎古市憲寿(社会学者)
「実は日本が加害者だった? ゾウと我々の意外な関係性が明らかになる」

◎三浦しをん(作家)
「私は、今後も象牙の印鑑は絶対作らないぞと決意した」

【編集担当からのおすすめ情報】
開高健ノンフィクション賞、石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞も受賞した筆者による、
すべてのノンフィクション好きにお読みいただきたい一冊です。

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初出メディア

サンデー毎日

サンデー毎日 2019年5月21日

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