書評
『同調圧力にだまされない変わり者が社会を変える。』(大和書房)
若い人たちに読んでほしい本
人は誰であれ、アホなことをする権利、他人を愛する権利、他人をバカにする権利などを持つが、他人に愛される権利とか、他人に褒めてもらう権利とか、他人に理解してもらう権利などはないのだ。
どうだろう? これは本書のまえがきの文章である。いきなり横に傍線をひっぱっちゃいました。おもしろいなあ、池田さんは。
私は池田さんの本が大好きなんですが、それは、いきなりおもしろいからだ。ケチケチしてないで、まえがきから、速攻でおもしろい。
実は、一ページ目から傍線はひっぱってあるんだけど、もうひとつ、四ページ目に傍線ひいたとこも引用しましょう。
人々の多様性と個性を尊重するためには、相手のことを良く理解しましょうという言辞が、極めて良心的な考えのように流布されることが多いが、これは、理解できなければ、差別してもかまわないという考えと紙一重のところがあって、危ない考えなのだ。
人間の脳みそはそれぞれ異なるのだから、究極的には他人のことを理解できるわけがないのだ。
おもしろいなァ。こうしてると、全文引用しそうになるので、このくらいにしておくけど、とにかくこの調子で本文に突入して、どんどんおもしろいまま読み切ってしまう。
何がおもしろいのかと言って、うかつにあたりまえだと思っていたことが、バリバリひっくりかえされることだ。
だいたいが「あたりまえ」な話というのは、ぜんぜんおもしろくない。おもしろくなくても、あたりまえなんだからしかたないか、と思ってるとこを、バリバリバリッとひっくりかえされる。ものすごくおもしろい。
やっぱり、また引用したくなった。
私が一番嫌いなのは、真面目でバカな人
次に嫌いなのは、ただバカな人
真面目でお利口な人は、嫌いじゃないけど、うっとうしいからあまり付き合いたくない
あはは、いいなァ。こういう放言があちこちで噴出します。そこだけが面白いんじゃもちろんないので、初耳な話や、下世話なことが学問的に解明されたり。
前述したように、常識的な思い込みが、科学的・学問的にひっくりかえされる快感にみちている。
これは私にとっては「お笑い」とほとんど同義であって、「お勉強」する意味の「学習」ではなく「お笑い」のうちに獲得する「学習」なのだ。
私は、笑っている時に、脳の回路は作られている、と考えていて、少なくても私の脳みそはそのようにできていると思う。
お笑いの芸人さんは、無理をしてでも「非常識」になろうとしている。非常識にしていれば、退屈な「あたりまえ」をひっくりかえすキッカケをつかめるからだ。
学者は、学問によって非常識なのだ。ギリギリと考えられた考えは、常識をはずれていく。もちろん、すべての学者が、そのようではないので、そういう学者こそが本物だ。
池田さんは、笑える学者だ。ご本人もたいがいいつも笑ってるけどね。でも、ほんとは、とっても怒ってるし、心配している。若い人たちに私は池田さんの本を読んでほしい。
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