書評

『「慰安婦」問題とアジア女性基金』(東信堂)

  • 2017/10/08
「慰安婦」問題とアジア女性基金 / 大沼 保昭 (編集), 和田 春樹 (編集), 下村 満子 (編集)
「慰安婦」問題とアジア女性基金
  • 著者:大沼 保昭 (編集), 和田 春樹 (編集), 下村 満子 (編集)
  • 出版社:東信堂
  • 装丁:単行本(254ページ)
  • 発売日:1998-10-00
  • ISBN-10:4887133030
  • ISBN-13:978-4887133037
内容紹介:
アジア女性基金ができて三年。基金がやっていること、基金に参集した人たちの気持、償いを受け取ってくれた被害者の気持、拠金してくださった国民の方々の気持などは、これまでほとんど明らかにされてこなかった。本書は、「慰安婦」問題を、基金とのかかわりも含めて、読者がさまざまな角度から考え、理解を深める手助けになる。
この本を読むまで、関係者がここまで苦労したとは知らなかった。一時マスコミでも盛んに取り上げられた問題だが、新聞と雑誌を読んだだけでは、やはりわからなかったことが多い。

アジア女性基金は正しくは「女性のためのアジア平和国民基金」という、この基金がなぜ、どのような趣旨で設立されたかについて、関係者の証言によって詳細に紹介されている。「慰安婦問題」とは何なのか、法的にはどう捉えるべきなのか。それらのことを取り上げた論文も興味深いが、アジア女性基金はこれまでなにをしてきたのか、関係者や拠金者たちはなぜ協力したのかもこれでよく納得した。「慰安婦」とされた人たちが基金の活動に対しどう反応したかも、メディアでは報じられなかったことである。

アジア女性基金に対し、さまざまな理由から反対する人たちがいる。「左」か「右」かを問わず、そうした声は公平に収録されている。現在の問題を扱いながら、歴史資料の重みを感じさせる貴重な証言集でもある。

【この書評が収録されている書籍】
本に寄り添う Cho Kyo's Book Reviews 1998-2010 / 張 競
本に寄り添う Cho Kyo's Book Reviews 1998-2010
  • 著者:張 競
  • 出版社:ピラールプレス
  • 装丁:単行本(408ページ)
  • 発売日:2011-05-28
  • ISBN-10:4861940249
  • ISBN-13:978-4861940248
内容紹介:
読み巧者の中国人比較文学者が、13年の間に書いた書評を集大成。中国関係の本はもとより、さまざまな分野の本を紹介・批評した、世界をもっと広げるための"知"の読書案内。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

「慰安婦」問題とアジア女性基金 / 大沼 保昭 (編集), 和田 春樹 (編集), 下村 満子 (編集)
「慰安婦」問題とアジア女性基金
  • 著者:大沼 保昭 (編集), 和田 春樹 (編集), 下村 満子 (編集)
  • 出版社:東信堂
  • 装丁:単行本(254ページ)
  • 発売日:1998-10-00
  • ISBN-10:4887133030
  • ISBN-13:978-4887133037
内容紹介:
アジア女性基金ができて三年。基金がやっていること、基金に参集した人たちの気持、償いを受け取ってくれた被害者の気持、拠金してくださった国民の方々の気持などは、これまでほとんど明らかにされてこなかった。本書は、「慰安婦」問題を、基金とのかかわりも含めて、読者がさまざまな角度から考え、理解を深める手助けになる。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 1998年11月8日

毎日新聞のニュース・情報サイト。事件や話題、経済や政治のニュース、スポーツや芸能、映画などのエンターテインメントの最新ニュースを掲載しています。

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