書評

『言語都市』(早川書房)

  • 2017/10/10
言語都市  / チャイナ・ミエヴィル
言語都市
  • 著者:チャイナ・ミエヴィル
  • 翻訳:内田 昌之
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:単行本(496ページ)
  • 発売日:2013-02-26
  • ISBN-10:4153350087
  • ISBN-13:978-4153350083
内容紹介:
遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地"エンバシータウン"を建設し、謎めいた先住種族と共存していた。アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた"大使"をクローン生… もっと読む
遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地"エンバシータウン"を建設し、謎めいた先住種族と共存していた。アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた"大使"をクローン生成し外交を行っていた。だが、平穏だったアリエカ社会は、ある日を境に大きな変化に見舞われる。新任大使エズ/ラーが赴任、異端の力を持つエズ/ラーの言葉は、あたかも麻薬のようにアリエカ人の間に浸透し、この星を動乱の渦に巻き込んでいった…。現代SFの旗手が描く新世代の異星SF。ローカス賞SF長篇部門受賞。

辺境の星の言語をめぐるSF

1972年生まれのチャイナ・ミエヴィルは、英国SFを代表する俊英。現役のSF作家としては、たぶん世界でも五本の指に入るだろう。ファンタジーやホラーの分野でも高く評価され、警察ミステリと幻想小説を融合させた型破りな長編『都市と都市』(2009年)では、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞などに輝いた。そのミエヴィルが2011年に発表した『言語都市』は、著者の全長編の中で、いちばんSF度の高い作品。

都市と都市  / チャイナ・ミエヴィル
都市と都市
  • 著者:チャイナ・ミエヴィル
  • 翻訳:日暮 雅通
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(526ページ)
  • 発売日:2011-12-20
  • ISBN-10:4150118353
  • ISBN-13:978-4150118358
内容紹介:
ふたつの都市国家"ベジェル"と"ウル・コーマ"は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく…。ディック‐カフカ的異世界を構築し、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞をはじめ、SF/ファンタジイ主要各賞を独占した驚愕の小説。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

時は、地球人類が銀河にあまねく広がった遥(はる)かな未来。辺境の惑星アリエカに人類が建設した特別居留地、エンバシータウン(大使館町)が主な舞台となる。

“ホスト”と呼ばれる原住種族は、巨大な昆虫みたいな外見で、2種類の発声器官を持ち、その両方を同時に使ってしゃべる。彼らの言語は現実の事物と一対一で対応するため、実在しないものについては語れず、嘘もつけない。

彼らとコミュニケーションをはかるべく、人類側はクローン技術によって瓜(うり)二つのペアを生み出し、各組が統合されたひとつの精神を持つように特訓、“大使”としてホストとの交渉に当たらせている。

だがある日、新たな方法で訓練された新任の大使ペアが赴任し、同時に口を開いたとたん、ホストの間に驚くべき反応が起きた……。

というわけで、異星言語を核にした文化摩擦が小説の中心テーマ。言語が文明に壊滅的な被害をもたらす道具になりうるという発想は、伊藤計劃(けいかく)の『虐殺器官』にも通じるが、ミエヴィルならではの奇想は本書でも健在。たとえば、アリエカ生まれのヒロインは、子供の頃、ホストから、“あたえられたものを食べた少女”という“直喩”にされた経験を持つ――などなどの突拍子もないエピソード群が楽しい。

S・R・ディレイニー『バベル―17』やテッド・チャンの短編「あなたの人生の物語」など、数々の名作を生んできた異星言語SFに、また新たな傑作が加わった。著者十八番のエキゾチックな異星文明描写もお見逃しなく。

バベル17  / サミュエル R.ディレイニー
バベル17
  • 著者:サミュエル R.ディレイニー
  • 翻訳:岡部 宏之
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(307ページ)
  • 発売日:2008-07-15
  • ISBN-10:4150102481
  • ISBN-13:978-4150102487
内容紹介:
戦いのさなか、同盟軍の支配圏内でインベーダーの大規模な破壊活動が行なわれるとき、きまって発信源不明の謎の通信、バベル-17が傍受された。その解読にあたるのは全銀河にあまねく知られる美貌の詩人リドラ・ウォン。天才的な言語感覚でバベル-17が単なる暗号ではなく、ひとつの宇宙言語であることをつきとめたリドラは宇宙船ランボー号で次の敵の攻撃目標へと向かうが……ネビュラ賞受賞のニュー・スペース・オペラ

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言語都市  / チャイナ・ミエヴィル
言語都市
  • 著者:チャイナ・ミエヴィル
  • 翻訳:内田 昌之
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:単行本(496ページ)
  • 発売日:2013-02-26
  • ISBN-10:4153350087
  • ISBN-13:978-4153350083
内容紹介:
遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地"エンバシータウン"を建設し、謎めいた先住種族と共存していた。アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた"大使"をクローン生… もっと読む
遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地"エンバシータウン"を建設し、謎めいた先住種族と共存していた。アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた"大使"をクローン生成し外交を行っていた。だが、平穏だったアリエカ社会は、ある日を境に大きな変化に見舞われる。新任大使エズ/ラーが赴任、異端の力を持つエズ/ラーの言葉は、あたかも麻薬のようにアリエカ人の間に浸透し、この星を動乱の渦に巻き込んでいった…。現代SFの旗手が描く新世代の異星SF。ローカス賞SF長篇部門受賞。

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初出メディア

日本経済新聞

日本経済新聞 2013年4月21日

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