書評
『緑のマント』(筑摩書房)
ジョン・バカンと言えば『三十九階段』と昔から決まっているが、あのスパイ小説はいま読むと古めかしい。本書のほうが断然おもしろい。理由はテーマが今日なお新しさを感じさせることにある。時代は第一次世界大戦さなかの一九一四年、中近東でイスラム教徒たちが西方よりの啓示があると騒いでいる。背後にはドイツがいて何かたくらんでいるらしい。それが何なのか探り出せそういう命を受けて、大英帝国の軍人にして情報部員リチャード・ハネー少佐がトルコに潜入するお話。西欧対イスラムの激突をテーマにした冒険スパイ小説なのだ。しかも、ある有名な歴史上の人物をモデルにしている、それが最後にわかって、思わずニッコリ。
「ジョン・バカンはわたしの最も敬愛する小説家の一人だ。「緑のマント」という素晴らしい長編小説があるんだが、これはまだ映画化されたことがない」アルフレッド・ヒッチコック(フランソワ・トリュフォーのインタビューに答えて)
【この書評が収録されている書籍】
 
 「ジョン・バカンはわたしの最も敬愛する小説家の一人だ。「緑のマント」という素晴らしい長編小説があるんだが、これはまだ映画化されたことがない」アルフレッド・ヒッチコック(フランソワ・トリュフォーのインタビューに答えて)
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