書評
『大時計』(早川書房)
大出版社の社長の愛人に、その部下の雑誌編集長が手を出すが、社長はそれを知らない。ある日、二人は愛人のアパートの前ですれ違う。編集長は気がつくが、社長は相手が誰だかわからない。その直後、社長は愛人と諍いを起こし、彼女を殺す。社長は編集局長に相談する。編集局長は事件を闇に葬ることにし、社長のアリバイを偽造、彼がアパートの入口ですれ違った正体不明の男を捜し出し、抹殺してしまおうと計画、編集長を捜索の責任者に任命する。つまり、自分自身を捜さねばならなくなった男のサスペンス・スリラーであり、ユニークきわまりない着想である。アナも目立つが、この着想をともかく読ませる手腕に拍手を贈ろう。
「この作はアイリッシュの「幻の女」を思い出させる」江戸川乱歩
【この書評が収録されている書籍】
「この作はアイリッシュの「幻の女」を思い出させる」江戸川乱歩
【この書評が収録されている書籍】