書評

『太宰治全集』(筑摩書房)

  • 2018/01/01
太宰治全集〈1〉 / 太宰 治
太宰治全集〈1〉
  • 著者:太宰 治
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(505ページ)
  • 発売日:1988-08-01
  • ISBN-10:4480022511
  • ISBN-13:978-4480022516
内容紹介:
「私はこの短篇集1冊のために、10箇年を棒に振った。まる10箇年、市民と同じさわやかな朝めしを食わなかった。…私はこの本1冊を創るためにのみ生れた」(「もの思う葺」)。第1創作集『晩年』(昭和11年刊)と、それにつづく“苦悩の時期”に書かれた諸篇を収める。

太宰治の作品

戦争中、太宰治の作品はじぶんのアドレッセンス初葉そのものといってよかった。がさつな戦時体制下に、じぶんもそのがさつさを盛上げるのに加担しながら、いや、加担していたがゆえに、いつも狼狽し、へどもどして、優しい恥をさらしているような太宰治の世界に、心は吸い込まれていった。この逆説的な体験は、わたしに文学が、いつも後ろを向きながら前へすすむ由縁を、おしえてくれた。太宰治の作品がなかったら、戦争は明るい荒廃と暗い健全の世界に似ていた、とおもう。また、かれの作品が、生きて歩んでいったので、敗戦後の明るい健全と暗い荒廃を歩むことができた。太宰が、デカデンツの人として、じぶんを負の十字架上に処刑したとき、わたしのなかで何かが死ぬのを感じた。それからあと、なぜ、生きてこられたのか、じぶんでもよくわからない。いまも、たくさんの死臭を掻きわけながら生きているという思いの奥底に、太宰治の作品が問いかけているような気がする。

太宰治全集 全10巻セット  / 太宰 治
太宰治全集 全10巻セット
  • 著者:太宰 治
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(0ページ)
  • 発売日:1994-03-01
  • ISBN-10:4480022503
  • ISBN-13:978-4480022509

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。

太宰治全集〈1〉 / 太宰 治
太宰治全集〈1〉
  • 著者:太宰 治
  • 出版社:筑摩書房
  • 装丁:文庫(505ページ)
  • 発売日:1988-08-01
  • ISBN-10:4480022511
  • ISBN-13:978-4480022516
内容紹介:
「私はこの短篇集1冊のために、10箇年を棒に振った。まる10箇年、市民と同じさわやかな朝めしを食わなかった。…私はこの本1冊を創るためにのみ生れた」(「もの思う葺」)。第1創作集『晩年』(昭和11年刊)と、それにつづく“苦悩の時期”に書かれた諸篇を収める。

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