書評
『板谷バカ三代』(角川書店)
まず巻頭のグラビアでノックアウトされる。芸人でもなんでもないフツーのお父さんが、とんでもないポージングをしているのだから。「バカ三代」とは初代が祖母、2代目が父、3代目が著者の弟、セージ。この3人の、キテレツなエピソードをつづる。若い人を中心に熱烈なファンを持つフリーライターによる本書は、どれも正真正銘の実話。読者からは「思わず噴き出してしまうので電車の中で読むのは危険」との声多数。著者の長年の友人である西原理恵子氏によるイラストや漫画も、なかなかドギツイものがある。
庭の雑草を焼くために使った火炎放射器で、自宅を全焼させた父。その日その現場で近所の人に「中には億という家財が入っていたんですよ」と見栄(みえ)を張る祖母。仕事から帰ってきても、自宅の焼失にまったく気づかない弟。ありえないその言動に案の定、気の毒がるより先にゲタゲタ笑ってしまう。
単行本刊行時にも話題となり、文庫版も定期的に重版がかかっている。読者は意外にも女性が半数強、10〜20代が中心だ。「元気が出た」という感想が主で、落ち込んでいる知人に本書を贈ったというケースも。
身内をけなしていながらも、ガッチリとつながった共同体の結びつきの強さが伝わってくる。「だって家族なんだもん! と言い切っていますよね。自分の家族は家族以外ありえない、ということがストレートに伝わってきます」と文庫担当編集者の足立雄一さんも言う。
その後、板谷家には数々の災難が降りかかり、著者自身も脳内出血で休筆していた。復帰してから刊行した続編『やっぱし板谷バカ三代』(角川書店)は、笑った後でかなり泣ける。
庭の雑草を焼くために使った火炎放射器で、自宅を全焼させた父。その日その現場で近所の人に「中には億という家財が入っていたんですよ」と見栄(みえ)を張る祖母。仕事から帰ってきても、自宅の焼失にまったく気づかない弟。ありえないその言動に案の定、気の毒がるより先にゲタゲタ笑ってしまう。
単行本刊行時にも話題となり、文庫版も定期的に重版がかかっている。読者は意外にも女性が半数強、10〜20代が中心だ。「元気が出た」という感想が主で、落ち込んでいる知人に本書を贈ったというケースも。
身内をけなしていながらも、ガッチリとつながった共同体の結びつきの強さが伝わってくる。「だって家族なんだもん! と言い切っていますよね。自分の家族は家族以外ありえない、ということがストレートに伝わってきます」と文庫担当編集者の足立雄一さんも言う。
その後、板谷家には数々の災難が降りかかり、著者自身も脳内出血で休筆していた。復帰してから刊行した続編『やっぱし板谷バカ三代』(角川書店)は、笑った後でかなり泣ける。
朝日新聞 2009年3月15日
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