書評

『東京焼盡』(中央公論新社)

  • 2018/04/14
東京焼盡 / 内田 百けん
東京焼盡
  • 著者:内田 百けん
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:文庫(348ページ)
  • 発売日:2004-03-25
  • ISBN-10:4122043409
  • ISBN-13:978-4122043404
内容紹介:
空襲に明け暮れる太平洋戦争末期の日々を、文学の眼と現実の眼をないまぜつつ綴る日録。日々の記にあらわれた、さまざまなかなしみや喜びやユーモア、そして詩。その精神の体験記から、文学者内田百〓@6BE1@(けん)が一日一日を噛みしめる思いで生きた姿がうかびあがってくる。

【名著 味読・再読】日本人の適応力を知る

「日本の将来は大丈夫か?」と心配する向きに読んでほしい。結論を言えば「大丈夫」。難問が押し寄せるのは間違いない。しかし、今までもその連続だったことを忘れてはいけない。

昭和19年から20年、空襲下の東京での日記。空襲警報が鳴る。地響きが聞こえる。「非常にこはかった。家内と二人、運を天にまかして八畳で固くなってゐた」。それでも生活は続く。わずか半年後、人々はもうすっかり慣れている。寝たまま空襲をやり過ごす。一面の焼野原で近所の人と愉快に笑うこともある。

そして終戦。済んだことは仕方ない、出直しやり直し新規まき直し。妙な明るさがある。そこから戦後復興が始まる。

日本と日本人の驚くべき適応力を知る。
東京焼盡 / 内田 百けん
東京焼盡
  • 著者:内田 百けん
  • 出版社:中央公論新社
  • 装丁:文庫(348ページ)
  • 発売日:2004-03-25
  • ISBN-10:4122043409
  • ISBN-13:978-4122043404
内容紹介:
空襲に明け暮れる太平洋戦争末期の日々を、文学の眼と現実の眼をないまぜつつ綴る日録。日々の記にあらわれた、さまざまなかなしみや喜びやユーモア、そして詩。その精神の体験記から、文学者内田百〓@6BE1@(けん)が一日一日を噛みしめる思いで生きた姿がうかびあがってくる。

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初出メディア

週刊ダイヤモンド

週刊ダイヤモンド 2014年11月1日

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