書評

大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)

  • 2017/09/13
大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書) / 中村 仁一
大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)
  • 著者:中村 仁一
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:新書(213ページ)
  • 発売日:2012-01-30
  • ISBN:4344982487

※書店によっては、在庫の無い場合や取り扱いの無い場合があります。あらかじめご了承ください。
※詳しい購入方法は、各ネット書店のサイトにてご確認ください。

がんは完全に放置すれば安らかに逝ける

誰もが長寿を喜ぶ時代ではなくなった。肉親には長く生きてほしいと思っても、自分自身はほどほどにと思う人が少なくない。

胃瘻(いろう)だの点滴だの酸素吸入だの全身に管を刺され、意思表示もままならぬまま死にたくない。かといって、家族には1分1秒でも長く生きてほしいと思うのも人情か。

中村仁一の『大往生したけりゃ医療とかかわるな』は、上手な天寿のまっとうのしかたを教えるガイドブックである。著者は病院院長、理事長を経て、現在は老人ホームの付属診療所長。行政用語では「配置医師」というそうな。

語り口はユーモラスである。いや、ときに大爆笑。「医学界の綾小路きみまろ」と呼びたい。模擬葬儀で段ボール製棺桶に入った著者の写真まで載っている。

主張はシンプルだ。現在の延命治療は拷問のような苦しみを与える。ところが、衰えに身をまかせる「自然死」ならば、気持ちよく楽に死んでいくことができる。そのためには「医療とかかわるな」というのである。

「本来、年寄りは、どこか具合の悪いのが正常なのです」と著者はいう。原因が加齢なのだから、医者や薬でどうなるものでもない。しかたないと諦めればいいものを、「老い」を「病」にすり替えていると著者は批判する。

著者おすすめの死にかたは「がん」だそうだ。がんというと、痛い、苦しい、というイメージだが、完全に放置すれば痛まないのだそうだ。それどころか、最期には意識レベルも下がり、脳内にモルヒネ様物質が分泌されて、おだやかに安らかに逝けるという。終章には治療行為の中止など事前指示の例文もあって実用的だ。

自分の生き死にを自分で選ぶなんて傲慢だ、という意見もあるだろう。人は一人で生きていないのだからと。しかし、だからといって医者が選んだ死にかたを押しつけられるのも変だ。死にかたは当人と家族が選ぶものだし、家族は当人の意思を尊重してほしい。
大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書) / 中村 仁一
大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)
  • 著者:中村 仁一
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:新書(213ページ)
  • 発売日:2012-01-30
  • ISBN:4344982487

※書店によっては、在庫の無い場合や取り扱いの無い場合があります。あらかじめご了承ください。
※詳しい購入方法は、各ネット書店のサイトにてご確認ください。

初出メディア

週刊朝日

週刊朝日 2012年3月9日

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