書評

『WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方』(NHK出版)

  • 2024/05/16
WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方 / ジル・ボルト・テイラー
WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方
  • 著者:ジル・ボルト・テイラー
  • 翻訳:竹内 薫
  • 出版社:NHK出版
  • 装丁:単行本(352ページ)
  • 発売日:2022-06-28
  • ISBN-10:4140819022
  • ISBN-13:978-4140819029
内容紹介:
もう人間関係、世代間ギャップ、依存症で悩まない! 脳科学者が脳卒中に学んだこと。左脳の脳出血により、右脳の機能しかなくなったとき、脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、それまで… もっと読む
もう人間関係、世代間ギャップ、依存症で悩まない! 脳科学者が脳卒中に学んだこと。

左脳の脳出血により、右脳の機能しかなくなったとき、脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、それまでの認知機能、身体機能を失ったにもかかわらず、この上もない幸福感に包まれた。8年間のリハビリの末、すべての機能を取り戻した博士が、脳卒中の実体験と神経解剖学の科学的見地から得た新しい知見を惜しげもなく開示する。
左脳は思考、右脳は感情というステレオタイプから脱却し、脳の仕組みを知れば、考え方・感じ方の嫌なクセは変えられる。脳は、ふたつの感情、ふたつの思考、合計「4つのキャラ」のシェアハウスだ。たとえば、心と頭が別々のことを言っているときは、脳の異なるキャラ同士が争っている。キャラたちが、ひとつのチームとして協力し合えば、心穏やかな人生が手に入る。
脳は、今でも進化の途上にある。私たちは、何かことが起こったときに、感じ、考える回路を何度も使ううち、その回路だけが発達してしまい、ほかの回路を作動させることができなくなっている。けれど、それを知って、別の回路をはたらかせることができるようになれば、いつもの自分の考え方や感じ方のパターンとなっている嫌なクセを変えられるのだ。
脳科学の分野の「4つのキャラ」と、ユング心理学の「4つの元型」は符合すると、著者は言う。本書は、脳科学と心理学を融合させ、自分自身の力で、自分の「脳」を動かし、なりたい自分になる方法を教えてくれる。

まえがき 心の安らぎはすぐそこにある
第一部 脳のなかをちょっと覗いてみる
第1章 私の物語、私たちの脳
第2章 脳の構造と人格
第3章 脳を支えるチーム―四つのキャラクター
第二部 あなたの四つのキャラ
第4章 キャラ1 考える左脳
第5章 キャラ2 感じる左脳
第6章 キャラ3 感じる右脳
第7章 キャラ4 考える右脳
第8章 脳の作戦会議―安らぎのための強力なツール
第三部 人間関係における四つのキャラ
第9章 自分自身とのつながり―四つのキャラと体
第10章 ほかの人たちとのつながりー―恋愛関係における四つのキャラ
第11章 分離と再連結社会との断絶と結び直しー―依存症に立ち向かう四つのキャラ
第12章 この百年をふり返るー―四つのキャラと世代とテクノロジー
第13章 完璧で、ありのままで、美しい
脳出血で失った左脳機能を手術と八年間のリハビリで取り戻した脳科学者である著者は、生死の境にあった時、至上の幸福感に包まれたという。この体験と脳科学・心理学の知見とから、左脳と右脳それぞれに思考・感情を司る部位があり、この四つ(キャラ1~4と命名)の組み合わせで私が存在するのだという考えに到達した。左脳は個の意識、右脳は人類・宇宙という開放的意識をもたらす。至上の幸福感は右脳の感情(キャラ3)担当である。

問題なのは左脳の感情(キャラ2)である。有害、危険、不公正への怒りなどに対応し、過去の痛みを記憶している傷つきやすいキャラであり、これとの健全な関係構築が最高の自分を作ることにつながる。勇気を持って向き合うべき私である。世代によって支配的なキャラが異なることも示される。左脳優先でストレスの多い現代社会で著者は意図的に右脳優先の状態を保っているという。

私の中に四つの私たちがおり、他人も同じであるという認識を持つことができれば自分で自分の生き方を選べるとその実践法を示す。脳全体を使えば暮らしやすい社会が作れそうな気がしてきた。
WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方 / ジル・ボルト・テイラー
WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方
  • 著者:ジル・ボルト・テイラー
  • 翻訳:竹内 薫
  • 出版社:NHK出版
  • 装丁:単行本(352ページ)
  • 発売日:2022-06-28
  • ISBN-10:4140819022
  • ISBN-13:978-4140819029
内容紹介:
もう人間関係、世代間ギャップ、依存症で悩まない! 脳科学者が脳卒中に学んだこと。左脳の脳出血により、右脳の機能しかなくなったとき、脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、それまで… もっと読む
もう人間関係、世代間ギャップ、依存症で悩まない! 脳科学者が脳卒中に学んだこと。

左脳の脳出血により、右脳の機能しかなくなったとき、脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、それまでの認知機能、身体機能を失ったにもかかわらず、この上もない幸福感に包まれた。8年間のリハビリの末、すべての機能を取り戻した博士が、脳卒中の実体験と神経解剖学の科学的見地から得た新しい知見を惜しげもなく開示する。
左脳は思考、右脳は感情というステレオタイプから脱却し、脳の仕組みを知れば、考え方・感じ方の嫌なクセは変えられる。脳は、ふたつの感情、ふたつの思考、合計「4つのキャラ」のシェアハウスだ。たとえば、心と頭が別々のことを言っているときは、脳の異なるキャラ同士が争っている。キャラたちが、ひとつのチームとして協力し合えば、心穏やかな人生が手に入る。
脳は、今でも進化の途上にある。私たちは、何かことが起こったときに、感じ、考える回路を何度も使ううち、その回路だけが発達してしまい、ほかの回路を作動させることができなくなっている。けれど、それを知って、別の回路をはたらかせることができるようになれば、いつもの自分の考え方や感じ方のパターンとなっている嫌なクセを変えられるのだ。
脳科学の分野の「4つのキャラ」と、ユング心理学の「4つの元型」は符合すると、著者は言う。本書は、脳科学と心理学を融合させ、自分自身の力で、自分の「脳」を動かし、なりたい自分になる方法を教えてくれる。

まえがき 心の安らぎはすぐそこにある
第一部 脳のなかをちょっと覗いてみる
第1章 私の物語、私たちの脳
第2章 脳の構造と人格
第3章 脳を支えるチーム―四つのキャラクター
第二部 あなたの四つのキャラ
第4章 キャラ1 考える左脳
第5章 キャラ2 感じる左脳
第6章 キャラ3 感じる右脳
第7章 キャラ4 考える右脳
第8章 脳の作戦会議―安らぎのための強力なツール
第三部 人間関係における四つのキャラ
第9章 自分自身とのつながり―四つのキャラと体
第10章 ほかの人たちとのつながりー―恋愛関係における四つのキャラ
第11章 分離と再連結社会との断絶と結び直しー―依存症に立ち向かう四つのキャラ
第12章 この百年をふり返るー―四つのキャラと世代とテクノロジー
第13章 完璧で、ありのままで、美しい

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2022年8月20日

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