脳出血で失った左脳機能を手術と八年間のリハビリで取り戻した脳科学者である著者は、生死の境にあった時、至上の幸福感に包まれたという。この体験と脳科学・心理学の知見とから、左脳と右脳それぞれに思考・感情を司る部位があり、この四つ(キャラ1~4と命名)の組み合わせで私が存在するのだという考えに到達した。左脳は個の意識、右脳は人類・宇宙という開放的意識をもたらす。至上の幸福感は右脳の感情(キャラ3)担当である。
問題なのは左脳の感情(キャラ2)である。有害、危険、不公正への怒りなどに対応し、過去の痛みを記憶している傷つきやすいキャラであり、これとの健全な関係構築が最高の自分を作ることにつながる。勇気を持って向き合うべき私である。世代によって支配的なキャラが異なることも示される。左脳優先でストレスの多い現代社会で著者は意図的に右脳優先の状態を保っているという。
私の中に四つの私たちがおり、他人も同じであるという認識を持つことができれば自分で自分の生き方を選べるとその実践法を示す。脳全体を使えば暮らしやすい社会が作れそうな気がしてきた。