エッセイスト。一九六六年東京都生まれ。立教大学卒業。二〇〇四年『負け犬の遠吠え』(講談社)で講談社エッセイ賞、婦人公論文芸賞を受賞。『ユーミンの罪』(講談社現代新書)、『地震と独身』(新潮社)、『女を観る歌舞伎』(文藝春秋)など著書多数。もっと読む
- 『河原久雄文楽写真集』(日本経済新聞出版社)酒井 順子
あふれでる人形の感情、精巧な美表紙には、故・吉田玉男が人形を遣う写真。そして、「河原久雄文楽写真集」「構成 橋本治」の文字。思わず手に取っ…
書評 - 『田辺聖子の古典まんだら』(新潮社)酒井 順子
過去という味方がいる豊かさ苦難に出会った時、私たちは先輩の声を欲します。かつて同じことを経験したことがある人の意見を聞けば、安心すると同時…
書評 - 『橋の上の「殺意」―畠山鈴香はどう裁かれたか』(平凡社)酒井 順子
死刑待望論で見えなくなったもの秋田で、母子家庭の娘さんが行方不明になり、やがて遺体で発見された。……このニュースを聞いた時、傷心の母親の姿を…
書評 - 『銅像受難の近代』(吉川弘文館)酒井 順子
時代に揺れ動いた偉人像たちの運命食べ物であれ建物であれ、何か一つの物だけを訪ねる旅をすると、その土地のことが思いのほか深く見えてくることが…
書評 - 『そうはいかない』(小学館)酒井 順子
弱くて強い人間、いとおしむ佐野洋子さんの文章を読んでいるといつも、ページの奥から「人間」という文字が、じわじわと浮かび上がってくるように思…
書評 - 『無縁社会』(文藝春秋)酒井 順子
細る家族縁、新しい「縁」の模索も流行語ともなった、無縁社会、そして無縁死(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2010年)。無縁問題を取り上…
書評 - 『おいしい中国―「酸甜苦辣」の大陸』(文藝春秋)酒井 順子
質素ながらも楽しい食生活を回想中華料理について書かれた本は、意外とたくさんあります。お隣の国の料理が私たちは大好きなのであり、それらの本に…
書評 - 『国鉄スワローズ1950‐1964―400勝投手と愛すべき万年Bクラス球団』(交通新聞社)酒井 順子
弱かったけどいい球団だったのよ故・宮脇俊三氏に、かつて野球の贔屓(ひいき)チームを聞いた時、「スワローズですよ」とおっしゃっていました。そ…
書評 - 『一〇〇年前の女の子』(講談社)酒井 順子
当時の風俗と人々の気持ち伝える「お母さんも、かつて少女だった」という事実に、娘は大人になってから気付くものです。母親はずっと昔から「お母さ…
書評 - 『星と輝き花と咲き』(講談社)酒井 順子
頂点極めた大スターの運命と選択AKB48のメンバーたちは、恋愛禁止なのだそうです。アイドルでもフランクに恋愛する人が多い時代に、そのルールは、…
書評 - 『ミーツへの道 「街的雑誌」の時代』(本の雑誌社)酒井 順子
情報でなく街と店への思い載せて関西に「ミーツ・リージョナル」(以下「ミーツ」)という面白い雑誌がある、大阪や京都に行くなら「ミーツ」別冊を…
書評 - 『戦後エロマンガ史』(青林工藝舎)酒井 順子
大衆の欲望の行き先を探り続けて東京都の青少年健全育成条例の問題が、話題になっています。これは、マンガやアニメに出てくる架空の人物も、18歳未…
書評 - 『現代中国女工哀史』(白水社)酒井 順子
したたかに個人の幸福追求する姿世界の工場と言われる、中国。膨大な数の労働者の多くは、地方の農村から工業地帯へと出稼ぎに来ている若者たちです…
書評 - 『岩佐美代子の眼―古典はこんなにおもしろい』(笠間書院)酒井 順子
文学に打ち込んだ“最後の女房”岩佐美代子は、異色の経歴を持つ国文学者です。民法学者で男爵であった穂積重遠の娘として大正15年に生まれ、女子学習…
書評 - 『高慢と偏見とゾンビ』(二見書房)酒井 順子
異なる物同士が醸す異様な力本書を見た時「これは何?」と、激しく疑問に思った私。しかし読み始めてみると、この本はまさに「高慢と偏見とゾンビ」…
書評 - 『読み解き「般若心経」』(朝日新聞出版)酒井 順子
お経は詩であり、人間くさいのだ父親が亡くなった時から、死はにわかにリアルな問題として私の目の前に浮上しました。「人間、誰でもいずれは死ぬ」…
書評 - 『「かなしみ」の哲学 日本精神史の源をさぐる』(NHK出版)酒井 順子
万葉集から演歌まで響き合うもの「かなしみ」という文字を見ると、つい反応してしまう私。その反応には、どこかうっとりとした陶酔感が伴うのであり…
書評 - 『学校の悲しみ』(みすず書房)酒井 順子
もと劣等生がつづる“あのころ”極端に勉強ができなかったわけでも、不良だったわけでもないけれど、学校とか、教師とか、「教わる」という行為とか、…
書評 - 『大向うの人々 歌舞伎座三階人情ばなし』(講談社)酒井 順子
なぜ人は掛け声をかけるのか歌舞伎座で聞こえる、「成田屋!」「成駒屋!」という掛け声。あの声がかかる間(ま)が、役者さんの台詞(せりふ)とビ…
書評 - 『七十五度目の長崎行き』(河出書房新社)酒井 順子
“目的のある旅”の香り高い余韻吉村昭さんの小説を読んでいると、私はストーリーの隅々まで満たされた「事実」の濃度に、圧倒されるような気持ちにな…
書評