読書日記

夏休み企画〈書評でGo on a Trip!〉北欧編

  • 2020/08/12
世界各地を〈書評〉で巡る〈書評でGo on a Trip!〉企画、続いては北欧編です!

北欧にGo!

【デンマーク】
多和田葉子『地球にちりばめられて』(講談社)

評者:沼野 充義

Hirukoはどうやら日本人らしいのだが、この物語にはそもそも「日本」という国名さえ一度も出てこない。彼女はデンマーク留学中に、自分の国がなぜか消えて帰れなくなり、アンデルセンゆかりの地、オーデンセのメルヘン・センターで紙芝居を子供たちに見せながら暮らしている。(この書評を読む)

地球にちりばめられて / 多和田 葉子
地球にちりばめられて
  • 著者:多和田 葉子
  • 出版社:講談社
  • 装丁:単行本(309ページ)
  • 発売日:2018-04-26
  • ISBN-10:4062210223
  • ISBN-13:978-4062210225
内容紹介:
留学中に故郷の島国が消滅してしまった彼女は、同じ母語を話す者を捜しに、大陸をわたる旅に出る。言葉のきらめきを発見する越境譚。

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。


【ノルウェー】
ラーシュ・ミッティング『薪を焚く』(晶文社)

評者:平松 洋子

ノルウェーの作家による"オールアバウト薪"。薪にまつわる実用と知見がぎっしり詰まった一冊(この書評を読む)

薪を焚く / ラーシュ・ミッティング
薪を焚く
  • 著者:ラーシュ・ミッティング
  • 翻訳:朝田千惠
  • 出版社:晶文社
  • 装丁:単行本(308ページ)
  • 発売日:2019-11-12
  • ISBN-10:4794971613
  • ISBN-13:978-4794971616
内容紹介:
◎世界15か国で翻訳、50万部超のベストセラー!! ノルウェー本国では2011年刊行以来、16万部のロングセラー◎英“The Bookseller” 誌 2016年最優秀ノンフィクション大賞受賞北欧の冬は寒い。… もっと読む
◎世界15か国で翻訳、50万部超のベストセラー!!
ノルウェー本国では2011年刊行以来、16万部のロングセラー

◎英“The Bookseller” 誌 2016年最優秀ノンフィクション大賞受賞

北欧の冬は寒い。
屈指の寒冷地で古くから人は山に入り、木を伐り、
薪を積んで乾燥させ、火をおこしてきた。
薪焚きは生活に欠かせない技術として受け継がれ、
いまもノルウェー人の生活文化に根づいている。

伐って、割って、積んで、乾かし、燃やす――
ただひたむきに木と対話する。
そこに浮かび上がる、自然との関わり、道具への偏愛、
スローライフの哲学、手仕事の喜び……

本書は薪焚きの実践的な知恵と技を伝えつつ、
エネルギー問題に取り組む社会の変遷、大気汚染を抑える燃焼技術の革新、
チェーンソーや斧など道具の歴史、薪愛好者たちへの取材など、
薪をめぐる人々と社会の物語を描き出す。

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【フィンランド】
トンミ・キンヌネン『四人の交差点』(新潮社)

評者:斎藤 環

この悲劇には、ロシアなどによって侵略を繰り返されてきた小国フィンランドの悲哀や、この国においてある種の愛の形が1980年代まで非合法であったという政治的な背景が関わっている。(この書評を読む)

四人の交差点 / トンミ・キンヌネン
四人の交差点
  • 著者:トンミ・キンヌネン
  • 翻訳:古市 真由美
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:単行本(380ページ)
  • 発売日:2016-09-30
  • ISBN-10:4105901303
  • ISBN-13:978-4105901301
内容紹介:
助産師として強く生きた祖母。写真技師だった奔放な母。子供思いで物づくりに長け、若くして亡くなった父。それぞれの声で語られる喜びと痛みの記憶は、結末でやがて一つの像を結び、ある秘密を照らし出す―。北国の歴史と一家の営みが豊かに響きあう、百年の物語。フィンランドでベストセラーとなった、「家」をめぐる長篇小説。ヌオリ・アレクシス賞ほか数々の文学賞を受賞。

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【アイスランド】
トム・バーケット『図説 北欧神話大全』(原書房)

序章

北欧神話は、中世アイスランドでいち早く文筆の文化が花開いたおかげで文書化された。(この書評を読む)

図説 北欧神話大全 / トム・バーケット
図説 北欧神話大全
  • 著者:トム・バーケット
  • 翻訳:井上 廣美
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(475ページ)
  • 発売日:2019-11-15
  • ISBN-10:4562057084
  • ISBN-13:978-4562057085
内容紹介:
数々の名作の宝庫たる北欧神話。そのファンタジックで豊穣な世界を、美しいカラー図版とともに紹介。見て読んで楽しい必携本!

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【スウェーデン】
ダヴィド・ラーゲルクランツ『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』(早川書房)

評者:古屋 美登里

タイトルの「ミレニアム」とは、世の中の不正義と闘う硬派な雑誌で、そこの取材記者であり経営者であるミカエルを中心に物語は展開していく。本来の主人公はこのミカエルなのだ。そして本書には人工知能研究において天才といわれる研究者が登場する。(この書評を読む)

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女   / ダヴィド・ラーゲルクランツ
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女
  • 著者:ダヴィド・ラーゲルクランツ
  • 翻訳:ヘレンハルメ 美穂,羽根 由
  • 出版社:早川書房
  • 装丁:文庫(409ページ)
  • 発売日:2017-09-05
  • ISBN-10:4151830014
  • ISBN-13:978-4151830013
内容紹介:
人工知能の専門家に関わるスクープを狙うミカエルは、リスベットの存在を事件の背後に感じ取っていた……。待望のシリーズ最新刊

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【スウェーデン】
ハンス・ロスリング,ファニー・ヘルエスタム『私はこうして世界を理解できるようになった』(青土社)

あとがき

二〇一六年の秋、講演でただでさえ忙しかったハンスは、息子のオーラとその妻、アンナとの共著『FACTFULNESS』でもまた大わらわだった。彼の書いたものすべてを分類したり、古い写真に目を通したりしているうちに時間は消えていった。(この書評を読む)

私はこうして世界を理解できるようになった / ハンス・ロスリング,ファニー・ヘルエスタム
私はこうして世界を理解できるようになった
  • 著者:ハンス・ロスリング,ファニー・ヘルエスタム
  • 翻訳:枇谷 玲子
  • 出版社:青土社
  • 装丁:単行本(ソフトカバー)(320ページ)
  • 発売日:2019-09-25
  • ISBN-10:4791772172
  • ISBN-13:978-4791772179
内容紹介:
もうひとつのFACTFULNESSビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領が大絶賛し、全世界で50万部のベストセラーとなった『Factfulness』(日経BP、2019年)。TEDスピーチで独特のテンショ… もっと読む
もうひとつのFACTFULNESS
ビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領が大絶賛し、全世界で50万部のベストセラーとなった『Factfulness』(日経BP、2019年)。TEDスピーチで独特のテンションで統計学を語り人気を博していたロスリングが末期ガンと診断され余命宣告を受けて書いたのが、その『Factfulness』と本書の二冊である。『Factfulness』では我々が知らず知らずのうちに陥っているバイアスの罠から解放され、世界を正しく見るための方法が書かれていたが、本書では著者の生涯を描きながら、自身がどのようにしてバイアスの罠から解放され、世界を正しく見ることができるようになったかが書かれている。医師から研究者へ、そして世界の進歩を信じ、啓蒙し続ける人気の統計学者へと転身した波乱万丈の人生が感動的に描かれている。

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【リトアニア】
デイヴィッド・フィッシュマン『ナチスから図書館を守った人たち:囚われの司書、詩人、学者の闘い』(原書房 )

訳者あとがき

本書『ナチスから図書館を守った人たち』は、ナチス・ドイツに占領されたリトアニアの首都ヴィルナ(現在のヴィリニュス)で、ナチスに迫害されたユダヤ人たちが、ユダヤ民族の文化を守り、次世代に継承していこうとして命懸けで奮闘する姿を描いたノンフィクションである。(この書評を読む)

ナチスから図書館を守った人たち:囚われの司書、詩人、学者の闘い / デイヴィッド・フィッシュマン
ナチスから図書館を守った人たち:囚われの司書、詩人、学者の闘い
  • 著者:デイヴィッド・フィッシュマン
  • 翻訳:羽田 詩津子
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(352ページ)
  • 発売日:2019-02-22
  • ISBN-10:4562056355
  • ISBN-13:978-4562056354
内容紹介:
見つかれば命はない。それでも服の下に隠して守ったのは、食料でも宝石でもなく、本だった――。最も激しいホロコーストの地で図書館を運営し、蔵書と文化を守ったユダヤ人たちの激闘の記録。

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【ラトヴィア】
ノラ・イクステナ『ソビエト・ミルク: ラトヴィア母娘の記憶』(新評論)

評者:沼野 充義

現代ラトヴィアの女性作家による話題作である。人口二百万足らずのバルト地方の小国で五万部売れるベストセラーになっただけでなく、既に英語をはじめとして世界の多くの言語に翻訳されている。物語は、一九六九年生まれの娘と、一九四四年生まれの母の複雑な関係を軸に、二〇世紀後半のラトヴィアという国の苦難の歴史を背景に展開する。(この書評を読む)

ソビエト・ミルク: ラトヴィア母娘の記憶 / ノラ・イクステナ
ソビエト・ミルク: ラトヴィア母娘の記憶
  • 著者:ノラ・イクステナ
  • 翻訳:黒沢 歩
  • 出版社:新評論
  • 装丁:単行本(266ページ)
  • 発売日:2019-09-13
  • ISBN-10:4794811330
  • ISBN-13:978-4794811332
内容紹介:
緊張緩和から共産圏崩壊にかけての時代を、ひと組の母と娘の物語を通じて圧倒的迫力で描き出す、ラトヴィア文学の傑作!

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【エストニア】
ピーター・ポメランツェフ『嘘と拡散の世紀:「われわれ」と「彼ら」の情報戦争』(原書房)

訳者あとがき

エストニアは1991年にソ連から独立して、その後NATO、EUに加盟した。さらにヨーロッパ随一のデジタル先進国になることで後進国のイメージを払拭したが、ロシアと敵対した結果、分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)を仕掛けられて国中のネット機能がダウンしてしまった。(この書評を読む)

嘘と拡散の世紀:「われわれ」と「彼ら」の情報戦争 / ピーター・ポメランツェフ
嘘と拡散の世紀:「われわれ」と「彼ら」の情報戦争
  • 著者:ピーター・ポメランツェフ
  • 翻訳:築地 誠子,竹田 円
  • 出版社:原書房
  • 装丁:単行本(292ページ)
  • 発売日:2020-03-24
  • ISBN-10:4562057513
  • ISBN-13:978-4562057511
内容紹介:
世界は嘘が個人の内面に一瞬で侵入する時代に突入した。偽情報はいかに生み出され、深刻な対立をまねくか…キエフ出身の英国人ジャーナリストが米中ほか世界各地、特に祖国ウクライナとロシアについて詳述した必読の書!

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