書評
『ブスの瞳が恋されて』(マガジンハウス)
笑って、泣いて、励まされた。そしてビックリした。あまりの文章のうまさに。「スポーツカーのスピード感と、ブルドーザーの破壊力をもった文体」という、担当編集者の粕谷大介さんの表現にも、納得。
いじめられた暗黒の小中学生時代や、交際0日で電撃結婚した夫婦生活を赤裸々に綴(つづ)る本書。著者は体当たり&暴走キャラで知られるお笑い芸人・森三中の大島美幸さん。夫である売れっ子放送作家、鈴木おさむさんのエッセー『ブスの瞳に恋してる』は続編と2冊で40万部を突破。鈴木さんが担当の粕谷さんに「奥さんの文章が面白い」と言ったことが、本書のきっかけ。「ブログを読み、大島さんの言葉のセンスのよさに驚き、ぜひにと執筆をお願いしました」
裸で砂場に埋められるなど、本書で明かされるいじめの内容は凄惨(せいさん)。容姿に関するプライドの傷つけられ方も深刻。さらに、周囲は芸人としてマイナスだと危惧(きぐ)したが、本人の強い希望で、連載時には書かれなかった流産経験も書き下ろした。悲しさ、惨めさ、そして怒りを前面に出しながらも笑えるエンタメに仕立てあげ、前向きな気持ちにさせる語り口が見事。夫婦のラブラブぶりもさほど鬱陶(うっとう)しくなく、むしろ史上最強のコンビだ、と応援したくなる。
編集部には、いじめや流産を体験した女性たちから大島さんあての長い手紙が届いている。ネットのレビューでも「勇気をもらった」「美幸ちゃんは戦友」と女性からの共感の声が。実際、読者の9割以上が女性で、メーンは20、30代。ガラスのオトメ心を自分たちがどれほど踏みにじっているか分かりますので、世の男性たちも、ぜひ。
いじめられた暗黒の小中学生時代や、交際0日で電撃結婚した夫婦生活を赤裸々に綴(つづ)る本書。著者は体当たり&暴走キャラで知られるお笑い芸人・森三中の大島美幸さん。夫である売れっ子放送作家、鈴木おさむさんのエッセー『ブスの瞳に恋してる』は続編と2冊で40万部を突破。鈴木さんが担当の粕谷さんに「奥さんの文章が面白い」と言ったことが、本書のきっかけ。「ブログを読み、大島さんの言葉のセンスのよさに驚き、ぜひにと執筆をお願いしました」
裸で砂場に埋められるなど、本書で明かされるいじめの内容は凄惨(せいさん)。容姿に関するプライドの傷つけられ方も深刻。さらに、周囲は芸人としてマイナスだと危惧(きぐ)したが、本人の強い希望で、連載時には書かれなかった流産経験も書き下ろした。悲しさ、惨めさ、そして怒りを前面に出しながらも笑えるエンタメに仕立てあげ、前向きな気持ちにさせる語り口が見事。夫婦のラブラブぶりもさほど鬱陶(うっとう)しくなく、むしろ史上最強のコンビだ、と応援したくなる。
編集部には、いじめや流産を体験した女性たちから大島さんあての長い手紙が届いている。ネットのレビューでも「勇気をもらった」「美幸ちゃんは戦友」と女性からの共感の声が。実際、読者の9割以上が女性で、メーンは20、30代。ガラスのオトメ心を自分たちがどれほど踏みにじっているか分かりますので、世の男性たちも、ぜひ。
朝日新聞 2008年7月20日
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