書評

『仁義なき英国タブロイド伝説』(新潮社)

  • 2020/08/01
仁義なき英国タブロイド伝説 / 山本 浩
仁義なき英国タブロイド伝説
  • 著者:山本 浩
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:新書(207ページ)
  • 発売日:2004-12-16
  • ISBN-10:4106100975
  • ISBN-13:978-4106100970
内容紹介:
王室のタブーを暴露し、ベッカムを「スーパースター」に仕立て上げ、時には政権の行方をも左右する英国大衆紙。ネタを演出し売上げを伸ばすためなら、潜入取材、隠し撮り、やらせと手段を問わない。紙面には、大スクープと大誤報、ゴシップと偏見、政策論議とヌード写真までが、ごった煮のごとく詰まっている。読んでもちっとも賢くならないが面白すぎてやめられない、英国タブロイドの世界へご招待。

仁義なき新聞?

ロンドンの地下鉄出口あたりに、デイリー・ミラーとかザ・サンだとかの新聞立ち売りが出る。売り子はいい年のオヤジと相場が決まっており、道行く人たちに向かって、「今日の特ダネ」を、渋いだみ声で呼ばわっている。

こういうのは、いわゆるタブロイド版の大衆新聞である。

その内容というと、これがいかにも興味本位で、同じ新聞とはいいながら、タイムズなどとは、その住む世界をまったく異にしているのである。

日本のタブロイドに比べると、より政治的であり、王室スキャンダルなどになると、唖然とするほどエゲツナイのである。

これらの英国タブロイドの世界は、日本ではほとんど伝わってこないから、私どもは、その面白さもあくどさも、偏向ぶりも、なにも知らないのが実情である。

本書はNHKのロンドン特派員として、こういう世界に、まあいわば「魅入られた」筆者が、これらの英国アカ新聞事情を、その歴史的経緯までを含めて、噛んで含めるように解き明かしてくれた労作にして傑作である。

開巻一笑、まずはバッキンガム宮殿に偽召使いとして潜入したデイリー・ミラー記者の武勇伝とその特ダネぶりから説き起こす。まことに興味津々たるうちに、タブロイド周辺のあれこれをすっかり教えてもらうことを得る。いや、おもしろい。真面目なんだかふざけてるんだか、スキャンダルも政治もスポーツも一緒くた、てんこ盛りの世界。紳士気取りの高雅なイギリスとはまるで違う、汗臭い労働者的イギリスが、ここに息づいている。いや、これがじつはイギリスのほんとの姿なのだと言ってもよいのである。
仁義なき英国タブロイド伝説 / 山本 浩
仁義なき英国タブロイド伝説
  • 著者:山本 浩
  • 出版社:新潮社
  • 装丁:新書(207ページ)
  • 発売日:2004-12-16
  • ISBN-10:4106100975
  • ISBN-13:978-4106100970
内容紹介:
王室のタブーを暴露し、ベッカムを「スーパースター」に仕立て上げ、時には政権の行方をも左右する英国大衆紙。ネタを演出し売上げを伸ばすためなら、潜入取材、隠し撮り、やらせと手段を問わない。紙面には、大スクープと大誤報、ゴシップと偏見、政策論議とヌード写真までが、ごった煮のごとく詰まっている。読んでもちっとも賢くならないが面白すぎてやめられない、英国タブロイドの世界へご招待。

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