前書き
『魔法使いたちの料理帳 II』(原書房)
これは映える!
誰もが知っているファンタジーに登場する魔法のレシピ――しかもスイーツだけ!――をカラー写真付きで公開する本が登場。
チェシャ猫の舌、ドビーのクッキー、不死の秘訣、ガンダルフ・ケーキ…『ホビット』から『チャーリーとチョコレート工場』『ファイナルファンタジー』にジブリ映画まで、色鮮やかなマジカルスイーツを中心に雰囲気たっぷりの写真とともに紹介。まさに「読んで見て食べるファンタジー」。著者の前書きを公開!

確かに、ざっと見わたした限りでは、魔法界に生きる者たちの多くは、世界を破滅させようと企んでいるか、あるいは逆に世界を救おうと苦心しているか(やりたくてやってるわけではない者も含めて)のいずれかであるようだ。
だが、どうだろう。そうして生きている一人ひとりは、実は大変な食いしん坊ではないだろうか?
ガンダルフやハリウェル3姉妹のような人間の姿をした魔法使いたちはもちろん、セントール、ヴァンパイア、人狼、ゴブリン、トロル、ファントム、ドラゴン、フォーン、ウサギ、ビーバーだって例外ではない。
本書は、シリーズ第1作と同様、魔法のレシピだけを集めた特別な魔術書だ。
だが今回はとくに、お菓子やスイーツなど甘いものだけに的を絞っている。
どうしてかって?
それは第一に、第1作の読者の皆さん(皆さん、読んでくれてありがとう!)の強い希望があったから。
そして第二に、ファンタジー世界の登場人物たちはとりわけ甘いものに目がないらしいと、わたし自身が気づいたからだ。
そこでわたしは、再び愛用のペンを携えて、皆さんが愛する世界に生きる者たちの、お気に入りのスイーツを探す旅に出たのだ。
それは、決してたやすい道のりではなかった。あらゆる危険を乗り越え(もっとも危険だったのは、物語に夢中になりすぎたわたし自身が、本来の目的をすっかり忘れてしまった時だった……)、慣れ親しんだ登場人物たち(ハリー・ポッター、クリスマス・キャロル)に会いに行ったり、アクセス困難な遠くの世界(ナルニア国物語、ネバーエンディング・ストーリー)をはるばる訪れたり、恐ろしい海賊(フック船長!)と対決したり、ラスボスたちと戦ったり(ダンジョンズ&ドラゴンズなど)しなければならなかった。すべては、読者の皆さんに喜んでもらいたかったからだ。
さあ、親愛なる読者の皆さん、こうして完成した本書をぜひ手に取ってほしい。
もしかしたら皆さんの中には、グレムリンとアリスの帽子屋が、マクベスの魔女とホビットのビルボが、ウィリー・ウォンカとスリラーの狼男が、こうして肩を並べているのを奇妙に感じる人もいるかもしれない。
確かにこの本には、つるりとした肌の者、毛むくじゃらの者、背中に翼が生えた者、分厚い皮に覆われた者、全身鱗だらけの者など、さまざまなクリーチャーたちが溢れている。
いったい彼らのどこに共通点があるのかって? それはもちろん、全員がファンタジー世界の住民で、あの慣れ親しんだ奇妙な世界へわたしたちを導いてくれる者たちばかりという点だ。
でも、わたしたちが生きているこの世界だって、ごくありふれた退屈なものに思えるかもしれないが、よく探してみればたくさんの不思議なことが隠れているのではないだろうか?
さあ、早速ページをめくってみよう。家族で、友だち同士で、パーティーで、もちろんひとりきりでも、いつでもおいしく味わえるお菓子がたくさん詰まっている。どこから読み始めても読み終えても構わない。皆さんのお気に召すまま、気分次第で、必要に応じて読もう。クリスマスのお菓子を作りたい時、ハロウィンパーティーを催す時、小人たちとお茶をする時などに役立ててほしい。
でも、どんな時もこれだけは忘れないで。
「魔法は、必ず使えると信じる者にしか使えない」J・R・R・トールキン
[書き手]オーレリア・ボーポミエ
元フランス国立科学研究センター図書館員。料理愛好家。著書に「ハリー・ポッファー――魔術師ではなく魔法使いのための非公認料理マニュアル」がある。(田中裕子訳)
誰もが知っているファンタジーに登場する魔法のレシピ――しかもスイーツだけ!――をカラー写真付きで公開する本が登場。
チェシャ猫の舌、ドビーのクッキー、不死の秘訣、ガンダルフ・ケーキ…『ホビット』から『チャーリーとチョコレート工場』『ファイナルファンタジー』にジブリ映画まで、色鮮やかなマジカルスイーツを中心に雰囲気たっぷりの写真とともに紹介。まさに「読んで見て食べるファンタジー」。著者の前書きを公開!

魔法使いは、どんなスイーツを食べていたの?
美しきも醜きも、賢者も愚者も、人間もそうでない者も、ファンタジー世界の魔法使いたちも、お菓子の誘惑にあらがえる者など誰もいない。確かに、ざっと見わたした限りでは、魔法界に生きる者たちの多くは、世界を破滅させようと企んでいるか、あるいは逆に世界を救おうと苦心しているか(やりたくてやってるわけではない者も含めて)のいずれかであるようだ。
だが、どうだろう。そうして生きている一人ひとりは、実は大変な食いしん坊ではないだろうか?
ガンダルフやハリウェル3姉妹のような人間の姿をした魔法使いたちはもちろん、セントール、ヴァンパイア、人狼、ゴブリン、トロル、ファントム、ドラゴン、フォーン、ウサギ、ビーバーだって例外ではない。
本書は、シリーズ第1作と同様、魔法のレシピだけを集めた特別な魔術書だ。
だが今回はとくに、お菓子やスイーツなど甘いものだけに的を絞っている。
どうしてかって?
それは第一に、第1作の読者の皆さん(皆さん、読んでくれてありがとう!)の強い希望があったから。
そして第二に、ファンタジー世界の登場人物たちはとりわけ甘いものに目がないらしいと、わたし自身が気づいたからだ。
そこでわたしは、再び愛用のペンを携えて、皆さんが愛する世界に生きる者たちの、お気に入りのスイーツを探す旅に出たのだ。
それは、決してたやすい道のりではなかった。あらゆる危険を乗り越え(もっとも危険だったのは、物語に夢中になりすぎたわたし自身が、本来の目的をすっかり忘れてしまった時だった……)、慣れ親しんだ登場人物たち(ハリー・ポッター、クリスマス・キャロル)に会いに行ったり、アクセス困難な遠くの世界(ナルニア国物語、ネバーエンディング・ストーリー)をはるばる訪れたり、恐ろしい海賊(フック船長!)と対決したり、ラスボスたちと戦ったり(ダンジョンズ&ドラゴンズなど)しなければならなかった。すべては、読者の皆さんに喜んでもらいたかったからだ。
さあ、親愛なる読者の皆さん、こうして完成した本書をぜひ手に取ってほしい。
もしかしたら皆さんの中には、グレムリンとアリスの帽子屋が、マクベスの魔女とホビットのビルボが、ウィリー・ウォンカとスリラーの狼男が、こうして肩を並べているのを奇妙に感じる人もいるかもしれない。
確かにこの本には、つるりとした肌の者、毛むくじゃらの者、背中に翼が生えた者、分厚い皮に覆われた者、全身鱗だらけの者など、さまざまなクリーチャーたちが溢れている。
いったい彼らのどこに共通点があるのかって? それはもちろん、全員がファンタジー世界の住民で、あの慣れ親しんだ奇妙な世界へわたしたちを導いてくれる者たちばかりという点だ。
でも、わたしたちが生きているこの世界だって、ごくありふれた退屈なものに思えるかもしれないが、よく探してみればたくさんの不思議なことが隠れているのではないだろうか?
さあ、早速ページをめくってみよう。家族で、友だち同士で、パーティーで、もちろんひとりきりでも、いつでもおいしく味わえるお菓子がたくさん詰まっている。どこから読み始めても読み終えても構わない。皆さんのお気に召すまま、気分次第で、必要に応じて読もう。クリスマスのお菓子を作りたい時、ハロウィンパーティーを催す時、小人たちとお茶をする時などに役立ててほしい。
でも、どんな時もこれだけは忘れないで。
「魔法は、必ず使えると信じる者にしか使えない」J・R・R・トールキン
[書き手]オーレリア・ボーポミエ
元フランス国立科学研究センター図書館員。料理愛好家。著書に「ハリー・ポッファー――魔術師ではなく魔法使いのための非公認料理マニュアル」がある。(田中裕子訳)
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