書評

『J・ M・クッツェー 世界と「私」の偶然性へ』(三修社)

  • 2023/12/05
J・ M・クッツェー 世界と「私」の偶然性へ / 田尻 芳樹
J・ M・クッツェー 世界と「私」の偶然性へ
  • 著者:田尻 芳樹
  • 出版社:三修社
  • 装丁:単行本(362ページ)
  • 発売日:2023-04-03
  • ISBN-10:4384060459
  • ISBN-13:978-4384060454
内容紹介:
南アフリカ出身で二〇〇三年にノーベル文学賞を受賞した作家ジョン・マクスウェル・クッツェーに関して、小説だけでなく、評論も含めた全主要作品を原則として出版年順に解説、論評し、クッツ… もっと読む
南アフリカ出身で二〇〇三年にノーベル文学賞を受賞した作家ジョン・マクスウェル・クッツェーに関して、小説だけでなく、評論も含めた全主要作品を原則として出版年順に解説、論評し、クッツェーの文学へと導く。すでにクッツェーの作品を知っている読者にさらに深く考えてもらうこともできる。作品論と合わせて伝記的情報も多く取り入れ、評伝として読むこともできる。
小説家だけではなく、研究者でもあるクッツェーの評論も丁寧に紹介している。著者とクッツェーとの交流も描かれ、クッツェーの人柄も垣間見れる。
巻末には、文献案内を掲載し、読書の幅をより広げられる。
「<英語>文学の現在(いま)へ」というシリーズの第一巻である。「英文学」ではないところに留意したい。第二次大戦前後から世界中で<英語>という表現媒体を共有し問い直してきた作家たちを紹介する研究書シリーズだ。

クッツェー研究の第一人者である著者による本書は、学生読者も意識してテーマ別ではなく年代順の構成をとっているが、それを貫くテーマが幾つもある。

文体論としては、英語「時制」に焦点を当て、現在形で書くことの多い作家にあって作品の一部がなぜ過去形で書かれたかを解く。また、『動物のいのち』『エリザベス・コステロ』に書かれる共感的想像力。それをもって動物の内部に入りこむことについて、クッツェーの思考に沿いながら敷衍(ふえん)してくれる。「生まれつき翻訳」という概念も重要だ。翻訳書に擬態して現れた「イエス三部作」などが志向するものは何か?

著者最大の関心事は第一作『ダスクランズ』から最新作までつらなる、私が私であることの偶然性という問題だ。これに一冊通して迫る。作家論として網羅的かつ、一般読者にもありがたい解説書である。
J・ M・クッツェー 世界と「私」の偶然性へ / 田尻 芳樹
J・ M・クッツェー 世界と「私」の偶然性へ
  • 著者:田尻 芳樹
  • 出版社:三修社
  • 装丁:単行本(362ページ)
  • 発売日:2023-04-03
  • ISBN-10:4384060459
  • ISBN-13:978-4384060454
内容紹介:
南アフリカ出身で二〇〇三年にノーベル文学賞を受賞した作家ジョン・マクスウェル・クッツェーに関して、小説だけでなく、評論も含めた全主要作品を原則として出版年順に解説、論評し、クッツ… もっと読む
南アフリカ出身で二〇〇三年にノーベル文学賞を受賞した作家ジョン・マクスウェル・クッツェーに関して、小説だけでなく、評論も含めた全主要作品を原則として出版年順に解説、論評し、クッツェーの文学へと導く。すでにクッツェーの作品を知っている読者にさらに深く考えてもらうこともできる。作品論と合わせて伝記的情報も多く取り入れ、評伝として読むこともできる。
小説家だけではなく、研究者でもあるクッツェーの評論も丁寧に紹介している。著者とクッツェーとの交流も描かれ、クッツェーの人柄も垣間見れる。
巻末には、文献案内を掲載し、読書の幅をより広げられる。

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2023年10月14日

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