書評

『ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫』(KADOKAWA)

  • 2023/12/13
ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫 / エドガー・アラン・ポー
ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫
  • 著者:エドガー・アラン・ポー
  • 翻訳:河合 祥一郎
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2022-02-22
  • ISBN-10:4041092434
  • ISBN-13:978-4041092439
内容紹介:
「この猫が怖くてたまらない」おとなしい動物愛好家の「私」は、酒に溺れすっかり人が変わり、可愛がっていた黒猫を虐め殺してしまう。やがて妻も手にかけ、遺体を地下室に隠すが…。戦慄の復… もっと読む
「この猫が怖くてたまらない」

おとなしい動物愛好家の「私」は、酒に溺れすっかり人が変わり、可愛がっていた黒猫を虐め殺してしまう。やがて妻も手にかけ、遺体を地下室に隠すが…。戦慄の復讐譚「黒猫」他「アッシャー家の崩壊」「ウィリアム・ウィルソン」「赤き死の仮面」といった傑作ゴシックホラーや代表的詩「大鴉」など14編を収録。英米文学研究の第一人者である訳者による解説やポー人物伝、年譜も掲載。
あらゆる文学を進化させた、世紀の天才ポーの怪異の世界を堪能できる新訳・傑作選!

●傑作ゴシックホラー+詩
赤き死の仮面 The Masque of the Red Death (1842)
ウィリアム・ウィルソン William Wilson (1839)
落とし穴と振り子 The Pit and the Pendulum (1842)
大鴉(詩)The Raven (1845)
黒猫 The Black Cat (1843)
メエルシュトレエムに呑まれて A Descent into the Maelstrom (1841)
ユーラリー(詩) Eulalie (1845)
モレラ Morella (1835)
アモンティリャードの酒樽 The Cask of Amontillado (1846)
アッシャー家の崩壊 The Fall of the House of Usher (1839)
早すぎた埋葬 The Premature Burial (1844)
ヘレンへ(詩) To Helen (1831)
リジーア Ligeia (1838)
跳び蛙 Hop-Frog (1849)

作品解題
数奇なるポーの生涯
ポー年譜
訳者あとがき
ポーの諸作を三巻に編んだ新訳選集である。際立っているのは、一つに言語面での驚異的な忠実さだ。訳者の河合氏はシェイクスピア学者として、言葉遊びや地口が満載された韻文の訳出を数々経験してからポーを再読したところ、その韻文の凝った技巧に改めて感嘆し、新訳に乗りだしたという。訳出するのは当然ながら意味だけではない。ライム(押す韻)に加えてミーター(韻律)までが再現される驚き。ポー自ら「構成の原理」で分析した「大鴉」(「ゴシックホラー編」)の緻密な翻訳には腰を抜かすしかない。各連の一行目と三行目に仕込まれた中間韻もすべて再現されているではないか! 「怪奇ミステリー編」はセレクションと共に、ポーの怪死に迫る解説も圧巻。死の前にポーが見せた痙攣(けいれん)、幻覚、おかしな言動……。従来の通説が鮮やかに覆される。三巻目を「ブラックユーモア編」としたことにも快哉(かいさい)を叫びたい。短編小説、謎かけ詩、創作論も収められ、特に「Xだらけの社説」を読めば、ポーが大いに天邪鬼(あまのじゃく)で悪魔的なユーモリストであることがわかる。巻末の「ポーを読み解く人名辞典」は永久保存版だ。

【第2巻】
ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人 / エドガー・アラン・ポー
ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人
  • 著者:エドガー・アラン・ポー
  • 翻訳:河合 祥一郎
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2022-03-23
  • ISBN-10:4041092442
  • ISBN-13:978-4041092446
内容紹介:
ミステリーの原点がここに。――ポー新訳2冊連続刊行!世界初の推理小説「モルグ街の殺人」、史上初の暗号解読小説「黄金虫」など全11編! 解説「ポーの死の謎に迫る」彼がいなければ、ホーム… もっと読む
ミステリーの原点がここに。――ポー新訳2冊連続刊行!

世界初の推理小説「モルグ街の殺人」、史上初の暗号解読小説「黄金虫」など全11編! 解説「ポーの死の謎に迫る」


彼がいなければ、ホームズもポワロも金田一も生まれなかった――世界初の推理小説「モルグ街の殺人」。パリで起きた母娘惨殺事件の謎を名探偵デュパンが華麗に解き明かす。同じく初の暗号解読小説「黄金虫」や、最高傑作と名高い「盗まれた手紙」、死の直前に書かれた詩「アナベル・リー」など傑作を全11編収録。ポーの死の謎に迫る解説や用語集も。世紀の天才の推理と分析に圧倒される、新訳第2弾!

【ポーの傑作ミステリー+詩】
世紀の天才のメジャー作から知られざる名作まで全11編

モルグ街の殺人 "The Murders in the Rue Morgue" (1841)
ベレニス "Berenice" (1835)
告げ口心臓 "The Tell-Tale Heart" (1843)
鐘の音(詩) "The Bells" (1849)
おまえが犯人だ "Thou Art the Man" (1844)
黄金郷(エルドラド)(詩) "Eldorado" (1849)
黄金虫 "The Gold Bug" (1843)
詐欺(ディドリング)――精密科学としての考察 "Diddling" (1843)
楕円形の肖像画 "The Oval Portrait" (1842)
アナベル・リー(詩) "Annabel Lee" (1849)
盗まれた手紙 "The Purloined Letter" (1844)

作品解題
ポーの用語
ポーの死の謎に迫る

ALL REVIEWS経由で書籍を購入いただきますと、書評家に書籍購入価格の0.7~5.6%が還元されます。


【第3巻】
ポー傑作選3 ブラックユーモア編 Xだらけの社説 / エドガー・アラン・ポー
ポー傑作選3 ブラックユーモア編 Xだらけの社説
  • 著者:エドガー・アラン・ポー
  • 翻訳:河合 祥一郎
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:文庫(400ページ)
  • 発売日:2023-03-22
  • ISBN-10:4041130786
  • ISBN-13:978-4041130780
内容紹介:
ポーの真骨頂はブラックユーモアにあり!?ダークな風刺小説、謎かけ詩、創作論等知られざる名作23編訳出不可能だった言葉遊びを見事に新訳!「人名辞典」「ポーの文学闘争」など巻末ビッグ特… もっと読む
ポーの真骨頂はブラックユーモアにあり!?

ダークな風刺小説、謎かけ詩、創作論等知られざる名作23編
訳出不可能だった言葉遊びを見事に新訳!
「人名辞典」「ポーの文学闘争」など巻末ビッグ特典110P!


いがみあう新聞社同士の奇妙な論争を描く「Xだらけの社説」。大言壮語が嵩(こう)じて地獄の門が開く「悪魔に首を賭けるな」。ありえないはずのことが起きる科学トリック「一週間に日曜が三度」。ダークな風刺小説や謎かけ詩、創作論など知られざる名作を23編収録。巻末には「人名辞典」「ポーの文学闘争」他、ファン待望の論考が100頁超。訳出不可能だった言葉遊びを見事に新訳した第3弾!

【ポーの傑作ブラックユーモア+詩+評論】
世紀の天才の知られざる名作から創作論まで全23編

Xだらけの社説
悪魔に首を賭けるな――教訓のある話
アクロスティック(詩)
煙に巻く
一週間に日曜が三度
エリザベス(詩)
メッツェンガーシュタイン
謎の人物(詩)
本能と理性――黒猫(評論)
ヴァレンタインに捧ぐ(詩)
天邪鬼(あまのじゃく)
謎(詩)
息の喪失――『ブラックウッド』誌のどこを探してもない作品
ソネット――科学へ寄せる(詩)
長方形の箱
夢の中の夢(詩)
構成の原理(評論)
鋸山奇譚
海中の都(みやこ)(詩)
『ブラックウッド』誌流の作品の書き方/苦境
マージナリア(エッセイ)
オムレット公爵
独り(詩)
作品解題
ポーを読み解く人名辞典
ポーの文学闘争

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ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫 / エドガー・アラン・ポー
ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫
  • 著者:エドガー・アラン・ポー
  • 翻訳:河合 祥一郎
  • 出版社:KADOKAWA
  • 装丁:文庫(352ページ)
  • 発売日:2022-02-22
  • ISBN-10:4041092434
  • ISBN-13:978-4041092439
内容紹介:
「この猫が怖くてたまらない」おとなしい動物愛好家の「私」は、酒に溺れすっかり人が変わり、可愛がっていた黒猫を虐め殺してしまう。やがて妻も手にかけ、遺体を地下室に隠すが…。戦慄の復… もっと読む
「この猫が怖くてたまらない」

おとなしい動物愛好家の「私」は、酒に溺れすっかり人が変わり、可愛がっていた黒猫を虐め殺してしまう。やがて妻も手にかけ、遺体を地下室に隠すが…。戦慄の復讐譚「黒猫」他「アッシャー家の崩壊」「ウィリアム・ウィルソン」「赤き死の仮面」といった傑作ゴシックホラーや代表的詩「大鴉」など14編を収録。英米文学研究の第一人者である訳者による解説やポー人物伝、年譜も掲載。
あらゆる文学を進化させた、世紀の天才ポーの怪異の世界を堪能できる新訳・傑作選!

●傑作ゴシックホラー+詩
赤き死の仮面 The Masque of the Red Death (1842)
ウィリアム・ウィルソン William Wilson (1839)
落とし穴と振り子 The Pit and the Pendulum (1842)
大鴉(詩)The Raven (1845)
黒猫 The Black Cat (1843)
メエルシュトレエムに呑まれて A Descent into the Maelstrom (1841)
ユーラリー(詩) Eulalie (1845)
モレラ Morella (1835)
アモンティリャードの酒樽 The Cask of Amontillado (1846)
アッシャー家の崩壊 The Fall of the House of Usher (1839)
早すぎた埋葬 The Premature Burial (1844)
ヘレンへ(詩) To Helen (1831)
リジーア Ligeia (1838)
跳び蛙 Hop-Frog (1849)

作品解題
数奇なるポーの生涯
ポー年譜
訳者あとがき

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2023年4月29日

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