書評

『自由とセキュリティ』(集英社)

  • 2024/09/27
自由とセキュリティ / 杉田 敦
自由とセキュリティ
  • 著者:杉田 敦
  • 出版社:集英社
  • 装丁:新書(208ページ)
  • 発売日:2024-05-17
  • ISBN-10:4087213153
  • ISBN-13:978-4087213157
内容紹介:
新型コロナウイルス感染症の蔓延やロシアのウクライナ侵攻以降、人々が強く欲したセキュリティ。しかし、それと引き換えに脅かされたのは、自由と多様性だった――。本書は、権力論・自由論研究… もっと読む
新型コロナウイルス感染症の蔓延やロシアのウクライナ侵攻以降、人々が強く欲したセキュリティ。しかし、それと引き換えに脅かされたのは、自由と多様性だった――。
本書は、権力論・自由論研究の第一人者である著者が、ミル、ホッブズ、ルソー、バーリン、シュミット、フーコーという六名の政治思想家の名著をアクチュアルに読解。
権力の一元化への衝動が強まる昨今の状況に一石を投じる。
真偽不明な情報や言説が飛び交う中、よりよく生きるための羅針盤は、古典の言葉にこそある。

【目次】
第1章:ミル『自由論』を読む
第2章:ホッブズ『リヴァイアサン』他を読む
第3章:ルソー『社会契約論』他を読む
第4章:バーリン「二つの自由概念」他を読む
第5章:シュミット『政治的なものの概念』を読む
第6章:フーコー『社会は防衛しなければならない』を読む
自由と安全。どちらも大切なのに、自由を捨てて安全を選ぶときがある。たとえばコロナ禍がそうだった。ぼくたちは行政が行動制限を命じることを望み、進んで「自粛警察」や「マスク警察」になった。感染症だけじゃない。ミサイルが飛んだ、軍事的緊張が高まったと聞くと、プライバシーさえ簡単に手放してしまう。

しかし、いま一度立ち止まって、自由と安全についてじっくり考えたい。本書は格好のガイドブックだ。政治学者が先人たちの本をひもときながら考える。取り上げるのはミルの『自由論』やホッブズの『リヴァイアサン』、ルソーの『社会契約論』など、タイトルぐらいはよく知られている古典から、フーコーの『社会は防衛しなければならない』なんてちょっとマイナーな本まで。

著者と編集者の対話がベースになっているのでわかりやすく読みやすい。それぞれの章末に記された日付は、今現在との関わりを意識させる。そう、古典は生きている。

選挙は答え合わせではないし、当選者への全権委任でもない、少数派の意見も大切にしようという著者の言葉がグッとくる。こんな時代だから自由にものを考えたい。
自由とセキュリティ / 杉田 敦
自由とセキュリティ
  • 著者:杉田 敦
  • 出版社:集英社
  • 装丁:新書(208ページ)
  • 発売日:2024-05-17
  • ISBN-10:4087213153
  • ISBN-13:978-4087213157
内容紹介:
新型コロナウイルス感染症の蔓延やロシアのウクライナ侵攻以降、人々が強く欲したセキュリティ。しかし、それと引き換えに脅かされたのは、自由と多様性だった――。本書は、権力論・自由論研究… もっと読む
新型コロナウイルス感染症の蔓延やロシアのウクライナ侵攻以降、人々が強く欲したセキュリティ。しかし、それと引き換えに脅かされたのは、自由と多様性だった――。
本書は、権力論・自由論研究の第一人者である著者が、ミル、ホッブズ、ルソー、バーリン、シュミット、フーコーという六名の政治思想家の名著をアクチュアルに読解。
権力の一元化への衝動が強まる昨今の状況に一石を投じる。
真偽不明な情報や言説が飛び交う中、よりよく生きるための羅針盤は、古典の言葉にこそある。

【目次】
第1章:ミル『自由論』を読む
第2章:ホッブズ『リヴァイアサン』他を読む
第3章:ルソー『社会契約論』他を読む
第4章:バーリン「二つの自由概念」他を読む
第5章:シュミット『政治的なものの概念』を読む
第6章:フーコー『社会は防衛しなければならない』を読む

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初出メディア

毎日新聞

毎日新聞 2024年6月29日

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