書評
『回想 回転扉の三島由紀夫』(文藝春秋)
この文章を五年前「文学界」で読んだときにも驚愕したが、今回改めて驚きを噛みしめている。まことに瞠目すべき記録であり、三島について、今後これほど誠実かつ興味深い証言がなされることは絶無だろう。
十五歳の堂本氏と二十四歳の三島は銀座のゲイ喫茶で出会い、バイクに轢かれて死んだ黒衣のゲイ青年に導かれるようにして、兄弟の契りを結ぶ。二人を引きつけたのは切腹趣味で、岩風呂のある宿で落ちあっては、王子と軍人、船長と水夫、やくざとお坊ちゃんなど、様々な設定で切腹心中ごっこを繰り返した。
その趣味は、同性愛ポルノ小説『愛の処刑』と映画『憂国』とに結実する。前者は先ごろ三島の真筆と認定され、後者は封印を解かれてDVD化される。
『憂国』ののち、切腹ごっこは止み、三島は楯の会との自決に向かう。「死」によって「官能が真に荘厳なものになる」とは、三島が死の直前、堂本氏の著書に捧げた遺言だった。
十五歳の堂本氏と二十四歳の三島は銀座のゲイ喫茶で出会い、バイクに轢かれて死んだ黒衣のゲイ青年に導かれるようにして、兄弟の契りを結ぶ。二人を引きつけたのは切腹趣味で、岩風呂のある宿で落ちあっては、王子と軍人、船長と水夫、やくざとお坊ちゃんなど、様々な設定で切腹心中ごっこを繰り返した。
その趣味は、同性愛ポルノ小説『愛の処刑』と映画『憂国』とに結実する。前者は先ごろ三島の真筆と認定され、後者は封印を解かれてDVD化される。
『憂国』ののち、切腹ごっこは止み、三島は楯の会との自決に向かう。「死」によって「官能が真に荘厳なものになる」とは、三島が死の直前、堂本氏の著書に捧げた遺言だった。
朝日新聞 2005年12月18日
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