書評

『回想 回転扉の三島由紀夫』(文藝春秋)

  • 2024/11/05
回想 回転扉の三島由紀夫 / 堂本 正樹
回想 回転扉の三島由紀夫
  • 著者:堂本 正樹
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:新書(172ページ)
  • 発売日:2005-11-18
  • ISBN-10:4166604775
  • ISBN-13:978-4166604777
内容紹介:
十代で三島由紀夫を知り、歌舞伎、能、そして「切腹趣味」を共有し、やがては映画『憂国』を演出する。没後三十五年たっても色褪せぬ天才三島由紀夫への甘美なる鎮魂の書。

目次
第1章 八歳違いの「兄貴」
第2章 「切腹ごっこ」
第3章 『愛の処刑』
第4章 三島と演劇
第5章 桐の函に入った小説『憂国』
第6章 映画『憂国』
第7章 「幸福な一生」
この文章を五年前「文学界」で読んだときにも驚愕したが、今回改めて驚きを噛みしめている。まことに瞠目すべき記録であり、三島について、今後これほど誠実かつ興味深い証言がなされることは絶無だろう。

十五歳の堂本氏と二十四歳の三島は銀座のゲイ喫茶で出会い、バイクに轢かれて死んだ黒衣のゲイ青年に導かれるようにして、兄弟の契りを結ぶ。二人を引きつけたのは切腹趣味で、岩風呂のある宿で落ちあっては、王子と軍人、船長と水夫、やくざとお坊ちゃんなど、様々な設定で切腹心中ごっこを繰り返した。

その趣味は、同性愛ポルノ小説『愛の処刑』と映画『憂国』とに結実する。前者は先ごろ三島の真筆と認定され、後者は封印を解かれてDVD化される。

『憂国』ののち、切腹ごっこは止み、三島は楯の会との自決に向かう。「死」によって「官能が真に荘厳なものになる」とは、三島が死の直前、堂本氏の著書に捧げた遺言だった。


回想 回転扉の三島由紀夫 / 堂本 正樹
回想 回転扉の三島由紀夫
  • 著者:堂本 正樹
  • 出版社:文藝春秋
  • 装丁:新書(172ページ)
  • 発売日:2005-11-18
  • ISBN-10:4166604775
  • ISBN-13:978-4166604777
内容紹介:
十代で三島由紀夫を知り、歌舞伎、能、そして「切腹趣味」を共有し、やがては映画『憂国』を演出する。没後三十五年たっても色褪せぬ天才三島由紀夫への甘美なる鎮魂の書。

目次
第1章 八歳違いの「兄貴」
第2章 「切腹ごっこ」
第3章 『愛の処刑』
第4章 三島と演劇
第5章 桐の函に入った小説『憂国』
第6章 映画『憂国』
第7章 「幸福な一生」

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年12月18日

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