1964年、東京生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞社主催「小さな童話」大賞を受賞。89年「409ラドクリフ」でフェミナ賞。『こうばしい日々』で91年産経児童出版文化賞、92年坪田譲治文学賞。同年『きらきらひかる』で紫式部文学賞。99年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞、02年『泳ぐのに、安全でも適切でもありま…もっと読む
- 『瘡瘢旅行』(講談社)江國 香織
男女が寄り添おうとする姿の淋しさ西村賢太の五冊目の小説がでて、私は歓声をあげた。おお! また貫多の心象風景と暮しぶりが読める! 西村賢太は、…
書評 - 『オール・マイ・ラヴィング』(小学館)江國 香織
少女の日常から響いてくるビートルズこの一冊に流れている空気を、どう言えばいいだろう。 untiedという言葉が英語にあって、辞書をひくと、「(結…
書評 - 『犬の力 上』(角川書店(角川グループパブリッシング))江國 香織
死に彩られ、生が強烈な光彩を放つ発熱しそうにおもしろい陰謀小説にして、マフィア小説。息をもつかせぬ展開で、一気に読ませる。大胆で巧妙、そし…
書評 - 『自殺の国』(河出書房新社)江國 香織
途方に暮れた“普通の少女”の可憐な青春随分恐い表紙(とタイトル)なので、恐がりの私としては、最初、読むのがためらわれた。けれど読んでみてわか…
書評 - 『新しいおとな』(河出書房新社)江國 香織
すべての大人の課題図書にしたいすっきりしたブルーの表紙カバー、「新しいおとな」という小気味のいいタイトル、なんて颯爽とした本だろう。石井桃…
書評 - 『こうしてお前は彼女にフラれる』(新潮社)江國 香織
女性描写が冴える、兄と弟の物語この物質的にスリムで内容的にきわめて豊満な短編集は、より大きな物語の一部として構想されているらしいのだが(そ…
書評 - 『わたしの中の遠い夏』(新宿書房)江國 香織
若かりし日々の鮮やかな記憶と真実マリーエというスウェーデン人女性がいる。職業は国語教師。スタファンという名の夫は医師で、二人のあいだにはハ…
書評 - 『ミラクル・クリーク』(早川書房)江國 香織
善意の人々によるミステリーヴァージニア州のある町で、放火殺人事件が起る。放火されたのは“ミラクル・サブマリン”という名の治療施設で、韓国人の…
書評 - 『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』(河出書房新社)江國 香織
パリの空の下、時はやさしく流れた書店の外観の絵が、表紙にはかかれている。あかるい緑を基調にした、おおらかで風通しのいい絵だ。邦訳版のこの表…
書評 - 『いちばんここに似合う人』(新潮社)江國 香織
脈打つような十六人分のパーソナル脈打つ、というのが、この本を読んで頭に浮かんだ言葉だった。脈打つような小説、というのが。パーソナル、という…
書評 - 『オリーヴ・キタリッジの生活』(早川書房)江國 香織
交錯する人生、細部に宿るよるべなさオリーヴ・キタリッジは、アメリカ北東部の田舎町に住む元教師で、ヘンリーという名の夫は薬局を経営している。…
書評 - 『よくできた女』(みすず書房)江國 香織
「立派な英国女性」と過ごす心地よい時間読み始めて、ひとたび中に入りこむと、でてきたくなくなる。小説の中があまりにも快適で愉快なので、つい長…
書評 - 『あの川のほとりで〈上〉』(新潮社)江國 香織
歴史のように「個」を越えて生きていく物語何て深く耕された物語だろう。驚愕(きょうがく)する。言葉を失う。というより、言葉でいっぱいになって…
書評 - 『神様のみなしご』(角川春樹事務所)江國 香織
一人ぽつんと存在する子供たちの物語海辺に建つ養護施設「愛生園」を舞台に、複数の登場人物が一人称で語りつなぐ物語。語り手は職員や周囲の大人た…
書評 - 『山本容子のアーティスト図鑑 100と19のポートレイト』(文藝春秋)江國 香織
小さな肖像画から立ち現れる物語ちょうどいい具合に大きくて、草色の地に濃いピンクの背文字が美しい。ひらいて、と言っているかのようにやわらかな…
書評 - 『愛の夢とか』(講談社)江國 香織
植物にも似た言葉が生む、しずかな奇蹟一冊まるごと全部が、言葉にならないはずのものでできている。とらえどころのないものが、とらえどころのない…
書評 - 『雲』(東京創元社)江國 香織
行き先不明、手さぐり旅の愉楽どこに行くのかわからないまま旅をするような、稀有な手さぐり感のある小説で、読んでいて、それが得も言われず愉しい…
書評 - 『私のなかの彼女』(新潮社)江國 香織
痛みだらけの世界で、生きて書こうとする女冒頭に、まず祖母がでてくる。祖母は醜女だった(らしい)と語られる。主人公和歌は十八歳の女子大生とし…
書評 - 『恋と夏』(国書刊行会)江國 香織
ひたすらなされる細部の描写ミセス・コナルティーのお葬式から始まるこの小説の冒頭は映画みたいだ。誰が誰なのか説明されないまま、何人かの登場人…
書評 - 『陽気なお葬式』(新潮社)江國 香織
「いまここ」に漂う透徹した明るさチャーミングな人間たちが、ぞろぞろでてくる小説である。一人の男が死ぬ話なのに、本のなかに満ちている(という…
書評