1965年神奈川県生まれ。東京大学理科1類除籍。文芸、音楽、経済学などの領域で評論活動を行っている。著書に『〈盗作〉の文学史』(新曜社。 第62回日本推理作家協会賞)。共著に『石原慎太郎を読んでみた』(中公文庫)、 『本当の経済の話をしよう』(ちくま新書)、 『村上春樹を音楽で読み解く』(日本文芸社)、 『…もっと読む
- 『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)栗原 裕一郎
現代の難問と格闘の記録地下アイドルとドルヲタを繋ぐ渇望まず頭に入れていただきたいのは、「地下アイドル」という呼称は蔑称であるということだ…
書評 - 『殺人者たちの午後』(新潮社)栗原 裕一郎
読み終えて、少し物足りない気がした。だが、物足りなさの理由を探っていくうちにじわじわと、そう思わせてしまうことにこそ、この本の凄みが潜んで…
書評 - 『きことわ』(新潮社)栗原 裕一郎
筋というほどの筋はない。子供のころに葉山の別荘で夏をともに過ごした貴子と永遠子が二十五年後に再会するという状況があるばかりだ。貴子が母、叔…
書評 - 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)栗原 裕一郎
世代を違えてリフレインされた喪失と疎外過去の作品のエコーがそこここに響いている最新長篇である(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2013年…
書評 - 『まわり舞台の上で』(文遊社)栗原 裕一郎
一人の異才を通じて見た戦後日本の精神史荒木一郎はその多才ぶりで知られるが、どちらかと言えば通好みの存在で、映画やテレビドラマ、音楽、小説と…
書評 - 『楳図かずお論: マンガ表現と想像力の恐怖』(青弓社)栗原 裕一郎
特異な作家の頭の中を解明第一人者による本邦初の研究書楳図かずおは戦後最大のマンガ家の一人といって差し支えないと思うが、楳図を論じて一冊と…
書評 - 『岡崎京子の研究』(アスペクト)栗原 裕一郎
映画「ヘルタースケルター」のヒットで岡崎京子の名前を見ることが再び多くなった。一九八〇年代前半にミニコミや自販機エロ本などからマンガ家とし…
書評 - 『Free Culture』(翔泳社)栗原 裕一郎
かつては当たり前のものだった自由の集合を再構築する方法創造性と文化に再び自由を!――本書の主張はこれに尽きる。先だって可決・成立してしまった…
書評 - 『植草甚一の勉強』(本の雑誌社)栗原 裕一郎
図式化を拒み続けた渾身の十二年稀代(きたい)のヒップ・スター植草甚一は、明治四十一(一九〇八)年に生まれて、昭和五十四(一九七九)年に没し…
書評 - 『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』(講談社)栗原 裕一郎
純文学というコンテクスト登場人物がゾンビ映画を観ながら、画面の向こうにこんな突っ込みを入れる。「最新のApple製品が浸透している世界で、どう…
書評 - 『街娼 パンパン&オンリー』(皓星社)栗原 裕一郎
複雑な感情 想像させる力敗戦後、連合国軍に占領された日本には、米兵専門の街娼(がいしょう)がいた。彼女たちは「パンパン」と呼ばれた。「オン…
書評 - 『めぐりあうものたちの群像―戦後日本の米軍基地と音楽 1945‐1958』(大月書店)栗原 裕一郎
占領期日本の駐留米兵と音楽言うまでもなく歴史とは人々が生きて交わってきた無数の瞬間の痕跡であり、それぞれの瞬間は漏れなく現在に結びついてい…
書評 - 『メモリースケープ―― 「あの頃」を呼び起こす音楽』(みすず書房)栗原 裕一郎
音楽と記憶の関係追うここ十数年来、CDの売り上げ減少と若い世代の音楽離れが懸念されてきているが、30代以上では音楽に接する時間はむしろ増えてい…
書評 - 『「つながり」の戦後文化誌: 労音、そして宝塚、万博』(河出書房新社)栗原 裕一郎
音楽はコミュニケーション・ツールだと言われる。ツールとしての役割は終わったという論調もよく見かける。紅白には知らない歌手ばかり出てるし、み…
書評 - 『フォアビート・ノスタルジー』(文藝春秋)栗原 裕一郎
滅びの予感フォアビートはいうまでもなくジャズのリズムのことだが、普通一九四〇年代以降のモダンジャズを指す。石原の読者なら、彼の中ではモダン…
書評 - 『abさんご』(文藝春秋)栗原 裕一郎
「私」が消去された私小説先日、第一四八回芥川賞に決まった黒田夏子『abさんご』は、まず七十五歳という史上最高齢での受賞が話題になり、次いで特…
書評 - 『すみなれたからだで』(河出書房新社)栗原 裕一郎
父を棄てる凄絶な半生セックスレス化する若者と国家管理による家族計画を描く近未来ダークSFに挑んだ前作「アカガミ」から一転、本作は非常にプライ…
書評 - 『芥川賞の謎を解く 全選評完全読破』(文藝春秋)栗原 裕一郎
選評が切り拓いてきた「新しい文学」芥川賞の“謎”って何のことかと「はじめに」を読み進めていくと、あっさり答えが書かれている。「どうやって芥川…
書評 - 『歌謡曲――時代を彩った歌たち』(岩波書店)栗原 裕一郎
歌謡曲とは何か。微妙な設問である。「Jポップと何が違うの?」というのは頻繁に繰り返されてきた疑問だし、近年では「昭和歌謡」という呼び方が登場…
書評 - 『劇場』(新潮社)栗原 裕一郎
物語という取り返す力目をつむると「薄い皮膚」であるまぶたに隔てられて風景が視覚に届かないことを確かめる。自分の意志が肉体に遅れていることを…
書評