書評

『桜の園』(岩波書店)

  • 2017/11/28
桜の園 / チェーホフ
桜の園
  • 著者:チェーホフ
  • 翻訳:小野 理子
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:文庫(173ページ)
  • 発売日:1998-03-16
  • ISBN-10:4003262255
  • ISBN-13:978-4003262252
内容紹介:
南ロシアの5月、美しく咲いた桜の園に5年ぶりに帰ってきた当主ラネーフスカヤ夫人。思い出に浸る彼女を喜び迎える屋敷の人びと。しかし、広大な領地はすでに抵当に入り、まもなく競売にかけられる運命にある。さまざまな思いの交錯するなか、いよいよその日がやって来た…チェーホフ最後の、そして最も愛されてきた戯曲。〈新訳〉
「概してロシアでは、事実の方面は恐ろしく貧弱なくせに、議論は恐ろしく豊富だ」とチェーホフはある人への手紙に記している。ドストエフスキーの作品群を議論の宝庫とすれば、チェーホフの作品群は事実の百科辞典である。患者の肉体に事実を求める医者の目は、革命前夜のロシア社会の病理をも見つめていた。見つめるだけでなく、医師として公衆衛生に貢献したりもした。若きレーニンもチェーホフを読み、このロシアで何をなすべきかを具体的に考えていた。社会主義思想やロシァ正教の原理を通じてではなく、医者として状況をあるがままに捉える態度は、文字通り散文的だ。自身、農奴階級の出身だったチェーホフは、貴族の没落やブルジョワの台頭、女性の社会進出、恋の不平等など、一九世紀末の世相、風俗を見つめながら、無数のコント、戯曲を書いてきた。コントや喜劇こそが社会改革運動に直結することをチェーホフはのちに証明したことになる。中国のチェーホフといえぱ、魯迅であることを思えばなおさらに。

【この書評が収録されている書籍】
必読書150 / 柄谷 行人,岡崎 乾二郎,島田 雅彦,渡部 直己,浅田 彰,奥泉 光,スガ 秀実
必読書150
  • 著者:柄谷 行人,岡崎 乾二郎,島田 雅彦,渡部 直己,浅田 彰,奥泉 光,スガ 秀実
  • 出版社:太田出版
  • 装丁:単行本(221ページ)
  • 発売日:2002-04-01
  • ISBN-10:4872336569
  • ISBN-13:978-4872336566
内容紹介:
現実に立ち向かう知性回復のために本当に必要なカノン(正典)を提出し、読まなくてもいい本を抑圧する、反時代的、強制的ブックガイド。

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桜の園 / チェーホフ
桜の園
  • 著者:チェーホフ
  • 翻訳:小野 理子
  • 出版社:岩波書店
  • 装丁:文庫(173ページ)
  • 発売日:1998-03-16
  • ISBN-10:4003262255
  • ISBN-13:978-4003262252
内容紹介:
南ロシアの5月、美しく咲いた桜の園に5年ぶりに帰ってきた当主ラネーフスカヤ夫人。思い出に浸る彼女を喜び迎える屋敷の人びと。しかし、広大な領地はすでに抵当に入り、まもなく競売にかけられる運命にある。さまざまな思いの交錯するなか、いよいよその日がやって来た…チェーホフ最後の、そして最も愛されてきた戯曲。〈新訳〉

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