書評
『トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」』(中央公論新社)
新大陸と旧大陸の間の動植物の移転が五百年にも満たない短期間で世界をすっかり変えてしまったことはよく知られているが、その中で一番われわれに身近なのが食べ物の大変革だろう。新大陸原産のトマトやジャガイモ、トウモロコシなどはヨーロッパやアフリカの食生活を一変し、人口増の遠因となった。
なかでも、この本の著者がとくに注目して追いかけてきたのがトウガラシだ。アメリカ大陸から伝わってくるまで、タイにも韓国にもインドにも、ただの一本のトウガラシも存在しなかった。それが世界各地で、人類の嗜好を、つまり感受性をいかに根本的に変えてしまったか、この本は中南米の原産地に始まり、東回りに地球を見てまわって日本に至る。栄養もエネルギー源としての必要性もないのに、味覚の面白さゆえに各地で受け入れられた希有な作物であり、遊戯性を愛する人類ならではの食物のようだ。
今なおその嗜好地域は広がり続けているといい、誰もがよく知るあの辛い料理も実はかなり新しい発明品であるなど、トウガラシ好きにとって情報の宝庫である。
なかでも、この本の著者がとくに注目して追いかけてきたのがトウガラシだ。アメリカ大陸から伝わってくるまで、タイにも韓国にもインドにも、ただの一本のトウガラシも存在しなかった。それが世界各地で、人類の嗜好を、つまり感受性をいかに根本的に変えてしまったか、この本は中南米の原産地に始まり、東回りに地球を見てまわって日本に至る。栄養もエネルギー源としての必要性もないのに、味覚の面白さゆえに各地で受け入れられた希有な作物であり、遊戯性を愛する人類ならではの食物のようだ。
今なおその嗜好地域は広がり続けているといい、誰もがよく知るあの辛い料理も実はかなり新しい発明品であるなど、トウガラシ好きにとって情報の宝庫である。
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