書評
『山水戀圖』(岩波書店)
「自然にひそむ 濃厚なエロティシズムを、驚くべき想像力で描きだす 地球大の恋物語。魂の秘境にせまる 壮大な絵本だ」
と帯文で谷川俊太郎氏がほめている。賛成。これほど過不足なくこの本を表現できる人はいない。
なにしろ、一人称の俺は、北の山麓氷河を母にもつ河川系の、一支流である。
つまり主人公が「川」だ。で、物語は「川」のひとり語りで進行する。「川」が「山」に恋愛する!話なのだった。
まるで「俺が昔、夕焼けだった頃、妹は小焼けだった」みたいな話ではないか。
もちろん、そういう話ではない。ところがこれに、おどろくべきディテールを持った、まるで自然を前にするような説得力のある絵が展開すると、まさに、谷川氏のいう「魂の秘境」をかいま見る気がして、次々に頁(ページ)を繰ることになる。
文章を味わい、絵を味わうことで、さらにその体験は深まっていくようだ。自然がエロティックである。という言い方が単なるレトリックではないような気がしてくる。
自分の中に、表現したいイメージがあって、しかもそれを表現するテクニックを持っている、幸福な画家の仕事である、と私は思う。
と帯文で谷川俊太郎氏がほめている。賛成。これほど過不足なくこの本を表現できる人はいない。
なにしろ、一人称の俺は、北の山麓氷河を母にもつ河川系の、一支流である。
つまり主人公が「川」だ。で、物語は「川」のひとり語りで進行する。「川」が「山」に恋愛する!話なのだった。
まるで「俺が昔、夕焼けだった頃、妹は小焼けだった」みたいな話ではないか。
もちろん、そういう話ではない。ところがこれに、おどろくべきディテールを持った、まるで自然を前にするような説得力のある絵が展開すると、まさに、谷川氏のいう「魂の秘境」をかいま見る気がして、次々に頁(ページ)を繰ることになる。
文章を味わい、絵を味わうことで、さらにその体験は深まっていくようだ。自然がエロティックである。という言い方が単なるレトリックではないような気がしてくる。
自分の中に、表現したいイメージがあって、しかもそれを表現するテクニックを持っている、幸福な画家の仕事である、と私は思う。
朝日新聞 2005年09月18日
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