写真集「アイノカテゴリー」はみごとに「写真集」として完成されている。これほどすみずみまで完璧に編集されつくした写真集というのを、私は見たことがない。
すべての写真が、この一冊の写真集のためになくてはならない写真であって、そのチョイスや並べ方や、タイトルやキャプションが、これ以外にないくらいに絶妙である。 しかも、完璧をもとめてキリキリしていない。むしろ、ユルユルにも、ヤリッパナシにもイイカゲンにも見えるくらいに完璧である。
帯に「十数年間にわたって撮り続けた『アイ』のある風景。みうらじゅん初の写真集」とある。
なるほど「十数年間」分だからその内容が濃いのだった。しかも、作者がまえがきで述べているように、これらの写真は「いい写真が撮りたかったわけじゃ」なく「見つけたアイが、どれほど素敵か」紹介したいために、撮りためたものだったから、その内容が濃いのだった。
一ページ、一ページにみうらじゅんが爆発している。これほど笑える写真集はめったにない。私は戦時下の宮武外骨の絵はがき編纂を想起していた。
篠山紀信が、帯文で激賞している。本気だと思う。