書評

『蜂起』(幻冬舎)

  • 2024/07/16
蜂起 / 森巣 博
蜂起
  • 著者:森巣 博
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:文庫(582ページ)
  • 発売日:2007-06-01
  • ISBN-10:4344409736
  • ISBN-13:978-4344409736
内容紹介:
懲戒免職となった元警視の盛山、セックス依存症のOL・まゆ、塾生もいない政治結社を主宰する護國忠臣、自傷癖のある裕子―。おかしなことが多すぎて、もはや善良な民を演じることは不可能だ。暴走し始めた非国民達の憤怒が「日本」というシステムを炎上させる。革命なんて目指さない。破壊こそが目的。日本人よ、銃を取れ!傑作長篇小説。
作者はオーストラリア在住の国際的博奕(ばくち)打ちとして知られる。日本の「そと」でおのれの腕一本を頼りに生きるだけに、世間の思惑と「うち」の論理を最優先する日本の醜態に情け容赦のない鞭をふるう。

主人公は四人。腐敗した警察で甘い汁のおこぼれにあずかっていた警視。リストラで脅迫され上司に体を貪らせるOL。世間全体が右傾化して出番がなくなった初老の右翼。リストカットを繰り返し、母親の愛人に強姦される少女。

四者四様に日本の病を凝縮し、破滅の淵に立たされる。おりから日本は一千四百兆円の借金がはじけてホームレスのねぐらが皇居前広場を占拠する事態に立ちいたる。その騒乱のなかで主人公たちは目的なきテロに身を投じていく。

底なしの絶望と憤怒の物語だが、文章に香具師の口上のように猥雑なパワーとリズムが脈打ち、作者は怪人のごとく哄笑し吠えまくる。日本のピカレスク小説の新たな展開である。
蜂起 / 森巣 博
蜂起
  • 著者:森巣 博
  • 出版社:幻冬舎
  • 装丁:文庫(582ページ)
  • 発売日:2007-06-01
  • ISBN-10:4344409736
  • ISBN-13:978-4344409736
内容紹介:
懲戒免職となった元警視の盛山、セックス依存症のOL・まゆ、塾生もいない政治結社を主宰する護國忠臣、自傷癖のある裕子―。おかしなことが多すぎて、もはや善良な民を演じることは不可能だ。暴走し始めた非国民達の憤怒が「日本」というシステムを炎上させる。革命なんて目指さない。破壊こそが目的。日本人よ、銃を取れ!傑作長篇小説。

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初出メディア

朝日新聞

朝日新聞 2005年5月8日

朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。

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