書評
『蜂起』(幻冬舎)
作者はオーストラリア在住の国際的博奕(ばくち)打ちとして知られる。日本の「そと」でおのれの腕一本を頼りに生きるだけに、世間の思惑と「うち」の論理を最優先する日本の醜態に情け容赦のない鞭をふるう。
主人公は四人。腐敗した警察で甘い汁のおこぼれにあずかっていた警視。リストラで脅迫され上司に体を貪らせるOL。世間全体が右傾化して出番がなくなった初老の右翼。リストカットを繰り返し、母親の愛人に強姦される少女。
四者四様に日本の病を凝縮し、破滅の淵に立たされる。おりから日本は一千四百兆円の借金がはじけてホームレスのねぐらが皇居前広場を占拠する事態に立ちいたる。その騒乱のなかで主人公たちは目的なきテロに身を投じていく。
底なしの絶望と憤怒の物語だが、文章に香具師の口上のように猥雑なパワーとリズムが脈打ち、作者は怪人のごとく哄笑し吠えまくる。日本のピカレスク小説の新たな展開である。
主人公は四人。腐敗した警察で甘い汁のおこぼれにあずかっていた警視。リストラで脅迫され上司に体を貪らせるOL。世間全体が右傾化して出番がなくなった初老の右翼。リストカットを繰り返し、母親の愛人に強姦される少女。
四者四様に日本の病を凝縮し、破滅の淵に立たされる。おりから日本は一千四百兆円の借金がはじけてホームレスのねぐらが皇居前広場を占拠する事態に立ちいたる。その騒乱のなかで主人公たちは目的なきテロに身を投じていく。
底なしの絶望と憤怒の物語だが、文章に香具師の口上のように猥雑なパワーとリズムが脈打ち、作者は怪人のごとく哄笑し吠えまくる。日本のピカレスク小説の新たな展開である。
朝日新聞 2005年5月8日
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