
小説家。1965年米国ロサンゼルス生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、2年半の新聞記者勤めを経て、2年のメキシコ留学。1997年、『最後の吐息』で文藝賞を受賞してデビュー。2000年『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、2003年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、2011年『俺俺』で大江健三郎賞、2014年『夜は終わら…もっと読む
- 『転形期と思考』(講談社)星野 智幸
この評論集は批評といえるかどうかの瀬戸際にあると思うが、そのことよりも、文学を成り立たせ有効なものとするために必要な核を、他の多くの批評や…
書評 - 『ぼくは始祖鳥になりたい』(集英社)星野 智幸
読まれずに滅びようとしている文学にかろうじて役割があるとしたら、世界の生々しさを甦らせることだと私は思う。私たちは、世界をリアルに感じられ…
書評 - 『古都』(国書刊行会)星野 智幸
私が私でいるために台湾の女性作家、朱天心(チュー・ティエンシン)の傑作である。 朱天心は、作家にして侯孝賢(ホウ・シャオシエン)映画の脚本…
書評 - 『ハーフ・ブリード』(河出書房新社)星野 智幸
移民であるかもしれない私たち今福龍太が自身の生を懸けて続けてきたメキシコ性の探求の記録を、私は他人事のようには読めない。動機もきっかけもそ…
書評 - 『マフィア国家――メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々』(岩波書店)星野 智幸
無関心と貧困が育てた怪物近年、日本との直行便が毎日2便も飛ぶようになるなど、急速に日本とのビジネスが拡大しているメキシコだが、麻薬カルテル…
書評 - 『ミッドナイト・ジャーナル』(講談社)星野 智幸
新聞記者はどうして必要なのか今や新聞は、読まれないだけでなく、信頼されない。新聞記者として社会人の経歴をスタートさせた私でも、今の新聞は組…
書評 - 『ハイウェイとゴミ溜め』(新潮社)星野 智幸
世界のどこにも属さない言葉アメリカで最も期待されているという新進作家の処女作である(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆年は1998年)。すさんだ…
書評 - 『日本人よ!』(新潮社)星野 智幸
オシムは、言葉のファンタジスタ先日行われたサッカーのキリンカップ、日本代表対コロンビア代表の試合を、私は埼玉スタジアムで観戦した。久しぶり…
書評 - 『新宿二丁目の文化人類学: ゲイ・コミュニティから都市をまなざす』(太郎次郎社エディタス)星野 智幸
無名のパイオニアたちの歩み急速に反動化する最近の日本社会の中で、性的少数者の権利については、渋谷区が同性愛者のカップルを結婚相当と認める条…
書評 - 『イエスの幼子時代』(早川書房)星野 智幸
善意だけの静かな国、その恐怖世界の酷薄さと暴力性を最も知悉(ちしつ)している作家クッツェーの、驚異的な新作。あまりに面白すぎて、作品世界から…
書評 - 『龍以後の世界―村上龍という「最終兵器」の研究 オフサイド・ブックス四六スーパー』(彩流社)星野 智幸
「動物になる」記述批評は、論じる作品の言葉に到達することはできない。けれど、あたかもテクストに到達しそれを代表しているかのように見せている…
書評 - 『自由死刑』(集英社)星野 智幸
自殺志願者の煉獄めぐり『彼岸先生』以後の島田小説の主人公や語り手には説教師が多い。屁理屈で自らを一個の批判に仕立てた青二才は中年になって、…
書評 - 『夜明け前のセレスティーノ』(国書刊行会)星野 智幸
キューバの、詩を書く少年ここのトカゲは形がちがってる。ぼくは頭がふたつあるのを見たばかり。はいずってるそのトカゲには頭がふたつある。たいて…
書評 - 『若い小説家に宛てた手紙』(新潮社)星野 智幸
親切なリョサ版文章読本私は常々、リョサは生まれる時代を間違えたと思っている。彼は十八世紀か十九世紀ヨーロッパのブルジョワ家庭に生まれるべき…
書評 - 『誰が「橋下徹」をつくったか ―大阪都構想とメディアの迷走』(140B)星野 智幸
「言葉」を乗っ取られた社会「彼が政治家になった7年半で、ずいぶん荒っぽい言葉が社会に蔓延するようになった。それまではネットの中にとどまって…
書評 - 『真ん中の子どもたち』(集英社)星野 智幸
世界標準の子どもたち二〇一一年以来の、温又柔待望の大きな新作中篇小説である。この間、温は、長編エッセイ『台湾生まれ 日本語育ち』などの数々…
書評 - 『それはどっちだったか』(彩流社)星野 智幸
憎悪にとらわれ怪物化する凡人マーク・トウェインが、ドストエフスキーら近代小説の本格派と並ぶ作家であることを示す、傑作である。晩年に書かれた…
書評 - 『ムシェ 小さな英雄の物語』(白水社)星野 智幸
移民や難民支えた庶民たちの叙事詩日本の文学を読んでいて、常々、決定的に欠けていると感じる分野がある。移民や難民の小説である。在日朝鮮人だけ…
書評 - 『ジャッカ・ドフニ 上 海の記憶の物語』(集英社)星野 智幸
繰り返す迫害への静かな怒り文学とは、つらい現実から逃避する場ではなく、そんな現実と戦う現場であり、読み手にその力をもたらすものだと教えてく…
書評 - 『四時過ぎの船』(新潮社)星野 智幸
生きとれば、やぜらしかことの、たくさんあるとぞもう古川真人に夢中である。こんな小説家を待っていた。デビュー後の最初の作品である『四時過ぎの…
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