
1940(昭和15)年兵庫県姫路市生れ。ドイツ文学者。翻訳、評論をはじめ、エッセイ、人物列伝、演芸・歌舞伎論など、執筆範囲は多岐にわたる。訳書に『カフカ短篇集』、『ファウスト』(毎日出版文化賞)、著書に『二列目の人生』、『恩地孝四郎』(読売文学賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)などがある。もっと読む
- 『素晴らしいアメリカ野球』(新潮社)池内 紀
アメリカの終焉を飾るおかしな、おかしな小説である。四十年ちかく前、翻訳が出た当座に読んで、アッケにとられた。壮大なホラ話。パロディとすれば…
書評 - 『三十歳』(岩波書店)池内 紀
詩人の流儀による喪失の遍歴譚インゲボルク・バッハマン(一九二六~七三)はギュンター・グラス(一九二七~二○一五)とならび戦後ドイツ文学の並…
書評 - 『一葉のポルトレ』(みすず書房)池内 紀
奇蹟の文学を生み出した「習作」をめぐる人々「ポルトレ」はフランス語でポートレートのこと。肖像(画)、また人物描写の意味もある。樋口一葉を生…
書評 - 『ぼくのおかしなおかしなステッキ生活』(求龍堂)池内 紀
遊び心をなくした世に贈る“伴侶”との祝祭ステッキは当節、とんとはやらない。介護用の杖(つえ)はおなじみだが、オシャレとしてのステッキが姿を消…
書評 - 『夏の嘘』(新潮社)池内 紀
小さな嘘からもつれゆく練達の物語集『朗読者』が世界的なベストセラーになったドイツの作家の短篇集。以来、二十年ちかくになるが、ほぼ五年に一冊…
書評 - 『完訳・エリア随筆 I』(国書刊行会)池内 紀
息の合った名訳による新しい文学世界正篇・続篇完訳版の1である。タイトル自体が何やらなつかしい。ずいぶん長いこと聞かないでいた名前のような気…
書評 - 『戦争と広告 第二次大戦、日本の戦争広告を読み解く』(KADOKAWA/角川学芸出版)池内 紀
日本人の変わらぬ現実あざむく手口著者は一九七五年生まれ。戦争を知らない世代が意味深い仕事をした。日中戦争から太平洋戦争にわたる「戦時下の日…
書評 - 『緩慢の発見』(白水社)池内 紀
せわしい時代に光る、のろまな探検家の物語世界地図のカナダ北部、北極圏のしるしのさらに北、大小の島々がひしめきあったところに「フランクリン」…
書評 - 『空席日誌』(毎日新聞社)池内 紀
海鳴りの聞こえる貝殻のような散文集やわらかな白の表紙に黒の活字でタイトルがつき、下に小さく「蜂飼耳」。謎の文書のようだ。めくると見返しの左…
書評 - 『戦後入門』(筑摩書房)池内 紀
日本の政治状況を問い直し、考え直す小さくて大きな本である。新書で六三五ページ。戦後政治をめぐり、とても大切なことを丁寧に述べていくと、おの…
書評 - 『諸国名峰恋慕 三十九座の愛しき山々』(山と渓谷社)池内 紀
騒々しさから離れた懐かしい山行きの記憶六月から七月初めは、お山開きの季節である。都会の緑はもう黒ずんだが、山のほうはもえ出たばかり。カラマ…
書評 - 『唱歌「ふるさと」の生態学~ウサギはなぜいなくなったのか?』(山と渓谷社)池内 紀
失われた原風景生態学者がたのしい思いつきをした。よく知られた唱歌「故郷(ふるさと)」を保全生態学の立場から読み解いてみるのはどうだろう? …
書評 - 『人の樹』(潮出版社)池内 紀
生命の底の底にふれる「植物の私生活」タイトルの意味? わかるようでわからないが、そんなことはかまわないで読んでいく。村田喜代子の小説がたの…
書評 - 『果報者ササル――ある田舎医者の物語』(みすず書房)池内 紀
もの静かな、深く鋭い問いかけジョン・バージャーはブッカー賞作家として知られているが、若いころはエッセイや評論を書いていた。ひところイギリス…
書評 - 『追悼の文学史』(講談社)池内 紀
時の遠近に整序され、交錯する生と死の風景ナルホド、こういう本づくりもあったのかと、おもわず膝(ひざ)を打った。日本の文芸誌の慣例だが、著明…
書評 - 『日本海ものがたり――世界地図からの旅』(岩波書店)池内 紀
学匠詩人による警世の書表紙に二隻の船が見える。あきらかに古い時代の和船であるが、美しいスケッチは洋画の手法による。満帆の風を受けて、まっし…
書評 - 『メシュガー』(吉夏社)池内 紀
イディッシュで伝える英知ある言葉ポーランドの首都ワルシャワは第二次世界大戦前、ヨーロッパ最大のゲットーをもち、五十万にちかいユダヤ人がいた…
書評 - 『逢沢りく 上・下』(文藝春秋)池内 紀
親しみ手前でヒラリ反転、宙吊りに逢沢(あいさわ)りく、十四歳。小・中・高一貫校の中学三年。めぐまれた家庭だ。若くてハンサムなパパは会社経営…
書評 - 『くりかえすけど』(幻戯書房)池内 紀
体験が熟するまでの彷徨小さな出版社が大きな試みを始めた。「銀河叢書(そうしょ)」といって、単行本未収録を新しい視点で編み直す。シリーズのは…
書評 - 『私はホロコーストを見た: 黙殺された世紀の証言1939-43』(白水社)池内 紀
世界に届かなかった「虐殺」真実の証言ヤン・カルスキは本名ヤン・コジェレフスキ。一九一四年、ポーランド中部の工業都市ウッチの生まれ。大学で法…
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