1940(昭和15)年兵庫県姫路市生れ。ドイツ文学者。翻訳、評論をはじめ、エッセイ、人物列伝、演芸・歌舞伎論など、執筆範囲は多岐にわたる。訳書に『カフカ短篇集』、『ファウスト』(毎日出版文化賞)、著書に『二列目の人生』、『恩地孝四郎』(読売文学賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)などがある。もっと読む
- 『コロンブスの不平等交換 作物・奴隷・疫病の世界史』(KADOKAWA)池内 紀
物流のグローバル化がもたらした恩恵と犠牲を明らかにする遠いむかし、中学の「世界の歴史」でならった。「1492年、コロンブス、アメリカ大陸を発見…
書評 - 『ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白』(紀伊國屋書店)池内 紀
すべてを可能にした原因は無関心ヨーゼフ・ゲッべルスは、一九三三年三月、ヒトラー政権誕生の二カ月あまりのち、国会議事堂炎上事件で物情騒然とす…
書評 - 『天皇家のお葬式』(講談社)池内 紀
残される者たちへの思いが「おことば」の中に滲(にじ)んでいる昨年八月(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2017年11月)、天皇陛下はビデオメ…
書評 - 『線量計と奥の細道』(幻戯書房)池内 紀
私たちはなにを学んだのか貴重な記録である。東日本大震災の翌年、二〇一二年八月のことだが、ドリアン助川は、こつこつ勉強していた松尾芭蕉の『奥…
書評 - 『ハックルベリー・フィンの冒けん』(研究社)池内 紀
きわめて上手に下手な語りを再現タイトルに「おやっ」と思うだろう。「冒けん」とある。ページをひらくと、わかってくる。同じようなのが、どんどん…
書評 - 『この人、カフカ?:ひとりの作家の99の素顔』(白水社)池内 紀
通説によって難解とされた作家を多面的に検証し反転させる試み主としてカフカの引用にコメントをつけた小さなエッセーが99、きれいに数珠(じゅず)…
書評 - 『ユリシーズ航海記: 『ユリシーズ』を読むための本』(河出書房新社)池内 紀
世界で最も厄介な物語と格闘した全身翻訳家英文学者でジョイスの翻訳で知られる柳瀬尚紀は、昨年七月亡くなった(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆…
書評 - 『死を生きた人びと』(みすず書房)池内 紀
どう死ぬかというメッセージを伝える戸口に死がやってきたとき、住み慣れたわが家で死と対面した。ある人は一日で終わった。ある人は何年も向き合っ…
書評 - 『聴くと聞こえる: on Listening 1950-2017』(創元社)池内 紀
大きな沈黙に向けた発音練習谷川俊太郎の詩のアンソロジーだが、編み方に特色がある。タイトルにそえて「on Listening 1950-2017」とあるとおり、…
書評 - 『文化戦争: やわらかいプロパガンダがあなたを支配する』(春秋社)池内 紀
お尻のポケットの振動が破滅的なショーの開幕を告げるドナルド・トランプがアメリカ第45代大統領に決まったと知ったとき、私は仰天した。資質、知性…
書評 - 『CD付 現代語訳でよむ 日本の憲法』(アルク)池内 紀
「戦後70年」の意味深い成果ほとんど知られていないことだが、日本国憲法は二つある。一つは日本語、もう一つは英語でつづられていて、ともに一九四…
書評 - 『ピネベルク、明日はどうする!?』(みすず書房)池内 紀
ナチス前夜 すかし絵のように描く若いピネベルクと恋人の子羊ちゃん。愛し合ったので子供ができてしまった。そんなことはこれっぽちも考えていなか…
書評 - 『旅の終わりに』(東京創元社)池内 紀
人や世間が何と言おうと、この上ない「ハッピーエンド」八十代の老夫婦が主人公だ。夫は認知症がすすんでいる。妻はガンを病み、進行は遅いが全身に…
書評 - 『フランス組曲』(白水社)池内 紀
誇り高く優雅な「占領下の観察」連作にあたる小説二編と作者ノートなどがついて計五六五ページ。強力な磁石にすいよせられるようにして読みふける。…
書評 - 『日本人とリズム感 ―「拍」をめぐる日本文化論―』(青土社)池内 紀
前言語的、経験則としての感性一つのエピソードが手引きになっている。かなり前のことだそうだが、友人とタクシーに乗っていた。友人の友人であるイ…
書評 - 『山之口貘詩集』(岩波書店)池内 紀
詩集は詩人が心血をそそいだ成果だ沖縄生まれの山口重三郎が県立中学を中退して上京したのは、大正十一(一九二二)年のこと。十九歳だった。翌年、…
書評 - 『日本のすごい味 おいしさは進化する』(新潮社)池内 紀
[isbn:4103064749]風土と手が生む聖なる食の巡礼記たべものの本はどっさりあるが、これはずば抜けて異色であり、そのぶん一段とたのしい。たべもの…
書評 - 『定本 山村を歩く』(山と渓谷社)池内 紀
時代に忘れられはじめて初版は一九七四年の刊行。多少の手直しを受け、「定本」として再登場した。四十二年の歳月が日本の山村をどう変えたか。今と…
書評 - 『路上の義経』(幻戯書房)池内 紀
伝統芸能の深層へ 往き迷う探究の魅力篠田正浩は二〇〇三年に映画監督を引退。以後、日本芸能史の考察に没頭してきた。四年前に最初の成果、『河原…
書評 - 『幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉』(岩波書店)池内 紀
人が何となく感じていることは、大抵正しい江戸幕府の役職は、どんな人選によったのだろう? おおかた想像していたとおりのようである。「遠山の金…
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