1964年、岐阜県生まれ。作家、仏文学者。現在、早稲田大学文学学術院教授。主な著書として、『郊外へ』『おぱらばん』『熊の敷石』『雪沼とその周辺』『未見坂』『河岸忘日抄』『めぐらし屋』『なずな』『燃焼のための習作』『その姿の消し方』、書評・批評集として、『書かれる手』『本の音』『彼女のいる背表紙』『余り…もっと読む
- 『銀狐抄』(新潮社)堀江 敏幸
夢と夢のあいだに語られる物語安政年間からつづく祇園のお茶屋「あげまき」。この店を支えてきた女たちの生の連鎖を描く宮本徳蔵『銀狐抄』は、現在…
書評 - 『文学なんかこわくない』(朝日新聞社)堀江 敏幸
柔らかくて過激な自己検証文学を通して「それをとり囲む世界」を見ようとする試み。そう銘打たれてはいるものの、『文学なんかこわくない』は、じつ…
書評 - 『ゼロ戦 沖縄・パリ・幻の愛』(集英社)堀江 敏幸
ゼロを追い求める者三十八歳のフランス人女性作家とゼロ戦に、いったいどんなつながりがあるのか。彼の地でいまだに根強く流布しているハラキリやカ…
書評 - 『シドニー!』(文藝春秋)堀江 敏幸
クォリティーの高い退屈さ二〇〇〇年九月十一日から十月三日まで、村上春樹は二十世紀最後の夏季オリンピックが開催されたシドニーに滞在し、毎日な…
書評 - 『めす豚ものがたり』(河出書房新社)堀江 敏幸
潑剌とした邪気高級香水店で売春婦まがいの仕事を仰せつかっている若い女性の身体に、少しずつ異常が生じはじめる。乳房が張り、思いがけない場所に…
書評 - 『舞踏会へ向かう三人の農夫 上』(河出書房新社)堀江 敏幸
絶対値としての若さアウグスト・ザンダーが一九一四年に撮影した写真の中の一枚に、シルクハットをかぶり、ステッキを持った三人の農夫が写っている…
書評 - 『巴』(新書館)堀江 敏幸
一文字の魔力一九九六年から二〇〇〇年十月まで、計二十四回におよぶ雑誌連載を全面改稿した長篇小説である。隅田川一帯を舞台とする本作は、東京周…
書評 - 『愛別外猫雑記』(河出書房新社)堀江 敏幸
ゆがんだ正しさへの信念近隣の野良猫たちを保護したがために都内のマンションを追い出され、千葉県S倉市に家を買ってしまった作家の、濃厚な戦いの…
書評 - 『写文集-我が愛する詩人の伝記』(中央公論新社)堀江 敏幸
詩人たちの横顔を捉えた卓抜な批評室生犀星の『我が愛する詩人の伝記』は、一九五八年一月から十二月にかけて『婦人公論』に同題で連載された文章を…
書評 - 『神経症の時代 わが内なる森田正馬』(文藝春秋)堀江 敏幸
精神医学から思想へドイツの圧倒的影響下にあった精神医学の創生期に、むしろ東洋風の受け身を生かした独自の神経症治療に打ち込み、めざましい成果…
書評 - 『文学の贈物―東中欧文学アンソロジー』(未知谷)堀江 敏幸
「青いへそ」の幻激しい動乱を生き、また現在も生きつづけている東中欧諸国について、私たちはどの程度まで理解を深めつつあるのだろうか。未曾有の…
書評 - 『エッフェル塔のかけら―建築家の旅』(紀伊國屋書店)堀江 敏幸
空間のホメオスタシス大道芸人や観光客が集う出会いの場を提供しているなだらかなスロープを下り、カラフルな空調設備がむき出しになっている入口か…
書評 - 『月の家族』(角川書店)堀江 敏幸
外交としての幼年時代島尾伸三はもはや写真家というよりひとりの稀有な書き手として強く意識されるべきだろう。物を観ること、考えること、悔いるこ…
書評 - 『言葉たちに 戦後詩私史』(港の人)堀江 敏幸
長い沈黙が熟成させた詩の言葉詩は、書き手のなかにずっと抱えていられる臓器のようなものだろうか。詩人は言葉を吐き出すのではなく、ここしかない…
書評 - 『リゾート世紀末―水の記憶の旅』(筑摩書房)堀江 敏幸
水、この両義的なるトポス「一一章からなる項目の一つ一つが、それぞれ一冊の本にできそうなほど幅広いテーマばかりである。(中略)その多彩さは裏…
書評 - 『ファントマ幻想―30年代パリのメディアと芸術家たち』(青土社)堀江 敏幸
電波のように遍在する幻本書はその副題が示すとおり、一九三〇年代のパリで離合集散を繰り返した芸術家たちの横顔に、メディアとの関わりを通じて光…
書評 - 『立原道造 風景の建築』(大阪大学出版会)堀江 敏幸
幻想と現実に揺れる穏やかな風語と語のあいだに穏やかな風が通るような作品を残した夭折(ようせつ)の詩人立原道造は、気鋭の建築家でもあった。文…
書評 - 『石を放つとき』(二見書房)堀江 敏幸
年を重ねた探偵が生む厚みローレンス・ブロックがマットことマシュウ・スカダーというアル中の私立探偵を主人公にしたシリーズ第一作、『過去からの…
書評 - 『子供時代』(幻戯書房)堀江 敏幸
問いの反復からあふれる優しさナタリー・サロートの作品が邦訳されるのは、じつに四十四年ぶりのことになる。六〇年代から七〇年代にかけて、日本で…
書評 - 『エレホン』(新潮社)堀江 敏幸
150年の時超え響く、格差社会への警鐘本書『エレホン』は、一八七二年にイギリスで刊行された小説である。当初は匿名で、作者がサミュエル・バトラ…
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