1964年、岐阜県生まれ。作家、仏文学者。現在、早稲田大学文学学術院教授。主な著書として、『郊外へ』『おぱらばん』『熊の敷石』『雪沼とその周辺』『未見坂』『河岸忘日抄』『めぐらし屋』『なずな』『燃焼のための習作』『その姿の消し方』、書評・批評集として、『書かれる手』『本の音』『彼女のいる背表紙』『余り…もっと読む
- 『「断腸亭」の経済学―荷風文学の収支決算』(日本放送出版協会)堀江 敏幸
愛欲のコストパフォーマンス大正六年九月、三十八歳の秋から昭和三十四年四月、八十歳で亡くなる春先まで、四十年以上のながきにわたって書きつづけ…
書評 - 『マロニエの花が言った』(新潮社)堀江 敏幸
パリに生きた青春群像十九世紀末の文化的雰囲気がまだ残されていた、いわゆるベル・エポックの時代から、第一次世界大戦を経て第二次世界大戦へとい…
書評 - 『若冲の目』(講談社)堀江 敏幸
恋の双幅図本書は、旧植民地と日本語の関係を中心として、境界線をまたぐ言語の行方に目を向けた犀利(さいり)な評論集『国境』(メタローグ)など…
書評 - 『恋愛の不可能性について』(筑摩書房)堀江 敏幸
論理の物狂おしさいきなり部屋に入ってきてただ「レーナ」とだけ名乗り、そのまま語り手の「ぼく」と暮らしはじめた女性との関係を描くセルゲイ・ド…
書評 - 『ほんとうの私』(集英社)堀江 敏幸
あたらしい更年期小説主人公は、法的に結びついてはいない熟年の男女である。女性には離婚歴があり、前夫とのあいだにもうけた男の子を五歳で亡くし…
書評 - 『愛の手紙』(図書新聞)堀江 敏幸
後ろめたい行為他人の恋愛にかかわる手紙を読むのは、日記を覗くのと同様、後ろめたい行為だ。特定の相手に向けて発せられた言葉を第三者が盗み読む…
書評 - 『消尽したもの』(白水社)堀江 敏幸
それぞれ固有の足音ベケットがテレビ用に書き下ろした作品に見られる特質を、ドゥルーズが分析する底深い闇のような書物。原題に採られた「エピュイ…
書評 - 『ハシッシ・ギャング』(文藝春秋)堀江 敏幸
体温の伝達表題作のもとにまとめられた「ハシッシ・ギャング」、「彰さんと直子」の二作を除き、厚、浩、田代、野崎、柚木と名前を変える「私」の年…
書評 - 『本の音』(中央公論新社)堀江 敏幸
文庫版あとがき本書の親本が出てから、ほぼ十年の時が過ぎた(事務局注:文庫版出版は2011年)。記憶を確かめるために初出一覧をのぞいてみると、最…
後書き - 『まぶた』(新潮社)堀江 敏幸
命の芽のきざす場所眼球の表面を乾燥やほこりや疵から保護するばかりでなく、視覚によって脳に送られる素材を一瞬のうちに取捨選択するシャッターと…
書評 - 『神様』(中央公論新社)堀江 敏幸
今はもうないものの光川上弘美の語り手が、周囲の人々と、いや人々ではなくむしろ「存在」たちと結ぶコミュニケーションの形態は、いつも恋に似てい…
書評 - 『木山さん、捷平さん』(新潮社)堀江 敏幸
赤ん坊のような暖かさ「濡縁におき忘れた下駄に雨がふつてゐるやうな/どうせ濡れだしたものならもつと濡らしておいてやれと言ふやうな/そんな具合…
書評 - 『辻まことの思い出』(みすず書房)堀江 敏幸
内職という天職どんなに読みやすくとも、心に残る言葉はつねに破格である。格があってそれをずらすのではなく、最初から格を超えてしまう柔軟さと、…
書評 - 『東京のクリームソーダ』(光琳社出版)堀江 敏幸
探偵はクリームソーダを愛したか?アイスクリーム・ソーダをはじめて日本にもたらしたのは、不二家の創業者藤井林右衛門だと言われている。洋菓子の…
書評 - 『東京郊外 TOKYO SUBURBIA』(光琳社出版)堀江 敏幸
UFOの降りない場所ふたつの塔がそびえる道路わきにうずくまった未確認飛行物体の丸窓は、そのなかで執り行われている秘儀をなにひとつ外に漏らさず…
書評 - 『かの悪名高き――十九世紀パリ怪人伝』(小学館)堀江 敏幸
怪人たちのいるところ鹿島茂はこれまで一貫して、「この人からはじまる」と言い切れるような偉業をなしえた人物、卑俗低俗を超越する圧倒的な活力と…
書評 - 『古都』(国書刊行会)堀江 敏幸
アナログ的な重ね塗り一九四九年、国民党政府に従って台湾に渡った人々を外省人、戦前から台湾に住んでいた人々を本省人と呼ぶ。朱天心は、外省人の…
書評 - 『なぜ古典を読むのか』(みすず書房)堀江 敏幸
案内としての批評古典文学を論じた書物は数え切れないほどある。だが、論述の対象となっている作品をこちらも読んでみたい、読み返してみたいと感じ…
書評 - 『もののたはむれ』(新書館)堀江 敏幸
鬱々とした覚醒王子、赤羽、日暮里、南千住、神田、秋葉原、杉並、玉川上水、多摩川、四谷三丁目。なかにはパリ、マラケシュ、アイオワなど片仮名の…
書評 - 『偶然の音楽』(新潮社)堀江 敏幸
「偶然」に身を任せた男の物語三十年も会わずにいた父親の遺産がとつぜん転がり込み、巨額の金を手に入れたナッシュは、妻と別れたあと引き取ってい…
書評