翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
- 『献灯使』(講談社)鴻巣 友季子
恐怖と笑いの「反・反ユートピア」小説未来小説は未来のことを書いたものではないし、歴史小説は過去のことを書いたものではない。どちらも、今ここ…
書評 - 『ファン・ゴッホ 巡りゆく日本の夢』(青幻舎)鴻巣 友季子
ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 東京都美術館(東京・上野、2017/10/25~2018/1/8)ゴッホはパリで浮世絵に出会い、鮮やかな色彩や大胆な構図に魅了され…
美術展評 - 『エコラリアス』(みすず書房)鴻巣 友季子
言語の谺(エコー)を聴く――言葉は死ぬのか?言語学者デヴィッド・ハリソンの「言語が亡びるとき 世界の諸言語の絶滅と人類の叡智の風化」(未訳)…
書評 - 『エルニーニョ』(講談社)鴻巣 友季子
星にみちびかれて『エルニーニョ』は、作中にさまざまな物語を擁した、ある意味、非常に作者らしい作品だと言えるだろう。ただ、これまでとは少し趣…
書評 - 『TIMELESS』(新潮社)鴻巣 友季子
作者にしか書けないアテンポラルな世界『きことわ』で芥川賞受賞後、七年ぶりの第一作となる長編である。高校の同級生同士の「うみ」という女性と、…
書評 - 『アメリカ大陸のナチ文学』(白水社)鴻巣 友季子
作中人物を想起させる架空人物群作者の初期作にして、後の作品群を予見する、あるいはその助走となった要素や作中人物が満載された怪物の書だ。三十…
書評 - 『翻訳ってなんだろう?』(筑摩書房)鴻巣 友季子
序章 翻訳ってなんだろう?◆翻訳ってなんだろう? 読書、批評、体験いきなりですが、翻訳とはどんなものでしょうか?文芸翻訳の授業や講座でこう尋…
前書き - 『獅子渡り鼻』(講談社)鴻巣 友季子
語り得ぬものを語る声小野正嗣の小説には超常的なものがなにげなく入りこんでくる。『森のはずれで』には、宙に浮かぶこびとが出てきたり、『線路と…
書評 - 『文学とアダプテーション――ヨーロッパの文化的変容』(春風社)鴻巣 友季子
“貞淑”と“裏切り”表裏一体で息吹く先ごろ、林真理子による『風と共に去りぬ』のリメーク版『私はスカーレット』の連載が開始され、橋本治による『お…
書評 - 『図書館 愛書家の楽園[新装版]』(白水社)鴻巣 友季子
「原始の夢」の過去・現在・未来つなぐもとより人間にはふたつの望みがあった。ひとつははるか高みにまで手を伸ばし、空間を征服する欲望であり、そ…
書評 - 『庭』(新潮社)鴻巣 友季子
沈潜するものへの恐れ小山田浩子が『工場』の表題作で最初に注目を集めたとき、わたしはのけぞった。すごい新人が現れたものだ、というか、この作家…
書評 - 『翻訳地帯――新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(慶應義塾大学出版会)鴻巣 友季子
現代の翻訳学に必須の一冊Adjudantへの誤訳ひとつが普仏戦争の引き金となった――待望の邦訳書がついに刊行された本書には、そんな記述がある。この語…
書評 - 『翻訳のダイナミズム:時代と文化を貫く知の運動』(白水社)鴻巣 友季子
科学分野の言語、学知の転移を解く今年は、フランコ・モレッティの『遠読』や池澤夏樹編『日本語のために』など、翻訳と文芸と言語形成に関わる本を…
書評 - 『遠読――〈世界文学システム〉への挑戦』(みすず書房)鴻巣 友季子
十数年来の世界文学ブームの火付け役「遠読」とは聞き慣れない言葉だが、原典を精密に読むclose reading「精読」に対して、distance(距離)をとっ…
書評 - 『世界文学とは何か?』(国書刊行会)鴻巣 友季子
翻訳で豊かさを増す「星座」の可変性翻訳大国ニッポンにおいて、外国文学の翻訳に携わる人たち、外国文学を評する人たち、もういっそ翻訳書を読むす…
書評 - 『小説禁止令に賛同する』(集英社)鴻巣 友季子
「小説はだめなもの」と全力で否定したら、最高の小説になってしまった『小説禁止令に賛同する』に心から賛同する。すばらしい『禁止令』、とんでも…
書評 - 『生の肯定』(毎日新聞出版)鴻巣 友季子
生活に自慢を、人生に肯定(いいね!)を主人公は、三部作の第一編『どつぼ超然』では、「東京で飄然としていたかった」のである。飄然者となるべく温…
書評 - 『雪の階』(中央公論新社)鴻巣 友季子
風を孕み滑走する不揃いな結晶たち奥泉光の創作技法には毎作大きな驚きがあるが、『雪の階(きざはし)』の壮大な試みには度肝を抜かれた。作者はこ…
書評 - 『魔法の夜』(白水社)鴻巣 友季子
月夜は欲望を目覚めさせる「焦がれる」という言葉がある。焼けるような、ひりつくような、熱く惹(ひ)かれる気持ち。ミルハウザーの最新作『Voices…
書評 - 『ほら、死びとが、死びとが踊る: ヌンガルの少年ボビーの物語』(現代企画室)鴻巣 友季子
豪州の多文化・多民族共生への希望本書の版元は一年に一作ずつ豪州文学を翻訳出版し、十年がかりで全十巻の「オーストラリア現代文学傑作選」を編む…
書評