翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
- 『騎士団長殺し』(新潮社)鴻巣 友季子
「偉大な小説の主人公には子どもがいない」――「小説と生殖」なるエッセイでそのように書いたのは、チェコの亡命作家ミラン・クンデラだ。「ドン・キ…
書評 - 『星の子』(朝日新聞出版)鴻巣 友季子
芥川賞候補『星の子』が描き出す“むきだしの真実”ものを知っている人のほうが、知らない人より賢い。一般的にはそう考えられている。ところが、「知…
書評 - 『不時着する流星たち』(KADOKAWA)鴻巣 友季子
喪失の甘美さに充ちたオマージュ集小川洋子は物語の一行目と二度目にめぐりあったのだと、わたしは思った。そうして書かれたのが、この不思議で、む…
書評 - 『私の名前はルーシー・バートン』(早川書房)鴻巣 友季子
エリザベス・ストラウト――彼女の愛読者はこの名前を口にするとき、うっすらと畏敬の念を漂わせる。多作ではない。社会問題を声高に問うてきたわけで…
書評 - 『愉快な本と立派な本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選(1992~1997)』(毎日新聞社)鴻巣 友季子
読み手に届く小さな矢の秘密書評家を根絶せよ。書評は役に立たないから――と、批評精神と辛辣(しんらつ)なユーモアに溢(あふ)れたエッセイを書い…
書評 - 『冥土めぐり』(河出書房新社)鴻巣 友季子
潮の満ち引きにも似た記憶の中の「地獄」第147回芥川賞受賞作の「冥土めぐり」と、根津に暮らす四姉妹とよそ者との遭遇を描く「99の接吻(せっぷん…
書評 - 『ハピネス』(光文社)鴻巣 友季子
素敵なママたちの孤独な世界にひそむ物語桐野夏生は多様な題材を多様なスタイルで書く。『東京島』や『ポリティコン』などで閉ざされたコミュニティ…
書評 - 『コンビニ人間』(文藝春秋)鴻巣 友季子
ネックレスをスープで煮よ今年なにが驚いたと言って、村田沙耶香の句会初参加の活躍にまさるものはないかもしれない。これは、堀本祐樹、千野帽子、…
書評 - 『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)鴻巣 友季子
あどけない邪眼をもつ神の子らピアノとクラシック音楽を材にとった小説の出版が続いている。調律師を主人公にした宮下奈都の『鋼と羊の森』や、高原…
書評 - 『百年の散歩』(新潮社)鴻巣 友季子
言語的「すずろ歩き」思索する散歩者を思えば、カントやダーウィンのように決まった時間にほぼ決まったルートを勤勉に歩くタイプと、ベンヤミンやボ…
書評 - 『有頂天家族』(幻冬舎)鴻巣 友季子
洛中にあやしいキャラがぞろぞろと桓武天皇の御代、万葉の地をあとにして入来たる人々の造りあげたのが京都である――と、これはあくまで人間の見た歴…
書評 - 『騎士団長殺し』(新潮社)鴻巣 友季子
「肖像画文学」に独自の位置自己の闇と悪に対峙(たいじ)し、その深みへと降りていく通い路(パッセージ)を探す物語である。一方、親になることを…
書評 - 『かたづの!』(集英社)鴻巣 友季子
「戦わない力」貫く君主に作者の姿勢江戸初期に遠野に実在した珍しい女大名を主役に据え、遠野の「叱り角」と言われる片角(かたづの)伝説、八戸の…
書評 - 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)鴻巣 友季子
血を流す傷と対峙する“無色の男”の物語文学には異性関係を超越したプラトン的ソウルメイト(片割れ同士のような魂の友)が描かれてきた。トリスタン…
書評 - 『BUTTER』(新潮社)鴻巣 友季子
過去を塗り替え蓋をしている女の黒々とした心の闇ある連続殺人事件をモチーフにした小説だ。ふくよかで、料理好きで、世話焼きの女と交際していた中…
書評 - 『かわうそ堀怪談見習い』(KADOKAWA)鴻巣 友季子
起承転結をすり抜けて抽出された「怪」のエッセンスあの柴崎友香が怪談話を書いたと聞いて、一瞬、耳を疑い、すぐに購入した。なにしろ、柴崎友香と…
書評 - 『忘れられた花園』(東京創元社)鴻巣 友季子
古典を本歌取り、語りのモザイク「秘密」が人間を興味深いものにする。英国南西部の海沿いに立つ壮大な領主の屋敷(マナーハウス)。ここには人知れ…
書評 - 『オリーヴ・キタリッジの生活』(早川書房)鴻巣 友季子
ふつうの人々 後半、神業の「化け」久々にアメリカらしい直球勝負の連作短編集の登場だ。去年の翻訳書のダークホースNo.1。刊行から5カ月、ぐいぐ…
書評 - 『ポリティコン』(文藝春秋)鴻巣 友季子
ヒッピー型ユートピア、残酷な筆桐野夏生のすごさは、古典的なスタイルを取り入れながら現代と密に切り結んで、既存のジャンルを「えいやっ」と投げ…
書評 - 『オリクスとクレイク』(早川書房)鴻巣 友季子
終末世界が問う生命の倫理生命に関わるパンドラの函(はこ)はすでに開けられたか? 遺伝子操作などは「神の領域」への侵犯か? アトウッドは前者の…
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