翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
- 『闇の河 THE SECRET RIVER』(現代企画室)鴻巣 友季子
書き継がれる三つめの国家神話原題はThe Secret River。「オーストラリアの歴史には密やかな(シークレット)血の河が流れている」という人類学者W…
書評 - 『坂の途中の家』(朝日新聞出版)鴻巣 友季子
作家・角田光代の真骨頂であり新境地。『坂の途中の家』の恐ろしさとは角田光代さんの小説には、ポジティブな面とかなりダークな面が共存しています…
書評 - 『ウォークス 歩くことの精神史』(左右社)鴻巣 友季子
思索と創造の原動力に「歩くこと」の精神史を網羅的に論じた大作である。猿人が直立歩行を始めて以来、数百万年の時を経て、歩行はサバイバルのため…
書評 - 『新しい小説のために』(講談社)鴻巣 友季子
先進的で回帰的な「語り」の復権本大著で渾身(こんしん)の力で論じられるのは、小説における人称と視点とそこから来る「私」の問題だ。柄谷行人の…
書評 - 『美しき廃墟』(岩波書店)鴻巣 友季子
虚実ないまぜ、重層のしかけなんと、遊び心にみちて人を食った小説だろう。なのに、なんともせつない。愛と戦争と贖(あがな)いといった、普遍的な…
書評 - 『そして山々はこだました』(早川書房)鴻巣 友季子
残酷さと慈悲が彩る家族の物語アフガニスタンの家族たちの五十年余にわたる四世代のこの物語は、たった一つのイメージが作者のなかに突如、降りてき…
書評 - 『秘密』(東京創元社)鴻巣 友季子
視点と時間軸を行き来する叙述相変わらず、ケイト・モートンの手並みを堪能できるミステリだ。フィクションでは、「わたしは」と一人称で語っている…
書評 - 『恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES』(中央公論新社)鴻巣 友季子
甘くて苦いラブストーリー村上春樹編訳のラブ・ストーリーが9篇(へん)と、本人の書き下ろし作が一篇、収められた短編集だ。集められたのはシンプ…
書評 - 『ならずものがやってくる』(早川書房)鴻巣 友季子
文体を変えながら生みだす情感一、過ぎ去った時間はもどらない。二、人間はいつか死ぬが、だからといって無になるわけではない。ものすごく端的に言…
書評 - 『雲をつかむ話』(講談社)鴻巣 友季子
ふわふわと流転を重ねる言葉始まりは、ベルリンに住む作家の語り手の「わたし」が「朝、白いリボンのように空を横切る一筋の雲を見ているうちに」あ…
書評 - 『時は老いをいそぐ』(河出書房新社)鴻巣 友季子
思い出の断片と一瞬のきらめきアントニオ・タブッキは文学の大きな伝統を引きつつ常に先端にいた。『時は老いをいそぐ』を読んだ数日後に著者の訃報…
書評 - 『プロローグ』(文藝春秋)鴻巣 友季子
小説という「ウソ」の臆面なさに対抗小説(散文)は、詩歌(韻文)という本能により近いものを離れて生まれた人工アートである。この臆面もない「ウ…
書評 - 『夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』(早川書房)鴻巣 友季子
人を隔てる「壁」、滑稽さで描く若い頃ミュージシャンを目指したという作者初の短編集だ。各編には色々な「音楽家」が登場する。往年の大物歌手、無…
書評 - 『悪い娘の悪戯』(作品社)鴻巣 友季子
裏切り続けるヒロインの愛しさ育ちの良い教養ある男が、美しく欲の深い娘に惚(ほ)れぬき、さんざん翻弄されて各地を巡りながら堕(お)ちてゆく………
書評 - 『ネザーランド』(早川書房)鴻巣 友季子
移民通じ米同時テロ後を描く米国で同時多発テロが起きてから10年あまりが過ぎた。この10年、「アメリカ」はなにを経験してきたのか。ビンラディン殺…
書評 - 『野良ビトたちの燃え上がる肖像』(新潮社)鴻巣 友季子
ただの人でいられない語り手たち恐ろしい小説が書かれた。近未来小説というのは、だいたい数十年から百年後ぐらいに時代が設定されているが、本作は…
書評 - 『黙約』(新潮社)鴻巣 友季子
解けぬ殺意の謎国際的名声をもつにも拘(かかわ)らず、日本では比較的知名度が低い作家がいる。ドナ・タートもその一人だろう。四半世紀前に殺人ミ…
書評 - 『戦地の図書館――海を越えた一億四千万冊』(東京創元社)鴻巣 友季子
兵士に自由に本読ませた米国戦地の兵士を支えるものはなにか。食糧、水、医薬品、安全な寝床。そうした物の他に、なによりも書物が精神の糧として必…
書評 - 『プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』(紀伊國屋書店)鴻巣 友季子
本を通じた受刑者との語らい米国では全米図書館協会の力が強く、万人が図書館を利用できるよう「図書館権利宣言」を発表したこともある。これに基づ…
書評 - 『作家はどうやって小説を書くのか、じっくり聞いてみよう! (パリ・レヴュー・インタヴュー)』(岩波書店)鴻巣 友季子
カポーティ、ボルヘス、カーヴァー、ヘミングウェイ、アーヴィング――目眩(めまい)がするような超ビッグネームが並ぶ。「パリ・レヴュー」誌から選…
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