翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
- 『東京自叙伝』(集英社)鴻巣 友季子
東京ゲロンチョンパケット化する知、蝟集する私人生に青春も老境もなく/ただ 若さと老いを同時に夢見る/食後のうたた寝のごとし(T・S・エリオッ…
書評 - 『水声』(文藝春秋)鴻巣 友季子
魂の荒野を彷徨い生まれ来る人間思えば、「いもせ」という日本語は中世前には、夫婦を意味すると同時に、兄妹または姉弟も意味したのだった。両者に…
書評 - 『情事の終り』(新潮社)鴻巣 友季子
創作行為への愛と憎しみの疑似告白録グレアム・グリーンの代表作の鮮明な新訳が刊行された。有名な古典作の周りには、その本を遠い昔に読んだ読者の…
書評 - 『オーガ(ニ)ズム』(文藝春秋)鴻巣 友季子
虚構の強靱な力でリアルと切り結ぶ先行作『シンセミア』『ピストルズ』に続く「神町(じんまち)サーガ」の完結編となる超大作だ。謝辞を入れて861…
書評 - 『黙約』(新潮社)鴻巣 友季子
解けぬ殺意の謎国際的名声をもつにも拘(かかわ)らず、日本では比較的知名度が低い作家がいる。ドナ・タートもその一人だろう。四半世紀前に殺人ミ…
書評 - 『某』(幻冬舎)鴻巣 友季子
問いかける「私」とは何?私は時々“初期化”される感覚を抱く。それが起きるのは決まって、昼下がり、ソファでのうたた寝から目覚めた時だ。私は白紙…
書評 - 『生命式』(河出書房新社)鴻巣 友季子
多数派の「ふつう教」信仰をゆるがすたとえば、「学校を卒業したら、就職して、結婚して、子どもをつくるのがふつうでしょ?」といった「ふつう」へ…
書評 - 『レス』(早川書房)鴻巣 友季子
作家が作家を描く毒気と面白み爆笑と落涙、哀しみとすがしさ。「ピュリッツァー賞を喜劇的な小説が受賞するのは数年ぶり」の快挙とのこと。確かにこ…
書評 - 『夏物語』(文藝春秋)鴻巣 友季子
生の“つくられ方”への戸惑い妊娠することを「おめでた」と言う。新しい命の息吹きを寿(ことほ)ぐ言葉だ。しかしその寿ぎはだれに向けられたものだ…
書評 - 『夢見る帝国図書館』(文藝春秋)鴻巣 友季子
物語の種子を宿した玉手箱明治に誕生した図書館と、江戸時代から続く上野の町と、昭和生まれの女性ふたりの歩みを綴(つづ)った傑作小説だ。本書中…
書評 - 『バイリンガル・エキサイトメント』(岩波書店)鴻巣 友季子
国際的な文脈で生きてきた日本語人はなぜ母語でない言語にひかれ、「多言語的高揚感(バイリンガル・エキサイトメント)」を覚えるのか? 永井荷風…
書評 - 『翻訳 訳すことのストラテジー』(白水社)鴻巣 友季子
政治力学にも切りこむ冒頭の「翻訳ってなんだろう?」という小見出しの語調、原書の平明な英語からするに、高校生位からの一般読者に向けた入門解説…
書評 - 『ウィステリアと三人の女たち』(新潮社)鴻巣 友季子
滴り落ちる沈黙、闇、そして光……わたし、孤独に打ちのめされたわたしは、一滴また一滴と沈黙が滴り落ちるにまかせる。ところが、いま、沈黙はわたし…
書評 - 『100分de名著 マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』 2019年1月』(NHK出版)鴻巣 友季子
はじめに――原作の知られざる世界を味わう『風と共に去りぬ』はアメリカの作家マーガレット・ミッチェルのデビュー作にして、唯一の大長編小説です。…
前書き - 『謎とき『風と共に去りぬ』: 矛盾と葛藤にみちた世界文学』(新潮社)鴻巣 友季子
はじめに本書には『謎とき『風と共に去りぬ』』というタイトルがつけられている。映画も大ヒットし、〝大衆文学〟として親しまれてきたこのロマンス…
前書き - 『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)鴻巣 友季子
韓国に残る性差別浮き彫りにフェミニズム小説としては、韓国では異例の大ヒットとなり、その後、世界を席巻する#MeTooムーヴメント(権力者から性…
書評 - 『読書礼讃』(白水社)鴻巣 友季子
作家は世界を変えられるか?への答え稀代(きたい)の読書家にして比類なきポリマス(博覧強記者)のマングェル。人間には原始、ふたつの望みがあっ…
書評 - 『公園へ行かないか? 火曜日に』(新潮社)鴻巣 友季子
こだまする思考のなまりそこは、不思議の国だった。どこへ行って、だれと会って、なにを見て、なにをしたのか? なにもかもが鮮やかでありながら、…
書評 - 『ヒロインズ』(C.I.P.Books)鴻巣 友季子
「陰の歴史」を多様に浮き彫りに先日「ニュー・アカデミー賞」候補になった作家編の短編集を読んでいたところ、新鋭作家カット・ハワードの一篇に魅…
書評 - 『「怖い絵」展 公式図録』(産経新聞社)鴻巣 友季子
「怖い絵」展 上野の森美術館(東京・上野、2017/10/7~2017/12/17)視覚的な怖さだけでなく、時代背景を知ることで絵の持つ恐怖を読み解く展覧会で…
美術展評