翻訳家。訳書にエミリー・ブロンテ『嵐が丘』、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ1-5巻』(以上新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社 世界文学全集2-1)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『イエスの幼子時代』『遅い男』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』『誓願』…もっと読む
- 『ルクレツィアの肖像』(新潮社)鴻巣 友季子
作者は前作『ハムネット』では悪妻の代名詞のようなシェイクスピアの妻を、養蜂、鷹匠術、薬草作りにも通じた非凡な女性として描きなおした。『ルク…
書評 - 『左川ちか全集』(書肆侃侃房)鴻巣 友季子
硬質な詩語に打ち抜かれる左川ちかによる詩、散文、書簡、翻訳が全て収録され、年譜、解題、解説が付された初のコンプリート版である。これだけの仕…
書評 - 『謎ときサリンジャー――「自殺」したのは誰なのか』(新潮社)鴻巣 友季子
衝撃の問い、創意に富む綿密な考証「バナナフィッシュにうってつけの日」の結末をめぐる、壮大で驚くばかりに緻密な考察の書である。「この短編には…
書評 - 『シブヤで目覚めて』(河出書房新社)鴻巣 友季子
「翻訳」仕掛け、言葉の虚構、幾重にもじつに刺激的で痛快なチェコ小説が翻訳された。失われた日本近代文学を探すミステリであり、ラブコメであり、…
書評 - 『ジョージ・オーウェル『一九八四年』を読む』(水声社)鴻巣 友季子
「古典 × ディストピア」の今日性ディストピア小説『一九八四年』は、なぜ再注目されているのか? 『ジョージ・オーウェル「一九八四年」を読む』は…
書評 - 『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』(河出書房新社)鴻巣 友季子
男性を基準に設計された世界新元号選定の有識者会議の報道を見て啞然とした。「経済界」「法曹界」などの枠(全員男性)の他に「女性」という枠が示…
書評 - 『推し、燃ゆ』(河出書房新社)鴻巣 友季子
アイドルへの濃厚な同化『推し、燃ゆ』という題名、および冒頭の「推しが燃えた。」の一文を見てもぴんとこない読者(かつての私のように)がいるか…
書評 - 『アコーディオン弾きの息子』(新潮社)鴻巣 友季子
人々を裂くいびつな二重性まず、バスク語の現代小説が、原語からの直接の翻訳で読めることに感謝したい。バスク語は歴史の古い孤立言語であり、非ネ…
書評 - 『一人称単数』(文藝春秋)鴻巣 友季子
「思い描かせない力」ということを考える。読み手の想像力をぞんぶんに刺激し、さまざまなイメージを喚起しながら、ぎりぎりで具象的な像を切り結ば…
書評 - 『あたしたち、海へ』(新潮社)鴻巣 友季子
新型コロナウイルスの影響で、息苦しい毎日が続く。外出自粛の閉鎖的な環境のなか、家庭で、地域で、鬱屈や不安からくる暴力や暴言、虐待などが増え…
書評 - 『猫を棄てる 父親について語るとき』(文藝春秋)鴻巣 友季子
村上春樹「猫を棄てる」をめぐって『1Q84』を境に、村上春樹の小説では親子関係の描かれ方が変わった。それまで、親子関係は表立って詳細に描かれる…
書評 - 『二〇世紀「英国」小説の展開』(松柏社)鴻巣 友季子
「英国」小説研究者の最新の知見と思索の実りを届けてくれる圧巻の論集文学を「世紀」で区切ることはできるだろうか。「英国」二十世紀小説に関して…
書評 - 『如何様』(朝日新聞出版)鴻巣 友季子
真贋・自他の境界線かき乱す『如何様』の表題作を読みながら時おり思い浮かべていたのは、昨年末の「紅白歌合戦」に登場した“AIで復元した美空ひば…
書評 - 『日本語のために』(河出書房新社)鴻巣 友季子
形成に関わる前代未聞の「アンソロジー」日本語のネイティヴスピーカーは、「漢字仮名交じり文」をもつ自分たちの言語が相当入り組んだ造りであるこ…
書評 - 『屋根裏の仏さま』(新潮社)鴻巣 友季子
戦時下の「写真花嫁」たちジュリー・オオツカはデビュー十数年、寡作の書き手だが、米国のPEN/フォークナー賞や仏国のフェミナ賞をはじめとする国…
書評 - 『めぐり糸』(集英社)鴻巣 友季子
クピドの矢が約すもの分身のように、あるいは自分自身であるかのように別れがたい宿命のカップルというのがいる。ふたりだけの調和世界を見つけた彼…
書評 - 『べつの言葉で』(新潮社)鴻巣 友季子
三つの言語の空白埋める創作行為政治や経済的な要請ではなく、自らの意志で「言語的亡命」をはたす作家がいる。言語それ自体が書き手の人生を変える…
書評 - 『呪文』(河出書房新社)鴻巣 友季子
乗り越えられぬ前近代的けじめの呪縛日本は先進国の中でも韓国に次いで自殺率が高いという。歯止めとなる宗教が無いこと、社会格差の広がりなど原因…
書評 - 『才女の運命 男たちの名声の陰で』(フィルムアート社)鴻巣 友季子
搾取される女性の歩みと抵抗、克明に本書によれば、「君の仕事はこれからはたった一つ、ぼくを幸せにしてくれるということだけなのです。わかります…
書評 - 『オルフェオ』(新潮社)鴻巣 友季子
音楽と文学による大胆な“翻訳”遺伝子学と音楽という分野とテーマを掛け合わせた野心作だ。作者には『幸福の遺伝子』という前作もあり、「黄金虫(ゴ…
書評