書評
『ヴィクトル・ユゴーと降霊術』(水声社)
オカルティズムと機械文明は奇妙なところで接点をもっている。十九世紀の半ば、アルファベットを叩(こう)音で表記するモールス信号が発明されると、この原理を応用した霊界通信、つまりテーブルが霊媒に反応して勝手に足を鳴らす、「こっくりさん」が流行した。
流行はアメリカからヨーロッパに飛び火し、英仏海峡の孤島で亡命生活を送るヴィクトル・ユゴーの元にも伝わった。最初懐疑的だったユゴーは次第に降霊術にのめり込み、長男シャルルを霊媒として、歴史上の偉人や、「劇」「小説」といった、様々な抽象観念を呼び出して対話を重ねた。
著者は、残された記録からユゴーの降霊術の有り様を実証的に検証し、霊との対話が、じつは、ユゴーとユゴーの無意識との対話であったことを証明する。とりわけ、降霊術の途中でユゴーが、「劇」の語る内容が、自分自身の詩と類似していることに気付き、驚くが、やがて「ゴースト」ライターの命ずるままに詩を書くようになっていく部分がおもしろい。
【この書評が収録されている書籍】
流行はアメリカからヨーロッパに飛び火し、英仏海峡の孤島で亡命生活を送るヴィクトル・ユゴーの元にも伝わった。最初懐疑的だったユゴーは次第に降霊術にのめり込み、長男シャルルを霊媒として、歴史上の偉人や、「劇」「小説」といった、様々な抽象観念を呼び出して対話を重ねた。
著者は、残された記録からユゴーの降霊術の有り様を実証的に検証し、霊との対話が、じつは、ユゴーとユゴーの無意識との対話であったことを証明する。とりわけ、降霊術の途中でユゴーが、「劇」の語る内容が、自分自身の詩と類似していることに気付き、驚くが、やがて「ゴースト」ライターの命ずるままに詩を書くようになっていく部分がおもしろい。
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