書評
『シネマの快楽に酔いしれて』(清流出版)
著者は、映画ファンに名高い新宿のジャズ喫茶「スマイル」の名物店主。
料理好きの主婦業と、深夜におよぶ営業をこなしながら、ハリウッド映画から、日本内外の学生映画祭まで、「かますの干物とおしょう油とお父ちゃんのクリーニングのワイシャツをお供にして」でも映画館へと通う。その映画への愛と記憶は、筋金いりの映画批評家たちにも一目おかれる。
本書は彼女の初めての著作で、娼婦もの、「年上の女」もの、好きな役者、ベルトルッチにジャン・ヴィゴと、映画について縦横に語りながら、随所に彼女の人生が顔を出す。だがそこには、批評の硬直も人生論の偽善もなくて、ただ映画のおしゃべりの喜び(そして人生の哀しみ)がある。
こう書いた加納さんは昨年、膵臓がんで亡くなった。
料理好きの主婦業と、深夜におよぶ営業をこなしながら、ハリウッド映画から、日本内外の学生映画祭まで、「かますの干物とおしょう油とお父ちゃんのクリーニングのワイシャツをお供にして」でも映画館へと通う。その映画への愛と記憶は、筋金いりの映画批評家たちにも一目おかれる。
本書は彼女の初めての著作で、娼婦もの、「年上の女」もの、好きな役者、ベルトルッチにジャン・ヴィゴと、映画について縦横に語りながら、随所に彼女の人生が顔を出す。だがそこには、批評の硬直も人生論の偽善もなくて、ただ映画のおしゃべりの喜び(そして人生の哀しみ)がある。
お酒は、心で飲んで頭で味わうもの。酒のある限り、映画のある限り、この二本立で行きたいと思います。私の人生の、ジ・エンドまで。
こう書いた加納さんは昨年、膵臓がんで亡くなった。
朝日新聞 2004年05月23日
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