詩人。1974年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了(専攻は上代文学)。詩集に、『現代詩文庫・蜂飼耳詩集』『いまにもうるおっていく陣地』『食うものは食われる夜』『隠す葉』『顔をあらう水』。文集に、『孔雀の羽の目がみてる』『空を引き寄せる石』『秘密のおこない』『空席日誌』『おいしそう…もっと読む
- 『岩塩の女王』(新潮社)蜂飼 耳
言葉発する行為、正面に見据え言葉を一つ一つ確かめながら綴る。書いては消し、消してはまた書く。そうした営為、言葉を連ねていくことの歓びと苦し…
書評 - 『詩のトポス 人と場所をむすぶ漢詩の力』(平凡社)蜂飼 耳
土地と言葉をめぐる上質な旅現代日本語は、漢詩文を捨てることで出来てきた。齋藤希史はいくつかの著書においてそう指摘してきた。漢字・漢詩文を核…
書評 - 『大岡信の詩と真実』(岩波書店)蜂飼 耳
歴史を意識した詩人の多面性大岡信といえば、「折々のうた」を思い浮かべる人は多いだろう。古代から現代までの詩歌をめぐるコラム。本紙朝刊に、一…
書評 - 『冬の日誌』(新潮社)蜂飼 耳
生の痕跡から掘り起こす記憶現代アメリカ文学の重要な作家ポール・オースターによる回想録的作品が二冊、続けて刊行された。『冬の日誌』は〈肉体と…
書評 - 『雨の裾』(講談社)蜂飼 耳
老いの時間に渦巻く死と官能古井由吉はこれまでも、夢と現の境、過去と現在の境を踏みこえる小説を書いてきた。その世界は、揺らぐ幻の像と確固とし…
書評 - 『歩道橋の魔術師』(河出書房新社)蜂飼 耳
響き合う人生と都市の回想台湾の台北にはかつて中華商場というショッピングモールが存在した。一九六一年に完工、八棟の建物に千軒以上の商店があり…
書評 - 『琥珀のまたたき』(講談社)蜂飼 耳
脆くはかない人間の生の輝き母が作り出した閉塞的な環境で、子どもたちはどのように生き、育つのか。小川洋子の長編小説『琥珀のまたたき』は、その…
書評 - 『中原中也――沈黙の音楽』(岩波書店)蜂飼 耳
日本語の「歌」、実作者の目から中原中也における「歌」の問題を、本書は詩と詩集(『山羊の歌』『在りし日の歌』)の生成過程を独自の見方で追うこ…
書評 - 『詩に就いて』(思潮社)蜂飼 耳
ウィットと軽み、原点を見つめる谷川俊太郎の新詩集。タイトルはずばり『詩に就いて』だ。六十年以上詩を書き続けてきた著者が、八十代のいま、改め…
書評 - 『少年が来る』(クオン)蜂飼 耳
弾圧された人々の傷ひとつずつ民主化宣言から30年が経過しようとしている韓国は、大統領退任を求める動きに揺れている(ALL REVIEWS事務局注:本書…
書評 - 『あこがれ』(新潮社)蜂飼 耳
恋愛よりも深い奇跡的な間柄小学校中学年の「ぼく」は夏休みのある日、スーパーのサンドイッチ売り場の女性をミス・アイスサンドイッチとひそかに名…
書評 - 『いわずにおれない』(集英社)蜂飼 耳
にじみ出る優しさとユーモア二〇一四年二月に一〇四歳で亡くなってからも、まど・みちおの詩は、生前と同じように大切にされ、愛されている。この本…
書評 - 『在りし、在らまほしかりし三島由紀夫』(平凡社)蜂飼 耳
魂の交わりと作品への冷徹な目現代の最もすぐれた詩人の一人である高橋睦郎がついに、三島由紀夫との交流を一冊にまとめた。文章の他に、講演や対談…
書評 - 『メシュガー』(吉夏社)蜂飼 耳
人間の不可解さを直視する文学この小説は、第2次世界大戦から7年後のニューヨークを舞台に始まる。戦前にヒトラーとナチズムの迫害を逃れて故郷ポー…
書評 - 『最愛の子ども』(文藝春秋)蜂飼 耳
恋愛?友情?友愛? いいえ…世の中には恋愛や友情や友愛といった言葉があって、誰でも使うことができる。けれど、人と人との関係をじっと見つめるな…
書評 - 『動物奇譚集1』(京都大学学術出版会)蜂飼 耳
蟹や羊の伝承がいざなう遠い旅生きている間に出会う人間が限られているのと同様、接する機会のある人間以外の生き物もまた限られている。これに気づ…
書評 - 『女たち三百人の裏切りの書』(新潮社)蜂飼 耳
改竄された「源氏」、「現代」映す物語の妙王朝物語の最高傑作として読み継がれてきた『源氏物語』に古川日出男が挑む。小説『女たち三百人の裏切り…
書評 - 『逃亡派』(白水社)蜂飼 耳
新たにノーベル文学賞を受賞したトカルチュクの代表作と呼べるのが『逃亡派』です。2007年に発売された本書は、ポーランドの最も権威ある文学賞であ…
書評 - 『人魚の石』(徳間書店)蜂飼 耳
積み重なるおかしさ恐ろしさ田舎の山寺へ「私」は移り住む。そこを一人で守っていた祖母の死後、継ぐ気になった。子供の頃、山と寺で過ごした思い出…
書評 - 『源氏物語 A・ウェイリー版1』(左右社)蜂飼 耳
〈戻し訳〉に響く新しい音色アーサー・ウェイリーによる英訳『源氏物語』(『ザ・テイル・オブ・ゲンジ』)は、一九二五年に刊行が始まった。九年の…
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