
1964年東京都生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。出版社勤務を経て渡米。帰国後の2003年『FUTON』で小説家デビュー。2010年『小さいおうち』で直木賞、2014年『妻が椎茸だったころ』で泉鏡花文学賞、2015年『かたづの!』で河合隼雄物語賞、歴史時代作家クラブ作品賞、柴田錬三郎賞、同年『長いお別れ』で中央公論文…もっと読む
『百日と無限の夜』(集英社)
中島 京子この世とあの世…胎児がのっとる世界「切迫早産」というのは、日本語の使い方として少し奇異な感じがするということは、本書でも語られる。むしろ「…
書評
『「九月」を生きた人びと 朝鮮人虐殺の「百年」』(ころから株式会社)
中島 京子「150歳の近代日本」を問い直す今年の参議院議員選挙のころから「外国人犯罪が増えている」「外国人が優遇されている」といった、根拠のないデマが…
書評
『ジェイムズ』(河出書房新社)
中島 京子奴隷ジムが1人称で「ハック」と冒険自然児ハックルベリー・フィンが、黒人の逃亡奴隷ジムといっしょにミシシッピ川を筏(いかだ)で下って、様々な…
書評
『水脈を聴く男』(書肆侃侃房)
中島 京子「水追い師」と水をめぐる迫真の物語アラビア半島の小国オマーンにある小さな村。時代は20世紀中ごろ。雨のほとんど降らない、砂漠の地の物語だ。現…
書評
『オリーヴァ・デナーロ』(小学館)
中島 京子「償い婚」にノー、その勇気と尊厳1960年代、シチリア島の小さな村に住む少女、オリーヴァ・デナーロが主人公だ。「女は水差しだから、割った人のと…
書評
『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』(文藝春秋)
中島 京子料理人が与えてくれる生きる意味2020年、飲食業界は、たいへんなことになった。WHOが新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を宣言したのは3月11日…
書評
『戻ってきた娘』(小学館)
中島 京子二人の母に捨てられた13歳の勇気語り手の十三歳の女の子が、それまで会ったことのない「妹」に迎えられるシーンから小説は始まる。短いイントロのよ…
書評
『使い捨て外国人: 人権なき移民国家、日本』(朝陽会)
中島 京子現在、日本には300万人近い外国籍の人たちが暮らしている。日本はすでにかなりの「移民国家」だが、彼らが労働者として人として当然の権利を保障され…
書評
『忘れられた巨人』(早川書房)
中島 京子霧が覆い隠す記憶と忘却の物語カズオ・イシグロが十年ぶりの長編の舞台に選んだのは、六世紀ないし七世紀のグレート・ブリテン島、アーサー王伝説と…
書評
『人工島戦記 あるいは、ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかのこども百科』(ホーム社)
中島 京子橋本流の逸脱、脱臼、余談の戦後史小説二段組1200頁(ページ)強の長編小説であり、100頁に及ぶ詳細な「人名地名その他ウソ八百辞典」なる註(ちゅ…
書評
『戦争とバスタオル』(亜紀書房)
中島 京子教訓もたらす湯船からの史実歴史を扱うのは難しい。それが作られる渦中では全体が見えず、それがまさに歴史となっていく過程では、忘却や風化とたた…
書評
『ほんのささやかなこと』(早川書房)
中島 京子つつましい男が向き合う町の秘密130ページほどの、短い小説だ。けれど、読み始めるなり惹きこまれ、その短さも、時間も、忘れる。古典を開いたとき…
書評
『赤頭巾ちゃん気をつけて 改版』(中央公論新社)
中島 京子手元にある中公文庫版は1980年発行の25版で、私は高校1年のときに読んだ。単行本が出てから10年以上経っているが、薫くんシリーズ最終作『ぼくの大好…
書評
『民主主義 〈一九四八‐五三〉中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版』(幻冬舎)
中島 京子安保法制、改憲議論を始める前に昨年秋、安保関連法案を審議中の国会前に、大勢の人々が押しかけて、連日抗議の声を上げた。マイクを握った学生が「…
書評
『虚史のリズム』(集英社)
中島 京子「dadada」歴史の闇が語りかける小説の舞台は終戦の2年後。自称探偵の石目(いしめ)鋭二は、戦争中フィリピンのタクロバンの収容所で知り合った神…
書評
『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』(朝日新聞出版)
中島 京子脱「お任せ政治」対話が生む希望これは一冊の「対話篇」だ。対話するのは、最低賃金のアルバイトで生計を支えつつ、音楽や相撲について書くフリーラ…
書評
『桃花源の幻』(アストラハウス)
中島 京子豊饒な中国文芸の伝統を現代につなぐ現代中国文学を代表する作家の一人、格非による「江南三部作」。その第一部『桃花源の幻』(原題・「人面桃花」…
書評
『スイマーズ』(新潮社)
中島 京子切なく、いとおしい認知症の母の日々過去作で日系移民の歴史を描き、鮮烈な印象を残した作家が、現代を舞台にした本作では、自らの母の最晩年を描き…
書評
『かくも甘き果実』(集英社)
中島 京子3女性が奏でる流転作家の孤独三人の、国籍の異なる女性たちが愛した男。それは一人の男だったが、それぞれに名前が違う。ローザが産み、夫の故郷に…
書評
『タラント』(中央公論新社)
中島 京子空でつながる戦争 義足 パラ空はいくつも様相を変える。天気ばかりではなくて、空にはそれを見る人間の感情が載る。主人公のみのりは香川の生まれで…
書評













