
1964年東京都生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。出版社勤務を経て渡米。帰国後の2003年『FUTON』で小説家デビュー。2010年『小さいおうち』で直木賞、2014年『妻が椎茸だったころ』で泉鏡花文学賞、2015年『かたづの!』で河合隼雄物語賞、歴史時代作家クラブ作品賞、柴田錬三郎賞、同年『長いお別れ』で中央公論文…もっと読む
- 『わたしのペンは鳥の翼』(小学館)中島 京子
息潜め、多様な日常すくい取る十八人の作家による二十三編の短編が収録される本書は、分厚い本ではない。短編というより掌編と呼んだ方がよいような…
書評 - 『平和をつくる方法 ふつうの人たちのすごい戦略』(柏書房)中島 京子
インサイダー主導のボトムアップで著者はコロンビア大学の政治学の教授で、二十年に亘(わた)って国際紛争の現場を調査し、援助活動の最前線に立っ…
書評 - 『ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け』(新潮社)中島 京子
勝つための極限の先に食べる喜び「筋肉と脂肪」とはまた、食文化を見つめてきた著者がたどり着いた究極の地点か、とも思う。自らの身体そのものを表…
書評 - 『千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝』(KADOKAWA)中島 京子
奪わせてはならない記憶、父子の闘い北京オリンピックのスタジアム「鳥の巣」の建築を手がけたことで知られる艾未未(アイウェイウェイ)は、躊躇な…
書評 - 『少女、女、ほか』(白水社)中島 京子
膨大なエピソード収斂、深い充足感著者は一九五九年ロンドン生まれ。母方からイギリス人、アイルランド人、ドイツ人の、父方からナイジェリア人、ブ…
書評 - 『ディンマスの子供たち』(国書刊行会)中島 京子
背筋に戦慄が走る、平凡な町の秘密ディンマス、というのはイングランド南西部、ドーセットの海岸沿いにあるとされる架空の町だそうだ。架空といって…
書評 - 『イラク水滸伝』(文藝春秋)中島 京子
未知で奥深い世界に誘う「ブリコラージュ」誰も行かないところに行って、誰も思いつかないことをする、辺境ノンフィクション作家の著者は、イラク奥…
書評 - 『国籍と遺書、兄への手紙――ルーツを巡る旅の先に』(ヘウレーカ)中島 京子
「在日」生きた証、確かめる道程著者は十代で父親と異母兄を亡くしている。1年半の間に相次いで肉親を失った体験は、のちにフォトジャーナリストと…
書評 - 『禍』(新潮社)中島 京子
体の奥まで、世界の果てまでの旅世界を席捲したパンデミックのせいで、「禍」という字はすっかり馴染みのものとなり、「か」と打つと手元のパソコン…
書評 - 『キャッチ・アンド・キル』(文藝春秋)中島 京子
もう黙りたくないという切実な思い自らの性被害体験をオンライン上に投稿し、多くの被害者と連帯する運動「#MeToo」は、2017年にアメリカから世界…
書評 - 『エルサレム』(河出書房新社)中島 京子
恐怖と狂気充満、悪夢のリアリズム五月二十九日の夜明け前、死が近づいたミリアは、体の痛みをおして教会を目指すが、戸は開かない。痛みを忘れるほ…
書評 - 『だまされ屋さん』(中央公論新社)中島 京子
家族の解体と再定義の物語とある家族の物語である。夫と死別した七十歳の夏川秋代と、絶縁状態の三人の子どもたち。長男の優志(やさし)は在日コリ…
書評 - 『誓願』(早川書房)中島 京子
知を奪われた女性の戦いと希望『侍女の物語』続編、独裁神権国家、ギレアデ共和国の「その後」の物語だ。侍女オブフレッドが、記憶と現在を手繰り寄…
書評 - 『日本蒙昧前史』(文藝春秋)中島 京子
小説にしか描けない歴史本書の中で扱われる事件は、一九六五年から一九八五年までの二十年間に起こる。冒頭の「グリコ・森永事件」から、続いて起こ…
書評 - 『閉ざされた扉をこじ開ける 排除と貧困に抗うソーシャルアクション』(朝日新聞出版)中島 京子
何のために「社会」を作っているのか2020年前半はコロナ禍と共に過ぎてしまった。「自粛要請」に応じた飲食店が店を再開できず、ライブハウスが廃業…
書評 - 『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』(左右社)中島 京子
常に動き、変化する言葉への考察本書は、辞書作りの悪戦苦闘を開示してくれるエッセイで、著者はアメリカで最も歴史ある辞書出版社、メリアム・ウェ…
書評 - 『黒川能 1964年、黒川村の記憶』(集英社)中島 京子
五輪の陰もう一つの奇跡黒川能とは、山形県庄内地方、黒川村(現鶴岡市)に伝わる伝統芸能・神事で、500年余の歴史がある。旧暦の正月(2月1日と2日…
書評 - 『遠の眠りの』(集英社)中島 京子
因習から逃れる「女という難民」大正の終わりごろ、福井の小さな村を舞台に、物語は始まる。本が好きでたまらない貧しい農家の娘、絵子(えこ)は、…
書評 - 『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)中島 京子
非正規滞在者めぐる理不尽な実態本書は、日本に在留する外国人を取り巻く様々な問題、ことに在留資格が得られないことで苦境に陥っている人々に焦点…
書評 - 『熱源』(文藝春秋)中島 京子
「文明」の侵略、丹念に描く1910年(明治43年)、白瀬中尉が探検隊を率いて南極点を目指したとき、隊には樺太犬の犬ぞりを担当した二人の樺太アイヌ…
書評